泥臭さこそHameeカルチャーの土台。1年間カルチャーと本気で向き合い、試行錯誤して見つけた自分たちらしさ。
2022年8月1日付けでプラットフォーム事業をNE株式会社として分社化し、新体制となったHameeグループ。分社化に先立ち、Hameeグループ全体の軸となる価値観をまとめた「Hamee Core(ハミィ コア)」を策定し、カルチャーブックとして全社員に配布しました。
組織は違えど、今後も共通のミッション「クリエイティブ魂に火を付ける」に向かう仲間であることに変わりはない。
だからこそ、根っこの部分がぶれないように、拠り所となる軸をつくり、共に成長していくことを上記のプレスリリースでお伝えしました。
今回は、試行錯誤しながら約1年間かけて「Hamee Core」の策定に取り組んだ「クリ魂事業プロジェクト」のプロジェクトマネージャーである南百瀬さん、甲斐さんの二名にインタビューしました。
プレスリリースではお伝えしきれなかった策定の裏側、プロジェクトに全力で向き合ったメンバーの葛藤・想いなどを通して、クリエイティブ魂を少しでも感じていただければ嬉しいです。
カルチャーとビジネスをつなげる。分社化後もつながる。
―今日はよろしくお願いします!まずは、今回のプロジェクトが立ち上がった経緯を教えてください。
南百瀬:実は2019年からHameeの創業者であるエイさん(現会長)のもと、カルチャー浸透を目的としたプロジェクトを全社として進めてきました。
1期、2期を終えて見えてきた課題、そして分社化後もHameeとNEが心理的・物理的にもつながり、それぞれの企業価値を最大化してほしいというエイさんの思いを引き継ぎ、水島さん・比護さん体制のもとで、2021年5月から同プロジェクトをリスタートしました。
でも、当初は正直何のためにやるのか、何を目指せばいいのか、全く分からない状態で。分社化するのにつながっているって矛盾してない?と思っていました(笑)。
カルチャーが大事って言うけれど、なんで大事なんだっけ?それはどう事業に影響しているんだっけ?と何度も壁打ちしながら、数カ月間かけて少しずつ整理していきました。
その中で見えてきた課題の一つが「カルチャーとビジネスのつながりが見えない」ということ。
「カルチャーが大事なのは分かるけど、そこが(事業に)つながっている感じがしないんだよなぁ」という、何気ない水島さんの一言がきっかけでした。
そして、ごちゃごちゃとスパゲッティのように絡んでいた考えの中から、ようやくプロジェクトの目的を「カルチャーとビジネスにつながりを持たせること」「分社化後も同じ目標に向かう組織としてつながっていること」の二つに絞り、そのための手段として、Hameeのカルチャー軸となるカルチャーブックをつくるという具体的なアクションまで方向性がまとまりました。
ープロジェクトメンバーはどういう構成ですか。
南百瀬:発足当初は4人体制でしたが、そのうちの一人と交代する形で10月頃に甲斐さんがジョイン。その他にコマース事業部4名、プラットフォーム事業部3名に声をかけ、11月からは11人体制となりました。
過去のカルチャープロジェクトでは、コーポレート部門のメンバーが主体だったのですが、事業に関する喜び・痛み・想いに正面から向き合えている感覚が乏しく、どこか腑に落ちない自分が常にいました。
なので今回は、各事業部の前線で活躍しているメンバーやマネージャーに参加を打診。そういった面々で共創できたことが、納得いくアウトプットに繋がった何よりの要因だと心から思っています。
社員1人1人の声を拾い、カルチャーの要素を言語化
―その後、具体的にはどのように取り組んだのでしょうか。
甲斐:カルチャーモデルの書籍を参考にしました。
企業にとってなぜカルチャーが大切で、どうビジネスにつながっていくのか。そしてそれをどう言語化して社内に浸透させるのか。
その手法について、具体的な事例とともに紹介されている書籍で、水島さんから「こういうのをやりたいんだ」と共有がありました。
これらの内容を参考にしながら、自分たちなりにカルチャーを言語化し目的を実現するためのロードマップを組み立てて、メンバーに展開するのが一番最初の仕事でした。
南百瀬:そこから、まず各部のマネージャーに「仕事で大事にしている価値観」などをヒアリングし、結果について全社アンケートを実施。
マネージャー陣の価値観の中から特に共感する部分について回答してもらい、気になる回答の社員にはインタビューやグループディスカッションを通して、より詳しく話を聞かせてもらいました。
意識したのは、1人1人の声をフラットに可視化して抽出することです。
こういったプロジェクトの場合、トップダウンやボトムアップで進めることが多いと思うのですが、全員が大事にしていくカルチャーだからこそ1人1人の声を拾うことが必要だと考えました。
なのでインタビューなどでも役職を意識せず、本音ベースで話を聞かせてもらいました。
その後miroを使いながら、社員から集めた声をプロジェクト内で整理して、いくつかのキーワードに集約。同時並行で、その言葉の深堀をしていきました。
例えば、多くの社員から聞かれた「仕事を楽しむ」というキーワード。でも、「楽しむ」という言葉だけだと、「楽しければなんでもいいじゃん」と捉えられかねない。
