花屋 澄

さくらももこを敬愛する怠惰なOL🍨 三時のおやつとミット練習が好き🌸

花屋 澄

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固定された記事

【小説】対岸の二人

第6回阿波しらさぎ文学賞 一次通過作品 対岸の二人 八年間、働いた銀行を辞めてきた。ずっと悩まされてきた歯痛に耐えかねて、知らない街の歯医者に駆け込んだときみた…

花屋 澄
9か月前
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パピコは二人で分けたいけれど(文フリ所感)

チョコモナカジャンボを二人で分けようって言われたら、断固拒否する花屋です。 雪見だいふくも「ひとくち頂戴」って言われたら、気前よく1つ丸ごとプレゼントするけれど、…

花屋 澄
22時間前
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嫌いな言葉

友人の美緒ちゃんのこちらのnoteがとても良い文章だったので、触発されて私も嫌いな言葉について書いてみようと思う。 「羨ましい」私は、この言葉にあまり良い印象を持た…

花屋 澄
8日前
8

欲望の優先順位

健康的な三十路女子なので、たまにムラッとすることがある。 こういうときに、性交渉と社会性(恋愛)を切り離せる思考の持ち主であれば「よっしゃ、いっちょやったります…

花屋 澄
11日前
8

ぺこぺこと、イタリアン

反射神経は悪くないが、運動神経がすこぶる悪い。 というのも、エスカレーターの初めの一歩を踏み出すのが苦手で、子どもの頃は中々タイミングを掴めず、よく後ろの人に嫌…

花屋 澄
12日前
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ちいちゃんが教えてくれたこと

私はDINKs思考である。 ※DINKsとは? 物心ついてから、自分の家庭環境が周りとは違うと気付いたので、 「お母さんになりたい」「子育てをしたい」「結婚をしたい」など …

花屋 澄
2週間前
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【中編】この感情に付ける、名前など(群像1次落ち作品)

達也さんが、死んだ。 その日は珍しく、同じ課の同僚や上司も休暇を取っていたので残業にはならずに大学を後にしたことを覚えている。 学校という空間は、都市、田舎に関わ…

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花屋 澄
1か月前
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ピンクの雪だるまと、カメレオン

さくらラテ、カービィー、パンサー、レディ、林家ペー・パー。 上に挙げた単語の羅列で、連想する1つの色はなんでしょう? そう、〈ピンク〉である。 おそらく、素直な方…

花屋 澄
1か月前
7

【散文+短歌】きらきら、きらい

瀬生ゆう子さん・山田香ふみさん・桜庭紀子さんの歌集『Supplement vol.0』を拝見し、ガッツリ影響を受けて短歌熱に火がついた花屋です。 知らない駅に降り立ち、ふと足を…

花屋 澄
1か月前
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怠惰な人と、完璧な人

私は、怠惰が主成分の人間だ。 もし、食事と娯楽、また基本的な設備(風呂やトイレ)を用意した出られない部屋に1週間閉じ込められたとしたら、喜んで引きこもるだろう。 …

花屋 澄
1か月前
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勇者の剣を探さないでください

※今回はあまり健全な内容ではない、かつ中身のないエッセイなので、苦手な方や男性は気分を害する前にブラウザバックを推奨します※ 昨日のエッセイが思いがけず観覧数を…

花屋 澄
1か月前
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嫉妬の色は、みどり色

昔読んだ漫画にそう描いていたので、私はクリームソーダやメロンソーダを飲むたびに「ああ、自分はいま〈嫉妬〉を飲み干しているんだな」と思うことがある。 というわけで…

花屋 澄
1か月前
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長年続けている趣味や、特技はなんですか?

たまに、初対面の人やマッチングアプリで出逢った人に表題の質問を訊かれる。 この質問、私にスポーツや勉学の才があれば「トリリンガルです」 「流体力学を少々」 「ダイ…

花屋 澄
1か月前
7

辞めたい習慣

小さい頃からよく口の中にものをいれる子だった。 アンパンマンのぬいぐるみから、ティッシュ、自分の親指に至るまで1歳の頃には常に口の中でなにかを咥えている子どもだっ…

花屋 澄
2か月前
7

お嫁さんになりたかった私が、アナウンサー試験を受けるまで

こちらのアンケートにご協力いただきました皆さまありがとうございました! 無事に集計が済みましたので、「婚約破棄からのアナウンサー試験」の思い出を4割のフィクション…

花屋 澄
3か月前
7

初恋と、カップケーキ

私は、恋愛小説が好きだ。 おそらく文章を書き始めたきっかけも、島本理生さんの「ナラタージュ」に衝撃を受けたことが大きな要因だった。 ただ、曲がりなりにも、こういう…

