全てを出し尽くした兄弟喧嘩。二人の絆が生んだ 【伝説】 と 【感動】 を共にした一夜。
2023年 11月14日 東京ドーム
2023年 11月14日。
平日の火曜日の東京ドームにて。
とある兄弟の決着が行われていた。
既に1ヶ月も過ぎているのが信じられない。
まだ、僕の中では余韻が残り続けている。
それはロックバンドの「MY FIRST STORY」と同じくロックバンドの「ONE OK ROCK」の二組である。
ロックバンドが好きな人ならすぐに分かることは「MY FIRST STORY」のヴォーカルの「Hiro」と「ONE OK ROCK」のヴォーカルの「Taka」は実の兄弟であることだ。
あの兄弟が、ついに同じ舞台で交わる日が訪れた。
2人が交わる日までのストーリー、そして伝説の東京ドームでの対バンについてのレポートを筆者なりにまとめます。
※下記から略称、名称を書かせていただきます。
・MY FIRST STORYの略称を「マイファス」と表記させていただきます。
・MY FIRST STORYのファンの名称を「ストテラ」と表記いただきます。
・ONE OK ROCKの略称を「ワンオク」と表記させていただきます。
・ONE OK ROCKのファンの名称を「ワンオクロッカー」と表記させていただきます。
それぞれ比較されてきた、兄弟間での葛藤
知らない方もいるため、2人の生い立ちについて簡単にまとめます。
芸能界では有名な音楽一家の長男(Taka)と三男(Hiro)として誕生
父は歌手の「森進一」
母は歌手の「森昌子」
幼少期の2人は「旧ジャニーズ事務所」にどちらも所属していた
兄弟の仲の良さが分かるほどに、雑誌や番組でも2人が共演することも?
ある日、Takaが音楽の道に進むため高校1年修了と同時に自主退学。
次第にTakaと両親に亀裂ができ、我慢ができずTakaは家出をしてしまう
その直後に両親が離婚。その瞬間から家族はバラバラになってしまう
当時のHiroは、母である森昌子に引き取られて過ごしていくことになる
家族としての会話も、兄弟としての会話もないまま2人の時間は過ぎる
Takaは様々なバンドの活動をしながら「ワンオク」としての活動に専念
しかし、偉大なる両親の元で育ったため『親の影響で売れている』『ただの色物』『あんなのはロックバンドではない』と批判を受けてきた。それでも活動を続けてきた「ワンオク」としてのTaka。それでも、着実にキャリアを積み上げていく。
その後、当時高校生だったHiroは、Takaの初めての武道館公演を見たことで「マイファス」としての活動を始める
しかし、既にバンドしての実力が付いているTakaと比較されことが多くなり『兄の影響で売れている』『親の七光り』『ワンオクのパクリ』と批判を受けてきた。それでも活動を続けてきた「マイファス」としてのHiro。それでも、着実にキャリアを積み上げていく
筆者の分かる範囲で、かつ正確なことまでは分かりませんが、ざっくりまとめるとこのようになります。
その中での2人の「転機」は重なっていると感じます。
それは、両親の離婚です。
そこから今までも、2人の間で生じていたことはなんだろう?
