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心無い言葉にどう対応することが正解なのか


「チン!チャン!チョン!」
アジア人を蔑視した人種差別用語だ。

子供と買い物に出かけ街中を歩いていると、通りすがりに言われる。その日は人通りも多かった。言ったのはチラシ配りの男性で、立派な大人。同じチラシ配りをしている仲間と笑っている。

心無い大人の一言で、一緒に歩いている子供が涙目になった。

小学4年生の子供は、自分がアジア人に見られることを意識し始めた。特に、コロナが中国から始まったと言われ始めた頃、マスクをしていてもアジア人だとわかるため、道を歩いているとき、「今の人たち、自分たちを避けて歩く道を変えた。」などと言って気にした。実際は違うのだが、子供の目にはそう映ったようだ。「違うよ。たまたまあっちに用事があったから向こうの道に移動したんだよ。」と私は答えた。

子供が小学校に行き始めた頃、学校で大きな学年の子供たちによくからかわれた。

「チン!チャン!チョン!」

「そんな言葉を言わないで!」

果敢に相手に立ち向かう。

休み時間、私の子供のことをよく知らない子供たちがからかう。そんな現場を見つけた見回りの先生が、その子供たちに注意して回ってくれていた。時には校長室に連れて行って厳重に注意する。学校の先生の協力もあり、からかいは随分減ったがゼロにはならなかった。

学校の外でも言われるが、知らない子供たちから、「チン!チャン!チョン!中国人!!」と言われた場合、私の子供は、「違うよ、日本人だよ。」と訂正していく。でも、これが大人から言われた場合は、涙目になる。子供心に、子供たちの場合は外国人に興味を持って言っていると思っているが、大人の場合は悪意を感じているのだろう。

学校の外に出ると助けてくれる先生や友達はいない。大人になればなるほど理不尽な差別は受ける。差別に対してどのように対処すればよいのか、どのように受け止めるべきか、正解は見つけられない。差別の言葉を発せられても、差別の言葉を発する人の問題であって、あなた自身に問題があるわけでは無いと伝える。それでもまだまだ小さな子供だ。傷付く。

日本に住んでいたら、しなくてよい経験だ。しかし、自分が経験したことで物事を感じ、考えてこの先進んで欲しいと願う。9歳の子供にとって差別問題は大きすぎる課題であり、そして、なにより差別問題は根深い。今の世の中で差別がなくなるとは考えられない。周りを変えることができないから、今は自分の受け止め方を変えることしか教えてあげられない。自分を否定しない人生を。





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