花屋 澄
3か月前
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固定された記事

【小説】対岸の二人

第6回阿波しらさぎ文学賞 一次通過作品 対岸の二人 八年間、働いた銀行を辞めてきた。ずっと悩まされてきた歯痛に耐えかねて、知らない街の歯医者に駆け込んだときみたいに。 「しばらく家でゆっくりすることにしたけん」 連絡も寄こさずに神奈川から実家に戻ってきた娘に対して、母は鳩が豆鉄砲でも喰らったように 「ほれはかんまんけんど、……あんた仕事はどないしたん」 と、顔全体にフェイスパックを貼り付けた白塗りのお化けみたいな恰好で尋ねた。網戸越しに庭へと視線を向けると白柴の太郎が

パピコは二人で分けたいけれど(文フリ所感)

チョコモナカジャンボを二人で分けようって言われたら、断固拒否する花屋です。 雪見だいふくも「ひとくち頂戴」って言われたら、気前よく1つ丸ごとプレゼントするけれど、ピノを食べてるときに「一個分けて~な」って言う奴には「えっ、非道なの?6人家族の中の、子供をひとり奪っているって自覚ある?」と普通の人ならドン引きの強火で対抗します。 なぜ、ここまでアイスについて執拗に語るのかと言うと、埃さん&瀬生ゆう子さんの「適量パピコ」という短歌集が非常に美しかったから。 ……というわけで、何

嫌いな言葉

友人の美緒ちゃんのこちらのnoteがとても良い文章だったので、触発されて私も嫌いな言葉について書いてみようと思う。 「羨ましい」私は、この言葉にあまり良い印象を持たない。 羨望だったり、嫉妬だったり、あるいは軽い冗談だったり、色んなニュアンスが含まれると思うが、どうも社会人になったあたりからこの言葉が好きになれず、自分でもあまり使わないようにしている。 なぜ、嫌いなのか考えたときに、おそらくこの言葉を私に向けてくる人が、あまり親しくない人だったり、親しい人の場合でも言葉の

欲望の優先順位

健康的な三十路女子なので、たまにムラッとすることがある。 こういうときに、性交渉と社会性(恋愛)を切り離せる思考の持ち主であれば「よっしゃ、いっちょやったりますか!」と身体の線が出る洋服にピンヒールを履いて、お洒落なバーやラウンジ、歌舞伎町界隈に繰り出してあとはどうとでもなるのだが、いかんせんド田舎出身の小心者なので、ワンナイト(行きずりの相手との性交渉)についてはデメリットばかりを考えてしまい、恐怖が先行しあと一歩が進めない。 (身体の線が出る洋服を選ぶあたりは爆笑ポイント

ぺこぺこと、イタリアン

反射神経は悪くないが、運動神経がすこぶる悪い。 というのも、エスカレーターの初めの一歩を踏み出すのが苦手で、子どもの頃は中々タイミングを掴めず、よく後ろの人に嫌そうな顔をされた。 それと同じくらい苦手なのが、親しい間柄の人間を疑うということ。 自分にとっては一定の距離を取って関係を結んでいるつもりでも、周囲の人からはよく「あなたは人を信用しすぎ」「もっと疑ってかかれ」と注意をされたり、心配されることが多い。 「簡単に人を信じるな」「人を疑え」 小学校の頃は、「仲間を信じ

ちいちゃんが教えてくれたこと

私はDINKs思考である。 ※DINKsとは? 物心ついてから、自分の家庭環境が周りとは違うと気付いたので、 「お母さんになりたい」「子育てをしたい」「結婚をしたい」など 世間一般のライフイベントについて学生時代に夢を見たことが一度もない。 極端な例を出すと、虐待家庭が負の連鎖を起こしてしまうように家庭環境に著しい欠陥があった場合も、私は連鎖する可能性が高いと思っている。 ※あくまで私個人の体験に基づく私見なので、他の人に限ってはその限りではない。 早い話が、家庭環境に

【中編】この感情に付ける、名前など(群像1次落ち作品)

達也さんが、死んだ。 その日は珍しく、同じ課の同僚や上司も休暇を取っていたので残業にはならずに大学を後にしたことを覚えている。 学校という空間は、都市、田舎に関わらず四季の移り変わりを顕著に感じさせる場所だ。つい先日まで桜色の絨毯が床一面に敷かれていたはずなのに、入学式を終えて学舎に馴染んだ学生を目で追い切れないうちに季節は巡っていたらしい。いま、この瞬間には顔を顰めたくなるような銀杏の香りと、すでに散ってしまい雨に打たれてぐずぐずになってしまった汚らしい金木犀の成れの果てが

有料
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ピンクの雪だるまと、カメレオン

さくらラテ、カービィー、パンサー、レディ、林家ペー・パー。 上に挙げた単語の羅列で、連想する1つの色はなんでしょう? そう、〈ピンク〉である。 おそらく、素直な方の場合はちょうどいま散り際になっている桜の花びらの色を連想してくれたことだろう。 突然だが、私はピンクが嫌いだ。 その起源は、6歳の頃、母親が冬のセールで買ってきてくれたダッフルコートに遡る。うちの母親はピンクや赤色、レースに花柄などのいわゆる女性らしい色やモチーフが好きで、好んでそのようなデザインの洋服を私に着