それは「お互いが、比較されながら生きてきた」こと。
Takaは「両親との比較」をされてきた。
Hiroは「兄との比較」をされてきた。
その「お互いに比較されながら生きてきた葛藤が、仲良しだった兄弟の距離を遠く引き離していた」のかもしれません。
お互いの葛藤が残り続けたまま、アーティストとしても、1人の人間としても成長していく日々が過ぎていく・・・
2016年 11月18日 日本武道館
そんな中、Hiroは2016年にアーティストとしてひとつの目標である「日本武道館」でのライヴが開催された。
その前に、4枚目のアルバムである「ANTITHESE(アンチテーゼ)」をリリースした皮切りに「47都道府県ツアー『We're Just Waiting 4 You Tour 2016』を開催。その最終公演として日本武道館を開催した。
過去に客席でライヴを見ていた場所。
音楽活動を始める原点になった場所。
兄を超えると決断した場所。
そんなHiro自信の過去の歴史を辿る中で、マイファスとして初めての武道館公演が始まった。
兄を超えると宣言した弟
一曲目は「Nothing In The Story」
最初からフルスロットルでスタートしたライヴ。
過去の思いを胸に、Hiroは、マイファスは、全身全霊で演奏をした。
本編では20曲以上、アンコールでは3曲を演奏した。
本編の最後に演奏した楽曲「不可逆リプレイス」でのMCが世間で大きな話題を呼んだ。
Hiro
『本当にありがとう。
今日この1日で、俺の全てが報われた気がするよ。
昔から馬鹿にされて、批判されて、生きてきた。
今まで何度も死んで諦めてやるって思ってた。
だけそ、必死に生き続けてやっとここに立つことができたんだ。
苦しくて、長くて、辛い22年間だった。
でも、俺にはまだやり残したことが1つだけある。
今日1日が無駄にならないように。
5年後!
2021年!
日本最高峰の場所「東京ドーム」で!
俺らがナンバーワンだってことを証明してみせる。約束するよ。
今はまだ勝てないかもしれない。
でも、やっと同じステージに立てたんだ。
次に、挑む相手は、もう誰だか分かってるよな?
俺の最初で、最後の敵。
そして5年前、必ず超えると誓った。
そう・・
実の兄・・・
「ONE OK ROCK」だ!
俺らは嘘を言わねえからな?
信じて待っててくれよ武道館』
ついに公の場でTakaの言葉を放ち、ワンオクに対して宣戦布告。
憧れており、それと同時に勝ちたい気持ちがあったHiro。
初めての日本武道館であるからこそ、自分の全てを曝け出す。
もう後に引くことはできなくなった。
絶対に、兄を超える。
プレッシャーと同時に口に出すことで自分を震え立たせる原動力にしようといたのだろう。
マイファスはメンバー全員で、バンドして一つの夢を叶えるために大きく前進した日だった。
演奏が終わり、歓声が鳴り止まない中でステージに一つの映像が流れた。
そして、暗転した後にステージに立っていたの、2016年の3月から活動休止中だったメンバーの「Sho」だった。
この武道館限定での演奏をしてくれた。
そして、Shoを迎えて演奏した2曲目の楽曲は
「We're Just Waiting 4」
(私たちは、4人で待っています)
この楽曲は、当時の会場限定シングルCDとして販売したその日に演奏した。
そして、この楽曲はShoのために作った楽曲であると明かした。それだけHiroの中でShoが大きな存在だということが分かった。
4人(Hiro、Teru、Nob、Kid'z)で、あなたを待っています。というメッセージが描かれた楽曲である。
そして、最後の演奏を始める前のMCで、Hiroは続けて語った。
Hiro
『ようやくこのバンドが1つのものに向かって歩き出した今
僕には今日、なんとしてでも伝えたいことがあります。
僕が小学生の頃、気づけばバラバラになっていて、それを止めるには
当時の僕は幼すぎました。何もできることはなかった。
そしてバラバラになった形が今、新しくもう1つの形になろうとしてる今も、僕の名前が挙がることはありません』
今日、皆さんに伝えたいことがあります。
「家族」とは何でしょうか?
「愛」とは何でしょうか?