そうではなくて、米大リーグの大谷翔平選手のように野球自体を心底楽しみながら、ストイックにプロとしても突き詰めていく楽しさ。Hameeの「楽しむ」ってそういうイメージじゃない?といった形で、一つ一つ認識をすり合わせながら、イメージを具体化しました。
コンセプトは「しばられない」
甲斐:集約のプロセスでは「楽しむ」「コミュニケーション」「シナジー」までキーワードを絞り、そこにビジネスとつながる要素である「成果追求」をプラスして、カルチャーをある程度のところまで言語化しました。
でも、素案を作った段階で、プロジェクトをサポートいただいていたコピーライターの「ひゃくいち」さんから、「このカルチャーのコンセプトはなんですか?」という問いがありました。
それまではカルチャーにコンセプトが必要という考えを持っていなかったのですが、ひゃくいちさんのお話を伺う中で、確かに、ただ言葉をまとめるだけでは自分たちの核には成り得ないし、軸がないとダメなんだなということに気付いて。
そこから自分たちがHameeカルチャーとして一番大切にしたいものはなんだっけ?って話し合いをしながら、時間をかけてコンセプトを考えました。
ーなるほど。頑張って素案は作ったものの、その土台となるものが言語化されていなかったんですね。
南百瀬:そうですね。それに当時はメンバーもみんなの声をもとにまとめたはいいけど、「なんか普通に良いこと言っているだけじゃない?」という感覚にとらわれて、しっくりこないという状況で。
水島さんや比護さんからも「綺麗な言葉にまとまりすぎているんじゃないか」「本当はもっと泥臭いものなんじゃないかな」という意見が出ていました。
また、当時は日中のメンバーの予定調整が難しく、夜遅くまでミーティングをすることも多くなり、体力的にも精神的にもきつい時期でした。
そんな状況が続いていたある日、プロジェクトのミーティングが硬直していた時に、僕がかつて人事部で採用をしていた頃、候補者の方によく伝えていた言葉を思い出しました。
Hameeは、社員のことを信じているからこそ、性善説的な思想や仕組みが強い。なので、自らの意志のもとストイックにできる人にとっては、いくらでも挑戦だったり、やりたいことができる最高の環境。
でも、それができない人にとっては、ぬくぬくとしたぬるま湯にもなりかねない―。
自然と浮かび、口にしたこの言葉が突破口になりました。
誰から言われるでもなく自らの意志で「これを成し得たい」と強く思い、その意志のもとストイックに自己統制することで、挑戦を成し遂げる。
そういった泥臭さこそがHameeカルチャーの土台ではないかという結論にいたり、それまでプロジェクトで抱えていた靄が晴れていく感じがしました。
みんなのスッキリとした笑顔は、今でも鮮明に思い出されます(笑)
甲斐:この時のブレイクスルーをもとに、デザイナーのメンバーがコンセプト案を作ってくれて。さまざまな案があったのですが、「一人称の言葉で、ストレートに想いが伝わるワード」という点から、「しばられない」というコンセプトに決まりました。
コンセプトを軸に、「HameeCore」の素案についてもひゃくいちさんにライティング協力していただき、ようやくHameeカルチャーを言語化することができました。
南百瀬:5つの要素を体現しながら、螺旋階段を上っていくように成長し続ける過程を「EPCIM(エプシム)スパイラル」と名付けて、これを「Hameeカルチャー」の定義にしました。
そしてこれらの内容を「Hamee Core Book」として冊子にまとめ、2022年5月の全社イベントで合わせて全社員に配布しました。
「走りながら考える」「純粋に楽しむ」
―5つのキーワードからなる「EPCIMスパイラル」ですが、お二人にとって特に思い入れの強いキーワードはありますか?
甲斐:どれか一つを切り出してこれって決めるのは難しいですね。ただ、個人的には最後の「Moving 走りながら考える」が鍵かなと思います。
これだけはスパイラルの図の中でも特殊な立ち位置だと思うんです。
でもこれがあることで仕事にスピード感が生まれますし、どういうふうなスタイルで仕事をしてほしいかっていう会社からのメッセージは、この部分に込められているのかなと思っています。
楽しんだり、シナジーを生み出したりっていうのは、みんな当たり前にやれてしまう人たちだと思うので、そこを大事にしながらも、実際にアクションしていく部分が重要なのかなと受け取っています。
南百瀬:僕は、一番最初の「Enjoy 純粋に楽しむ」ですね。今までも過去Valueなどに盛り込んではいましたが、なかなか捉えづらい言葉だったと思うんです。先ほどお話したように、下手すると楽しければ何をやってもいいじゃんという解釈になってしまう。
一方で、ミッションである「クリエイティブ魂に火を付ける」は、ユーザーを驚かせたい、幸せにしたい、笑顔にしたいという思想がベースになっているので、その実現にあたり私たち自身が楽しむことは不可欠な要素です。
だからこそ、分社化のタイミングでこの言葉を明確に定義できたことは大きいなと思います。
Hameeらしさが詰まったHameeCoreを道しるべに
―色々苦労があったと思いますが、印象に残っていることはありますか?
