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【Hamee×NE トップ対談】それぞれの100点を目指して。「ネクストエンジン」開発・運営のプラットフォーム事業を分社化へ

2022年6月13日、Hameeとして大きな決断を皆さまにお知らせしました。

クラウド(SaaS)型 EC Attractions「ネクストエンジン」の開発・運営などを手掛けるプラットフォーム事業を分社化し、100%連結子会社である「NE(エヌイー)株式会社」へ承継すること、その代表取締役社長に比護 則良取締役が就任することを発表しました。

今回は、改めて分社化の経緯、HameeとNEそれぞれの未来像などについて、Hamee代表取締役社長 水島育大と、NE代表取締役社長 比護 則良の対談を行いました。ぜひ、ご覧ください。

(左)PROFILE:水島 育大(みずしま・いくひろ)
Hamee株式会社 代表取締役社長

1982年生まれ。大学卒業後、銀行勤務を経て2008年に入社。CFOとして2015年に東証マザーズへのIPO、2016年に東証一部への市場変更を達成。2018年より事業担当取締役、2020年からはHamee Global Inc.の理事を兼任し、M&A、スタートアップ企業への投資事業にも携わる。

(右)PROFILE:比護 則良(ひご・のりよし)
NE株式会社 代表取締役社長

1976年生まれ。スタートアップ企業のエンジニアとして、ホームページ制作、生産工場のシステム開発、ECシステムの立ち上げを経験。2014年Hameeに入社。2018年執行役員、2020年取締役に就任。インターネット業界における豊富な経験を発揮しつつ、プラットフォーム事業の進展に尽力。

企業価値の総和として、より成長するための分社

―改めて分社化を決めた理由を教えてください。
水島:もともとHameeはモバイルアクセサリーを扱うコマース事業と、自社EC運営現場の課題解決のために開発したシステム「ネクストエンジン」を中心とするプラットフォーム事業の二軸を展開し、両事業の相互シナジーを発揮しながら成長してきました。

しかし現在、プラットフォーム事業における「ネクストエンジン」の総契約社数は5,400社。それだけ多くのEC業者様向けサービスとなっていて、今やHameeの自社EC運営における課題解決をするためのサービスといった要素は薄くなってきています。

もちろん社内ではコマース事業での運用方法を参考にする部分はありますが、それはいちユーザーとしてであって、サービス全体としての重要度は低くなっているなと。

なので、「ネクストエンジン」はHameeの課題ではなく、EC業界全体の課題解決をするためのサービスとしてどうあるのかを考えるべきではないかと思っていました。

一方、コマース事業は「ネクストエンジン」を活用し、現在も変わらずその恩恵に預かっているものの、それ以外の部分では、商品企画・開発・製造・販売という、サプライチェーンの上流から下流までの幅広い業務があり、もはや「ネクストエンジン」に収まりきらなくなりました。

大事なシステムであることはもちろん変わりませんが、それ以外の領域でもっとやっていかなきゃいけないことがある。

「iFace(アイフェイス)」のシェアが高まったこと、「iFace」の一部製造機能を買収したことなどもあって、メーカーに近いビジネスモデルにチェンジしてきているなと感じていました。

Hameeのみんなも自分たちがメーカーになってきているなと、ここ3年間くらい特に感じていたんじゃないかな。そう考えた時に、無理に事業間のシナジーを生むことにこだわるよりも、各々の道を進んでいった方が、企業価値の総和として、より大きな成長ができるのではないかと考えました。

比護:僕は取締役にジョインさせてもらった時、いろいろな文化とか、Hameeという空気感は祖業であるコマース事業をベースにできているなとは感じていて。制約や一定のルールなども、コマース中心に設計されているんだろうなと常に感じていました。

ただ、「それが嫌だったか?」と聞かれると決してそうではなくて。個人的にはシンプルに「事業をより良く、より大きくさせよう」と考えた時に、そういう(分社化)可能性があったらいいなとは思っていましたね。

水島:社内でも、僕らが特に何かを言ったわけではないんですが、みんなは「事業間のシナジーを何とかして生まなきゃいけないんじゃないか」「一緒にやらなきゃいけないんじゃないか」と、互いに気遣い合っている部分はあったかもしれませんね。

比護:そうですね。特に各事業のカラーが出始めているなと感じたのは、多分社内のエンジニア比率が上がってきてからですかね。プラットフォーム事業が一定の規模に成長し、エンジニア採用が捗ったことで、いつからか比率がぐっと上がって。

僕は気質的にジェネラリストの方だから、コマースはコマースの良さがあって、それが逆に居心地が良かったりするんだけど、メンバーを見渡してそれぞれの特性を見てみると、やっぱり色の違いが出ているし、その違和感はみんなも気付いているなと思っていましたね。

水島:でも、社内の仲は良いんですよね。別の意見として分社化ではなく事業部制などの選択肢もあったのですが、逆に仲が良いがために、もっと強い方向で切り分けないときちんと分けられなかったと思います。