僕には、よく分かりません。
もし、もう一度だけでいいから、5人で集まれる日を僕は願ってます』
そして、もう2度と演奏しないと告げながら演奏がスタート。
家族のことを赤裸々に綴った『Home』を演奏。
そして、曲の最後の途中で、Hiroは泣きながら話した。
『お父さん。お母さん。聞こえてますか?僕の声。
いつか必ず、5人で集まれる日を僕は心から願ってます』
「マイファス」としての家族。
「1人の人間」としての家族。
「2つの家族」について語った日本武道館でのライヴ。
Hiroの過去、そして現在の全てを曝け出し、幕を閉じた。
2022年 2月10日 日本武道館
2020年3月。
世界では、コロナウイルス騒動で人々が最悪の時期を過ごしていた。
そんな中で、一番大きい大打撃を受けたのは「エンタメ業界」だった。
アーティストは、一番の土台である「ライヴ」ができなくなった。
五感を使って楽しめる最強のイベントが禁止される屈辱的な出来事だった。
アーティストはファンに何も届けることが出来ない、半年から1年ほどの地獄の時期を過ごしていた。
ファンも、ライヴが禁止されたことで今までの趣味が潰されてしまった。
双方にとっても、明るい未来が見えない時間を過ごしていく不安が募る日々だった。
そんな中で、2022年に行われていたマイファスのツアー『We promise, 4 you once again Tour Final at BUDOKAN』が2月10日に開催された。
しかし、この出来事が音楽業界に激震が走った日になった。
東京では、吹雪が現れた極寒の日。
そんな中でもマイファスは、約5年ぶりの日本武道館でのライヴを決行。
しかし、一つの疑問を感じた人もいたと思う。
なぜ、いま日本武道館でライヴをするのか?
それは後に明かされることになった。
開演の合図では、照明が落とされ美しいピアノの音が鳴り響く。
そして、真っ赤な照明に切り替わりステージから登場したのは、Teru、Nob、Kid'zの楽器隊。
3人は楽曲「アンダーグランド」のイントロを演奏し始める。
その直後に一瞬の暗闇からHiroが登場。
そして、声高らかに叫んだ。
『5年ぶりだ〜!』
マイファスも、そしてファンも待ち侘びていた武道館。
会場の熱気は一気に上がった。
その後、数曲の演奏途中でのMCが入る。
Hiroは、2016年に語っていた。
『2021年に東京ドームでワンマンライブをする』という目標。
コロナウイルスが蔓延して何もすることができず、時間だけが過ぎていく。
メンバー、スタッフともに何度も何度も話し合いをした結果、公式サイトで正式に『東京ドームでのライヴ、無期限の開催延期』を発表した。
バンドとしての夢も、そしてファンの夢を叶えられなかったことを直接ステージで謝罪する姿を見せた。
自分に嘘をつきたく無いため、真剣に向き合った結果が無期限の延期だった。
そして東京ドームでのライヴが出来ないなら、5年前に掲げた場所の日本武道館でライヴをすることで、ファンとの答え合わせをするという形で開催することになった。
そしてHiroは、5年前の武道館ライヴのあと、Takaと真剣に話し合ったと公言した。
『お互いの考えに違いがあったことや、5年前の武道館では伝えられなかったことを、たくさん話しました。とても時間はかかったけれど、少しずつ距離が近くなったことを実感しました』とMCで赤裸々に語った。
そして、最後の演奏を終えたあと・・・
MCで、Hiroは語った。
Hiro
『あんな宣言をして、こんなことを言うのは虫のいい話かもしれないし、
都合が良いって思われるかもしれないし、
恥知らずって思われるかもしれません。
もし、今日のライブを観て、思いが少しでも伝わったら
こんな不甲斐ない弟の夢に付き合ってくれませんか?
誰かに語りかけているように聞こえるMC。
そして、Hiroは続けた。
『兄貴!来年、俺たちと一緒に「東京ドーム」でやってくれませんか?」
Hiroの真正面の眼差しの先にライトが照らされ、左右のスクリーンに映し出された先には・・・・・
間違いない!
Takaだ!
関係者席から、最初から最後まで見ていたらしい!