【散文+短歌】きらきら、きらい

瀬生ゆう子さん・山田香ふみさん・桜庭紀子さんの歌集『Supplement vol.0』を拝見し、ガッツリ影響を受けて短歌熱に火がついた花屋です。 知らない駅に降り立ち、ふと足を止めたお花屋さんで素敵な花束を見つけて心を惹かれた少女のように。 湧き出た言葉たち(3月の散文日記+短歌)をこっそり書き留めたいと思います。 3月×日(月) 焼き立てのトーストの匂いと、窓を叩く雨の音で目覚めた月曜日。 白米過激派の母には珍しく今朝は洋食だ。 お気に入りのサンダルフォーのいちごジャム

怠惰な人と、完璧な人

私は、怠惰が主成分の人間だ。 もし、食事と娯楽、また基本的な設備(風呂やトイレ)を用意した出られない部屋に1週間閉じ込められたとしたら、喜んで引きこもるだろう。 サブスクの動画視聴サービスと読み放題の漫画さえあれば、こち亀と笑ぅせえるすまんのエンドレスリピートで1週間は余裕で時間を潰せる。 私の怠惰自慢はこれに止まらない。 見た目通り、繊細かつ低血圧なので(低血圧は本当)朝はすこぶる寝起きが悪く、起こされてもなかなか起きれない。 そうはいっても、社会人としての自覚はきちんと

勇者の剣を探さないでください

※今回はあまり健全な内容ではない、かつ中身のないエッセイなので、苦手な方や男性は気分を害する前にブラウザバックを推奨します※ 昨日のエッセイが思いがけず観覧数を伸ばしており、初めましての方からコメントまで頂けて、鼻が天狗ぐらいに延びている筆者です。 せっかくなので、今日も女性に向けた夜の話をしようと思う。 よく、女同士で飲み会をしているとアルコールがほどよく回ったころに、普段は物静かで大人しい女の子から下ネタがぶっ込まれることがある。 こういう時、男性陣なら初体験の話だっ

嫉妬の色は、みどり色

昔読んだ漫画にそう描いていたので、私はクリームソーダやメロンソーダを飲むたびに「ああ、自分はいま〈嫉妬〉を飲み干しているんだな」と思うことがある。 というわけで、先日知人と電話をしたときに嫉妬の話になったので、思考整理のために嫉妬について話したい。 私は、秋生まれの天秤座なのだが、誕生日占いの本には必ずと言っていいほど「嫉妬深い」けれど「束縛を嫌う」と書かれている。 つまりは、自分は束縛されたくないけれど他人に対しては「行動を律しろ」と要求する、理不尽極まりない性格であるら

長年続けている趣味や、特技はなんですか?

たまに、初対面の人やマッチングアプリで出逢った人に表題の質問を訊かれる。 この質問、私にスポーツや勉学の才があれば「トリリンガルです」 「流体力学を少々」 「ダイビングのライセンスを持っています」「合気道で黒帯なんですよ」 など見栄えの良い特技を話すことができるのだが、生憎そういった才がないので、実はとても返答に困るのである。 それと言うのも、私が特技だと思っているものは一人ですることが難しく、環境が整っていないとお見せすることもできないものだからだ。 (また、仮にその場で披

辞めたい習慣

小さい頃からよく口の中にものをいれる子だった。 アンパンマンのぬいぐるみから、ティッシュ、自分の親指に至るまで1歳の頃には常に口の中でなにかを咥えている子どもだったらしい。 さて、そんな私だからだろうか。 大人になった今でも続いている悪しき習慣が存在する。 無意識に手足の爪を噛んでしまうことと、眉毛や睫毛を抜いてしまうことである。 ここでタチが悪いのは、いずれの習慣も人前ではしないということ。自分一人の空間(トイレや自室など)でゴミ箱を膝にのせてガジガジと噛むのである。足の

お嫁さんになりたかった私が、アナウンサー試験を受けるまで

こちらのアンケートにご協力いただきました皆さまありがとうございました! 無事に集計が済みましたので、「婚約破棄からのアナウンサー試験」の思い出を4割のフィクションと6割のコメディをええ感じにブレンドして綴ろうと思います。 しょうらいのゆめは、およめさん。 私の一人称が、まだはなちゃんだったころ。 どうやら、将来の夢は花嫁さんだったらしい。 自宅の押し入れに仕舞われていたガラクタ、もといお誕生日会での図工作品(手形と将来の夢を書いた紙のメダル)には、担任のこずえせんせいの綺

初恋と、カップケーキ

私は、恋愛小説が好きだ。 おそらく文章を書き始めたきっかけも、島本理生さんの「ナラタージュ」に衝撃を受けたことが大きな要因だった。 ただ、曲がりなりにも、こういうストーリーが好きだという「好きの傾向」があって。(偏りとも言う)恋愛小説であればなんでもござれ、ってわけではない。 私が好きな物語のパターンは、主人公(ヒロイン)とパートナーが社会的に結ばれることがなく、精神的な繋がりを残したまま互いに別々の人生を生きていくというもの。 『ごんぎつね』 『一つの花』 『舞姫』 『スー