―仲が良いからこそ、シナジーを生まなきゃいけないと感じる部分も強かったと。
水島:そうそう。分社化より弱い手段だと、気遣いとか、そういう部分は崩せないかなって。

比護:経営層の特性も異なっていますしね。物販や卸とシステムを全て網羅するのはかなり難しい。実際、僕が小売りについて詳しいかと聞かれたら、それは相当厳しいし。その逆もまたしかりで、小売りとシステムは勝手が全然違う。

水島:そうですね。あとは、お客様や取引先など、ステークホルダーの性質も全然違う。

比護:そういう状態だと、当然どちらかに偏っちゃいますよね。どちらか一方がもう一方に合わせにいくという作業がどうしても必要になる。

なので、祖業であり、かつ売上が大きいコマース事業にプラットフォーム事業が合わせにいく作業が必要になっている部分は事実としてありました。それぞれ自分たちの速度で走れるのが、分社化の一つのメリットなんじゃないかなっていう気はしています。

―気を遣わず、自分たちの速度で思いっきり成長できるってことですね。
比護:特に気は遣ってないんだけど、知らず知らずのうちに、Hameeという会社は祖業としてコマース事業が作ってきたから、コマース事業が中心にあると、刷り込み的にみんなが思っていたんじゃないかな。

気を遣っていたとか、違和感とかの話になると違うんですが、知らず知らずのうちにそうしていたということですね。何度も言いますが、息苦しいとかそういうのじゃないからね。

水島:そうですね。Hameeとしては自然なんだけど、その自然が「祖業であるコマース事業が中心にある」という状態になっていたということですね。

リセットできたからこそ、制度も体制もゼロから考えられる

―分社化によるメリットを教えてください。
水島:先ほどお話したように、広い意味で、Hameeのステークホルダー、NEのステークホルダーはかなり性質が違います。そこに向き合いながら事業ができるのはものすごい大きな変化ですね。事業の内容の伝え方やアプローチ方法なども変わってきますし。

あと意思決定スピードもかなり早くなるし、わかりやすくなるんじゃないかなと思います。

比護:実感しているのは、一度リセットボタンを押せるところ。制度や体制など全て、いろいろなものを再考できるタイミングなのかなと。

例えば、組織体制を検討するにしても1人1人の顔を思い浮かべながら、それぞれが活躍できる世界を作るために、どういうルールだとウチの場合はいいんだろうってゼロベースで考える。祖業とのバランスを考えずに進められることに関しては、やっぱり一回リセットできたのは大きいですね。

水島:それはすごい感じます。特にプラットフォーム側。なぜかというと、今の人事制度が全てHameeからできたものだから。

もちろんアップデートはしていて、プラットフォーム事業の要素も入れていますが、比率で言うと7割くらいがコマース事業中心でできているので、そこをゼロから作るのはとてもいいことですね。

比護:大変ですけどね。世の中がこうだからとか、エンジニアだったらこっちの方が合うなとか、そういうことは今までの延長線上じゃなかなか考えられなかったと思いますね。

一回リセットボタンを押せたからこそ、ちゃんと合わせてあげられるというか。NEのメンバーにとって本当に価値のあるものを考えてあげられるのかなと。

そこはきっとHameeも同じ。これまで踏襲してきた歴史や、暗黙的に続けてきたものが一度リセットできたことで、今活躍している人たちの価値観を拾い上げながら、かつ経営層が考えていることをかけ合わせて作ることができますからね。

水島:ですね。一緒だったら多分考えなかったことを考えられるようになりました。厳密に言うと考えられなかったわけじゃないけど、そういう気持ちに今まではなれなかった。

比護:一方をとると一方がうまくいかないっていうのは何度も経験してきたからね。今までのHameeだと、仕組みでもなんでも100点をとるのは難しかった。結果80点くらいしか目指せなかったけど、それが分社化によって、それぞれの100点を目指せるように変わったと思いますね

「分社」はただの言葉。関係性は変わらない

―逆に分社化によって、一体感が薄れてしまう心配はありますか。
水島:一体感が薄れるとは正直全然思っていないです。分社化っていう言葉から、それを聞いた人がイメージしているだけのような気がしますね。そういうことではなくて、逆にそうじゃないと思ったからこそ今回分社化に踏み切れました。

一体感をなくしたいとは全然思っていないです。一体感があったから今までのHameeがあるってわけでもない気がしていて。

比護:一体感を感じながら仕事をしていた人が果たしてどれくらいいるのか。過去を掘り下げてもそこまでいないんじゃないかな(笑)

一体感って、本当にいわゆるイベントみたいなものだったとしたら、やればいいだけだし、そういう話かなと。ビジネス的なつながりはきっと今後もあると思いますし、それはここでいう一体感の話とは違うとは思うけど。

水島:最近の方がむしろそういった話は多いかもしれませんね。ビジネス的なつながりに関しては分かれた方がむしろ強まるのではないかなと思っています。

比護:ですよね。もちろん形式上別れるということに対する寂しさとか、そういう心情的なものがあるのは当然理解しています。

ただ、オフィスも同じだし、住んでいる場所が変わるワケでもないので、近い存在であること自体は変わらない。もちろん年々薄れていく可能性はあるけど、仲良い人はずっと仲良いだろうし、気軽に相談できる仲間であるっていうことは変わらない。心情的な距離感はずっと同じなのかなと思います。