会場は、どよめきと熱狂で溢れていた。
ファンがいる公の場所で、2人が同じ会場にいること自体が初めてだ。
Hiroを弟としても、同じ1人のアーティストとしても、真正面からの想いにTakaは俯きながら考えた結果、親指を上げたグッドサインを出した。
『ありがとうございます!』
メンバー全員が立ち上がり、深々とTakaに全員お辞儀をした。
「最高のライバルである弟の夢を叶えない訳にはいかない」という感情が見えた光景だった。
Takaは、今までHiroのこと、マイファスのことはメディアやSNSなどでも話す事はないまま活動をしてきた。
「日本のロックバンドとして、グラミー賞を取る」ことを目標に続けてきた。
ロックバンドとして活動していく中で、弟であるHiroまでも同じ音楽の道に進め決意をしたこと、さらに同じロックバンドとして活動していくことを知った瞬間は、兄としても、1人のアーティストとしても負けられないと心のどこかで感じていたかもしれない。
そして、その衝撃的な光景のあとに、最後の一曲が演奏された。
それは・・・
「Home」だった。
2人の心に残ってた『しこり』が消えた4分間の演奏
2016年の武道館公演で、もう2度と演奏はすることはないと話したHiroだったが、もう1度演奏することには意味があると感じた。
それぞれの演奏では表現していたものが違うように感じ取れた。
2016年のHome『バラバラに離れた家族が、1日でも早く戻ってほしい』
2022年のHome『こんな弟の元へ、戻ってきてくれてありがとう』
こんな姿だと感じられた演奏だった。
Homeの演奏中、Takaはまっすぐ目の前のHiroだけを見続けていた。
その様子は会場のスクリーンに映し出されていた。
ファンの目の前で2人が交わる世界を見せることで、犬猿の仲のように感じ取られていた部分を解消することが出来たように思えた4分間。
お互いが『兄弟』として、そして1人の『アーティスト』としての『尊敬』と『感謝』が伺えた場面で幕を閉じた武道館公演だった。
2023年 7月10日 19:00 それは発表された
月日が流れ、マイファスは2023年の3月から10月にかけて6年ぶりの47都道府県ツアー「-THE TWO-」を開催。
基本的にマイファスは過去に大きな会場でのライヴや、ファンを驚かせるような発表をするときはX(Twitter)を通じて事前に告知をすることが多い。
この47都道府県ツアーには、何が意味があると感じていた。
ツアー名である「-THE TWO-」(両者・2つの者)にも、まさか?と思った。
けれど、特に何も発表されることもなくツアー初日である東京公演がスタートした・・・
しかし、その途中で突然の出来事が起きた。
突如発表された対バンライヴ。
ついに、正式に告知された。
そして、公演の名前である
【VS】
意義なし。
異論なし。
一番当てはまっている。
この2文字を見たファンは、満場一致で賛成していると感じただろう。
『ようやく、あの兄弟の決着が見られる日が訪れた』と感じた人はどれだけいただろう。
そして発表された日から、チケットの抽選応募が開始された。
倍率は、お互いのライブのチケットの最高倍率を記録しそうな程に人気で、ライブ当日には、会場の外で音漏れを聞きに来る人もいたらしい。
一体、何万人?何十万人?が応募したのだろう。
それほどに、マイファスとワンオクのファンまでも。
そして、TakaとHiro。
お互いが「伝説の日」になると確信があったのだろう。
そして訪れた 【待望】 と 【念願】の日
天気は快晴。
最高の天気。
ついに【VS】公演の当日を迎えた。
これからライヴが始めるのにも関わらず、平和に終わりそうな予感がした朝の空気。
会場に着くと『ストテラ』と「ワンオクロッカー」で溢れていた。
とうとう待ち侘びていた日。
筆者も、会場に到着するとついに始まるんだと実感してきました。
ついに始まる伝説の日。
ようやく、あの兄弟の決着が付くのだと思うと楽しみで仕方がない。
色々な感情を考えながら会場の中に入りました。
【VS】に隠された、兄からのメッセージ
いよいよ始まる。
期待と緊張が包まれている東京ドームの会場。
開演時間の18時。
会場の照明が落とされると、正面のスクリーンに映像が流れ始めた。
Takaとワンオクのメンバーには、赤い炎が纏う。
Hiroとマイファスのメンバーには。青い炎が纏う。
そして、TakaとHiroが映し出される。
2人が衝突すると大きく【VS】の文字が大きく浮かび上がった。
いよいよ開演!
会場の熱気が一気に上がった!
スクリーンが消されたあとに、数秒の沈黙が流れる。
ステージ上にスポットライトが当てられた先にいたのは・・・
Takaだ!