甲斐:コマース事業とプラットフォーム事業で考え方が違うなっていう部分は結構感じましたね。細かいところから大きなところまで。
コンセプトがどっちがいいとか、プロジェクトの中間発表をする・しないとか、その間をとるのが難しかったですね。どちらも正しいんですが、間をとると中途半端なものになるし、その辺りを探っていくのが難しかったです。
このプロジェクトを通して、その違いを肌で感じたからこそ、分社化という会社の決断にも納得感がより強くなりました。
それは決してマイナスの意味じゃなくて、単純に各事業をより成長させるために、事業の特長を持ち合わせた社員がそれぞれ集まっているだけの話なので、むしろそういった違いに気付けた良い機会だったと思っています。
南百瀬:確かに、バックグラウンドや思想、価値観の異なるメンバーが多いプロジェクトなので、チーム総意のコンセンサスの取り方にはかなり時間を要しましたね。
一方で、その多様性のシナジーこそがHameeが成長してきた源泉だと、(個人的には)改めて強く思いました。
単一事業の企業では交えない特色をもったメンバーのシナジーが生まれたからこそ、最高のアウトプットを出せたという実感が強く、分社後も、そういったHameeならではのシナジーが成長の源泉になるだろうと感じています。
特に印象的だったのが、プロジェクトの社内向け中間報告の方法についての議論ですね。
コマースのメンバーとしては、どんな状態であれ、プロセスを社内に共有することで、結果アウトプットが同じであったとしても、最終的な受け手の納得感が全然違うので、報告の場を設けるべきだと考えていました。
甲斐:もちろん、プラットフォーム側も社内共有をすること自体はみんな同じ考えでした。ただ全員集めて貴重な時間を使ってやるよりは、Slackで資料などを流して、見たい人だけに見てもらえばいいんじゃない?それが全員にとってハッピーでしょ?って考えでしたね。
南百瀬:そんなこんなで、中間報告は最終的に任意参加で開催することになりました。
あくまでも社内報告の方法の話なので、ちょっと時間使いすぎちゃったかなとは思いますが、今となってはこういった話し合いが本音でできたことや、普段は交えないような価値観にそれぞれが触れられる環境こそ、うちのカルチャーの特徴でもあるのかなと実感しました。
甲斐:まあ私たちの決断力不足なんで、もう少し早く議論を着地できても良かったと思いますけどね……はは(笑)
―最後に社員のみんなに一言。今後「HameeCore」をどう活用してほしいですか?
甲斐:Hameeに限らずですが、その会社で働く理由って、誰しも迷うことがあると思うんです。そのときに「Hamee Core」を見て、振り返ってもらうといいのかなって思います。Hameeってこういう考えを大事にしているんだよねって。
それを見た時に今の自分がその価値観に合っているのか。もしズレがあれば、それはもしかしたら卒業のタイミングかもしれない。あるいは、改めて価値観に触れ直して、再び自分に火を着けることができるかもしれない。
そういう意味でも、たまに見て活用してもらえると、うれしいですね。
南百瀬:今後HameeとNE、それぞれが成長して、どんなに会社が変わっても、きっと根底にあるHameeらしさっていうものは変わらなくて、それが今回作った「Hamee Core」に詰まっていると思うんです。だから、成功や成長の秘訣、みんなが集う理由もこの冊子にある。
なのでこの先進んでいく中で、どう判断するべきなんだっけ?この方向で合っているんだっけ?と迷った時には、ぜひ道しるべとして活用してもらいたいです。
きっと、そうやってたまに活用してもらうだけで、カルチャーは生き続けていくものだと思います。
―お二人とも、今日はありがとうございました!
おわりに
世の中に星の数ほどある企業の中で、なぜその企業を選び、なぜそこで働くのか?
二人が語っていたように、迷った時に道しるべとなるのが「カルチャー」なのだと思います。
目に見えないものだからこそ、ともすれば、とても曖昧で抽象的な文脈で語られ、企業によっては軽視されてしまうこともあるのかもしれません。
でも、働く場所も時間も、自由に選択できる今の時代だからこそ、自分たちらしさを言語化し、社内外に示していく姿勢は、今後より強く求められていくのではないでしょうか。
私たちHameeは、今回策定した「Hamee Core」をもとに、現在そして未来の仲間が楽しく、自分らしく働けるように、カルチャーを継続的に伝えていきたいと思います。
10年先、20年先も、きっとHameeグループがクリエイティブ魂を滾らせ続けることを信じて。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
◆記事を書いた人