水島:最初は「分社」という言葉にみんな驚いて、社内発表時はいろいろな意見が出ましたが、今はほとんどそういった声を聞かなくなりました。人とのつながりは途切れないですし、自分たちが大事にしてきたものは変わらないんだなって改めて分かったのかなと思います。

比護:この際だから、今のうちに仲良くしておこう、近づいておこうっていう人もいるかもしれないしね(笑)

水島:個人的な感覚ですが、今までは近いからこそお互いのことが分からなかった部分が結構あると思っていて。そこが、少し距離が離れたおかげで相手のことがよく見えて、理解できるようになり、逆に協力し合えるようになった。そんな気がしますね。

HameeとNE。それぞれの未来像

―これからどんな会社を目指していくのか、未来像を教えてください。
水島:これからは、モノを仕入れて販売するだけではなく、多くの事業者が自分たちで何かを生み出すといった開発・製造などの部分に携わらなきゃ生きていけない時代だと感じていて。

そうなった時に、Hameeがお手本になるようなビジネスモデルをつくれたらいいなと考えています。

例えば、クリエイティブな企画開発ができたり、テクノロジーで業務を効率化したり、人の負荷をかけずに仕事ができたり、滞留在庫を生み出さない環境的にもよいビジネスモデルを構築したり、お手本になるような会社をつくり、多くの企業からHameeのビジネスモデルを参考にしようと思ってもらえたら嬉しいですね。

単純なものづくり企業ではなく、そういった「コトづくり企業」を目指したい。そうなっていくと、NEとのコラボレーションも今までとは違う連携が生まれてくるかもしれないですし、可能性は無限大だと思います。

会社としては、Hameeのプロダクトやサービスを通して自分らしくあれる世界をつくるということをビジョンとして掲げています。自分らしくあれることが人の幸せの解だと僕は思っているので、自分たちもそうですし、世の中の全ての人たちがそうなるといいなと。

比護:NEはイチ企業としてもう一回スタートを切れるので、Hameeグループの柱となれるような会社になりたいですね。ビジネスだから、価値を提供して初めて対価をいただくことが当たり前ですが、すごい大事なことだと思うので、企業としては常に価値の連鎖を起こしていきたいと思っています。

「ネクストエンジン」をはじめ、ECコンサルやロカルコなども支援サービスです。なので、僕らは表立って何かをするというよりは、黒子的に全方位に支援していくことを目指したい。

それで価値の連鎖を起こしながら、当事者に価値を感じていただくっていうのが大事かなと。それをやれるだけの事業的展開を短期的にやり遂げたいですね。

会社としては、改めてパーパス考えたいです。やっぱり誰かの支援って時にハードワークで、めちゃくちゃリアリストになっちゃう時がある。そういう時に原点に立ち返り、そこにどんな社会的意義があるのかと1人1人が感じてもらえるような仕事でありたいし、会社でありたいなと思っています。

「NEはこういう価値のある会社なんだよ」ってことを社員1人1人に感じてほしいし、誇れる会社にしたい。

定性的だけど大事なことで、主観的な話で言うと、自分の子どもがNEに入りたいと言ってくれるような会社にしたい。入れるかどうかは置いといてね(笑)

―最後に応援してくれる皆さんに一言お願いします。
水島:ここからHameeとNEはさらなる成長に向けて大きく変わります。今までやってきたことはもちろん大事にしていきますが、ここからは改めてHameeとNEを新しいものとして見ていただけると嬉しいです。

比護:私も同じ気持ちです。やると決めた以上は全員が成功の画を描いていますから。私たちはそこにコミットするっていうそれしかないですね。

おわりに

水島がインタビューで語っていたように、社内でも発表当初はさまざまな声がありました。

しかし現在は1人1人が、コマース事業とプラットフォーム事業、それぞれが大きく成長していくための最善の選択だということを理解し、8月から最高のスタートダッシュを切るべく、今まで以上にクリエイティブ魂を燃やして業務に励んでいます。

会社としては別々になりますが、「クリエイティブ魂に火を付ける」というHameeグループのミッション、目指す先は変わりません。HameeとNE、それぞれで進化を続けながらミッションの達成に向けて全力で走り続けます。

これからの両社の展開にご期待ください!

一緒に飲みに行くなど、なにかと息の合う二人。
お互い老け顔?であったり(笑)、数値に強かったり、共通項も多いのだとか。
「距離が近すぎる!」と照れながらも、イイ感じの2ショットが撮れました。

◆記事を書いた人

執筆者PROFILE:高倉 裕直(たかくら・ひろなお)
広報・会社イベント担当。 静岡の片田舎で夫婦二人のんびり暮らし。ペットのコザクラインコと音楽が大好き。最近は娘が生まれ、ドタバタしながら子育てを絶賛エンジョイ中。

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