最初に演奏を始めたのは「ONE OK ROCK」
一曲目は「The Beginning」からスタート。
大歓声が沸き起こり、そこから会場の熱が下がることはなかった。
一曲目からフルスロットルで演奏を始めた。
どんな想いで、Takaはこの【VS】に望んでいるのか?
Toru、Ryota、Tomoyaの楽器隊も、その想いに続くように最高の演奏を奏でている。
最初の演奏が終わり、TakaがMCを挟んだ。
次に演奏したのは「Never Let This Go」
2010年にリリースしてから過去に数回しか演奏していないレア曲だ。
ワンオクロッカーにとって嬉しすぎる瞬間だった。
初のゲームとのタイアップ楽曲である「Make It Out Alive」では途中のシンガロングが鳴り響く。
過去にTakaが友人のために描いたと語っている人気バラードである
「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」
「Wherever you are」を続けて演奏。
この2曲では、観客全員がスマホのライトで明かりを照らし続け、左右に揺れながらTakaの綺麗で魅力的な声に聞き入ってしまう。とても幻想的な光景が広がっていた。
そして数分間の休憩を挟み、後半戦のスタート。
「Renegades」から始まり、まるで地面を叩きつけながら歩いているような力強い演奏が聞こえた。
続いてライヴのセットリストには外せないであろう人気曲である
「Deeper Deeper」では、会場全体でヘッドバンギングをする光景が
スクリーンに映し出された。
攻撃的な楽曲の連続に、ファンは興奮が収まらない状態だ。
Taka 『本当に戦わなければいけないのは、いつだって自分自身』
そこから、TakaがMCを挟み、打ち明けた衝撃を事実を語った。
Hiroに向けて作った楽曲があると話した。
それと同時に、特別にこの楽曲だけ撮影がOKとなった。
Takaも、弟であるHiroの存在を同じ道で活躍している1人の人間として称賛する一方で「一番、伝えたいことがある」と話して演奏がスタート。
その楽曲とは・・・
『Right by your side』
会場は大盛り上がりで、すぐに撮影を始める人がほとんどだった。
しかし、この楽曲は一般的には知られていない。
その理由は、ワンオクが2017年に開催した【"Ambitions" JAPAN TOUR】での会場限定CD(名前は"Skyfall")として発売していたからである。
そう。そのシングルを購入している人だけしか聞くことができない幻の楽曲ということだ。
ようやく公の場で、Hiroに想いを伝えることが出来たTaka。
兄である自分がどれだけ強いと感じていても
「本気で戦わないといけないのは、自分自身」
という想いが溢れていた演奏だった。
続く楽曲は、夢や人生について自分を大切にして生きることを描いた
「未完成交響曲」を披露。
「Right by your side」からの流れを完璧に繋げているセットリストに感動したファンもいるだろう。
「間違ったていいじゃん!!
1回しかないじゃん
おのれの人生だ!」
Hiroに向けても歌っているように感じた力強い歌声のTaka。
全露力で駆け抜けたあと、Takaは語った。
「We are」では観客のエネルギーを一番に感じ取れたような表情を浮かべたTaka。
自分たちでは、そこまで気持ちが入らないから演奏したくないと語ったかれそ、ファンが喜ぶならやってやろうと始めた「完全感覚Dreamer」
そして、終わりだと思った瞬間・・・
Takaが口を開いた。
『もう少しだけやってから、終わっていいですか?東京ドームの皆さん
僕ら普段からもっと演奏するから、体力がまだまだ残ってるんですよ!
最後1曲だけやって終わりにします!今日はありがとうございました!』
そして最後の楽曲には「キミシダイ列車」を演奏。
Takaが1階のスタンディングエリアを走り回りながら歌っていた。
最後までファンサービスも忘れない精神には拍手を送りたい。
熱狂と興奮が入り混じる中での演奏。
最後のサビの前になると・・・
Taka
『いいかお前ら!
寛樹(Hiro)にも言っておくわ!
人生は本当にこれっぽっちしかねえからな!
悔いなく生きろよ!』
最後の演奏を終えて、拍手が収まらない中で、ONE OK ROCKの出番は終了した。
Hiro 『今日という1日は、僕の人生の夢でした』
そして、とうとう待ち侘びていた瞬間がやってきた。
MY FIRST STORYの登場だ。
ようやくステージに立つが出来た、東京ドームという名の聖域。
そんな想いを胸に選んだ大事な一曲目は、ファンも予想できたと思う。
その楽曲は・・・
「最終回STORY」からスタートだ!
なにを隠そう、この楽曲は2013年にリリースされた楽曲であり
Takaに対しての反骨精神を剥き出しにした楽曲だ。
・いつもいつも、自分の目の前にはTakaがいた
・どんな瞬間でも、何を行動しても、比較されて生きてきた
・なぜ、自分はこんな人生を過ごさないといけないのだろう
あの日(ワンオクの武道館)から初めて、自分の心が揺れ動いた。
今までずっと客席から見ていたけれど、今度は自分がステージに立つ。
そして・・・
兄を超えて、ONE OK ROCKよりも上を目指す。
「1人の人間」としても。
「ロックバンド」としても。
2つの意味で、勝ちにいく。
その思いは変わることはなく、MY FIRST STORYとして10年以上続けてきた。
兄貴には・・・
ONE OK ROCKには・・・
俺たちは絶対に負けない!
そんな気持ちを胸に、最初から本気でぶつかりに行く気持ちが感じられた。
『ようやく手に入れた!そう言えるまで終わらないSTORY!!』
『あの日交わした約束を果たすため、今…追いかけてる!!』
この歌詞には、とても想いを込めて歌うHiroの様子が見られた。
そこから立て続けに人気の楽曲をプレイ。
次は「ALONE」だ。
メンバー全員の心に火が灯り、会場と共に一体感が既に生まれていた。
最後に一斉に歌う「We are not alone」
広大な東京ドームにシンガロングが響き渡る。
ステージには炎が巻き上がり、会場の熱は収まることを知らない程に盛り上がりを見せた。
3曲目は「メリーゴーランド」
この楽曲は、この日の【VS】の想いを胸に描いた楽曲である。
『今から一戦交えるタイトルマッチに沸き立つ会場
最大限まで出し切る 立ち合い 火花が散るほど バチバチ
焼き付けろ その目のファインダーに
マイファスは、2023年に「12ヶ月連続」でデジタルシングルをリリースするという新たな試みだった一年。
【VS】が発表された日は『7月10日』
「メリーゴーランド」が配信された日は『7月31日』
「対バンの発表」と「シングルの配信」を
同じ月にするというファンを虜にしてしまい、早く【VS】がきて欲しいと思う人が増えた7月での出来事だった。
中でも、特に印象に残る歌詞がある。
『未だに忘れた事ない サマソニで叫んだ 「勝ちたい」を』
これは、2018年の夏に行われた「サマーソニック」に出演したときの出来事だ。
最後の楽曲の途中、Hiroは叫んだ。
『絶対に負けないからな!』と、感情をむき出しにした瞬間をみたファンは大興奮だっただろう。
いつまでも、自分の敵は、兄貴であり、ONE OK ROCKだ。
そんな、想いが込められている楽曲である。
思う存分に感情を剥き出しにして歌うHiro。
その想いに続くように激しいナンバーを奏でるTeru、Nob、Kid'z。
切ないけれど軸のロックサウンドはブレない「君のいない夜を越えて」
一説によると、HiroがTakaへ向けた楽曲とも言われている。
最後のサビ前の歌詞から予測されている。
『いつも独りぼっちの時を消せた
思い出の場所に
大事なモノがあるから
僕がずっとずっと
言いたかった言葉は
"本当にありがとう"』
歌っていたHiroの目には、Takaが写っていたのかもしれない。
演奏が終わったあと、MCでHiroは落ち着きながら語った。
憎しみ
悲しみ
怒り
恐怖
不安
屈辱
劣等感
焦燥感
でも、どんな感情があっても最後には・・・
『感謝』
それが、Hiroが一番伝えたいことであった。
お互いのファンの目の前で、ようやく気持ちを伝えることが出来て、Hiroの顔から笑みが溢れた。
この瞬間から【VS】という文字は無くなり、この東京ドームでのライヴを一番に楽しもうという気持ちが芽生えたのか、そこから表情は柔らかくなり気持ちよさが見える歌い上げを見せた。
その
そんな感動的なMCのあとの楽曲は「アンダーグラウンド」
歪みがあるビートに、会場は体を揺らして応える。
そして、そのまま続いて「東京ミッドナイト」「PARADOX」
止まることない演奏。
そして、後半戦の一発目は「虚言NEUROSE」からスタート。
気合い、覚悟、決意表明が現れたように感じた楽曲。
そこから立て続けに「ACCIDENT」を音源とは異なり、イントロを新しく作りアレンジして披露。
次は「THE FIRST TAKE」に出演するほど人気になった楽曲である
「I'm a mess」
サビでは、会場全体がジャンプをすることで会場が揺れるほどに一体感が生まれた。
セットリストの常連になりつつある攻撃的な「MONSTER」
スクリーンにはバイオレンスな映像が流れながらも、会場との一体感は忘れずにサビではシンガロングが鳴り響く「モノクロエフェクター」
ファンに対して、休むことを許さない。
俺たちの演奏についてこい!と言われているような楽曲の連続だ。
連続で会場を揺らし、響かせ、休むことなく演奏するMY FIRST STORY。
彼らの体力は、尋常ではない。
この日に、どれだけ決意や覚悟を込めているのかが感じられた。
マイファスの中で、疾走感が一番と言っても過言ではない「REVIVER」
今までは、過去に演奏したときに音程を下げて歌う場面が多かった。
けれど、この日の演奏では音源を口から出すという言葉が一番当てはまるほどに、Hiroの歌唱力、楽器隊のテクニックの高さ、共に強烈で圧倒的なパフォーマンスを見せつけられた。
本編のラストナンバーとも言えるであろう楽曲
「不可逆リプレイス」
今まで何百回と披露してきただろう。
その演奏は安定していて、かつ綺麗とも言える表現力に感動した。
そして「不可逆リプレイス」が終わった。
そして、マイファスのステージが終わるであろうと思われたが・・・
「Home」が演奏された!
過去に2回にわたり披露してきた一番想いが強いこの楽曲。
そんな兄と、ついに交わることができた伝説の日。
思入れがある楽曲。
思入れがある兄弟。
思入れがある会場。
そんな特別なこの場所で、披露しないわけにはいかない!と聞こえた演奏。
力強い最後の演奏を東京ドームに響かせた。
最後のサビ前でHiroは語った。
Hiro
『必ず、また戻ってきます。
次は、僕らだけの力で!
だから、その日まで応援よろしくお願いします!
本日は、本当にありがとうございました!』
歓声が沸き起こり、最後の演奏を終えた。
『ありがとうございました!!!』
嬉しそうな表情と、ファンとワンオクへの感謝の想いを胸に、ステージ袖にゆっくり離れていくマイファスメンバー。
感動のフィナーレを飾り、大盛況で終える
そして、演奏が終わったあと、スクリーンに映像をが映し出された。
会場でのリハーサルの様子が流れた。
「MY FISRT STORY」のリハーサルの様子。
「ONE OK ROCK」のリハーサルの様子。
それぞれが映し出された。
そして、一度画面が暗くなると流れたのは・・・
「MY FISRT STORY」の楽器隊。
「ONE OK ROCK」楽器隊。
それぞれが同じ楽器隊同士で、会話をしている様子が流れたのだ。
◯ドラム隊
・Kid'z(MY FISRT STORY)
・Tomoya(ONE OK ROCK)
笑顔がポイントの2人で、笑い合いながら楽しく会話をしていた。
◯ベース隊
・Nob(MY FISRT STORY)
・Ryota(ONE OK ROCK)
それぞれの弾き方や、楽器の持つ位置などを教え合うような様子。
◯ギター隊
・Teru(MY FISRT STORY)
・Toru(ONE OK ROCK)
リードギター、リズムギターとしてセッションしているような映像。
楽器隊同士では一度も交わらない世界だったけれど、ようやく公の場で現実となり、ファンからどよめきの声が盛れた。
会場からは、お互いを祝福するかのように自然と拍手が起こった。
そして、TakaとHiroが映し出される。
2人は時々、顔を合わせながらリハーサルを続けている様子が見られた。
そんな映像が流れたあとに、壮大な音楽と共に会場の照明が明るくなると、会場全体から驚きの声が聞こえた。
なんとステージ上には、2つのバンドセットが組まれていた。
・中央から左のバンドセット=MY FISRT STORY
・中央から右のバンドセット=ONE OK ROCK
ドラム、ベース、ギターが2つごとに設置されている。
そして、ヴォーカルのマイクスタンドも2つ設置されている。
そんな不思議なセットを見届けている数秒間。
その後に、両袖から登場したのは・・・
MY FISRT STORYのメンバー
ONE OK ROCKのメンバー
なんと、2バンドのメンバー全員が、同じステージに姿を表した!
会場は、この日が一番の盛り上がりを見せた。
拍手、歓声などいろんな声が聞こえながら2つのバンド見守る会場。
そして、全員が位置に着くと。MCも挟まずに演奏をする雰囲気が流れた
そして、演奏を始めた楽曲は・・・
「Nobody's Home」
ONE OK ROCK × MY FISRT STORY
2バンドでのコラボレーションした演奏が実現した。
なんという感動的な演奏だろう・・・
「Nobody's Home」はワンオクの楽曲であり
Takaが家族に向けて作った楽曲である。
自分の過去を振り返りながら、家族との想いを赤裸々に歌った楽曲だ。
・衝突が多かった親とも距離を取り、自分勝手で家を出たこと
・Taka自身が、自分の所為で家族がバラバラになってしまった
・あの時は、自分が子供だったから感情的になってしまった
・悔しさ、申し訳なさなど色んな感情が入り混じった過去の人生
・嫌なこともあったけれど、家族には感謝している
そんな半生や気持ちを描いた楽曲であり、兄弟であり、家族である身近な存在だったHiroにも感謝が伝わるような楽曲である。
そんなコラボレーションした「Nobody's Home」の演奏は圧巻だった。
この日の最後の一曲だったため、楽器隊同士ではアイコンタクトを取りながら全力で演奏していた。
そして、ヴォーカルである兄弟は、笑い合いながら交互に歌っていた。
HiroがTakaに向き合いながら、最後の歌詞である
「心から愛しているよ、ありがとう」では
歌い上げた後に、お互いが強く抱きしめる様子が見られた。
会場はこの日、一番の拍手が湧き起こった。
Taka Hiro
今まで一番近くで支え合っていた兄弟が、バラバラに離れてしまった。
けれど『音楽』という『家族の原点』を通じて、ようやく手を取り合い
1つになることができた瞬間だった。
最高潮の熱気が伝わったコラボレーション。
拍手が鳴り止まない会場。
【VS】という公演名とは真逆なフィナーレを迎えて、無事に幕を閉じた。
『アーティスト』としても
『兄弟』としても
『家族』としても
それぞれの第一章を終えた伝説の一夜。
音楽の力で、再び繋がることができた兄弟の物語だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ONE OK ROCK セットリスト
1. The Beginning
2. Never Let This Go
3. Nothing Helps
4. Make It Out Alive
5. C.h.a.o.s.m.y.t.h.
6. Wherever you are
7. Renegades
8. Deeper Deeper
9. Right by your side
10. 未完成交響曲
11. We are
12. 完全感覚Dreamer
13. キミシダイ列車
MY FIRST STORY セットリスト
1. 最終回STORY
2. ALONE
3. メリーゴーランド
4. 君のいない夜を越えて
5. アンダーグラウンド
6. 東京ミッドナイト
7. PARADOX
8. 虚言NEUROSE
9. ACCIDENT
10. I'm a mess
11. MONSTER
12. モノクロエフェクター
13. REVIVER
14. 不可逆リプレイス
15. Home
アンコール
1. Nobody's Home
ONE OK ROCK × MY FIRST STORY
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