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どこかの誰かの物語

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どこかの誰かさんの身の上話
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#私小説

最後に

 年の瀬が近づいている今、最後の更新からかなり時間が経ったのを思い出した。
身辺に大きな変化があり、すっかり更新することの無くなったこのnoteシリーズ。これで最後にしようと思う。

 あれから私は大きな決心をした。
五年ほど密かに片想いしていた人と結ばれたいと。
もっと早くに想いを伝えても、と読者諸兄らは考えるだろうが、彼と自分との年齢を考えて踏みとどまったのだ。
 彼と出会い、好きになったのは

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 このNoteを始めて1年が経ったらしい。
更新頻度も低く、内容も暗く胸くその悪いものである為、読者諸兄らには謝罪の念しかない。
ただ愚痴を書き連ねるのも味がないとして、こうして私小説という形で書いている。それでも読了後の後味の悪さは拭い去れないだろう。
重ねて謝罪する。

 さて、半年前に書いた通り、私の新年は最低なものだった。
言うまでもない地獄のような内容である為に改めて書きはしないが、気に

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 新年。昨今の世情もあり、あまり穏やかでない年末年始となった方も少なくはない。かくいう私もその一人だ。
とは言え、世間一般からすればごく些細なことだと断じられるかもしれない。しかし、私には少々痛手であった。それだけの事である。

 例年通りなら祖母の介護をしつつ御節を作る筈だったが、昨今の世情や他の理由から『祖母の約束』は断念。本人は作るつもりでいたが自身の手術を理由に受け入れ、母も今年は簡単に済

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 これまで暗いだけの話を続けてしまったので、今回はやや暗いだけの話をしようと思う。私の緩やかな希死念慮についてだ。
題材からして気分を害してしまう恐れしかない為、読む場合は無理のない範囲で読み進めてもらえるとありがたい。

 ここで予め書いておくが、私自身は自殺がしたいわけではない。だから『希死念慮』と書いたが、そこに強い自殺願望があるわけでも実行する気も今のところない。
ただ、今の状況から逃れら

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 今日は気持ち的に酷く沈んだ為、これを書いて発散しようと思う。
例によって暗いだけの駄文なので、読む際は精神的に余裕がある時に読んでもらえれば幸いだ。

 さて、今回は以前少しだけ触れた休日の母との『お出掛け』について書き残そうと思う。
以前語った通り、私の母は自ら仕事を増やして忙しい自分に酔っているタイプで、流行りのものに流されやすくマルチ商法にも乗っかるような人間だ。それでいて自分は少女漫画の

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 さて、ここまで他人よりほんの少し不幸な生い立ちを語った私だが、今回はこれまでの文章内で見え隠れしていた宗教について書いていこうと思う。
法に触れるような宗教ではないが、世間一般的というには憚られる。そう言った内容になるだろう。

 始めに言ってしまうが、私には信仰心はない。
これまで書き記した文章からも伝わる通り、自分や自分にとって大切な人以外には関心がない。それは神や祖先などに対しても同じだ。

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 少し前に父はよく手が出る人だと書いたのを覚えているだろうか。あの事を少し掘り下げようと思う。
手が出やすい、とは一口に言っても色んな種類があるが、私の父の場合は暴力的な意味の方だ。
少々痛ましい表現も含む為、そういった内容が苦手なら閲覧を控えると良い。

 父が怒るのは何時だって些細なことが原因だ。
物心がついてから幼稚園生頃までの原因は以下の通りである。
・おもちゃを片付けていなかった
・靴を

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 これまで暗い話ばかり書いてきたので、今回は前向きなものを書こうと思う。
あの夏の日に壊れてしまった私が人間に戻る話だ。

 人間というのは、1度壊れてしまえば壊れる前に戻る状態は不可能なのだと聞く。私はそれを事実だと体感している。
ゆで玉子が生卵に戻れないのと同じだと思ってもらえばわかるだろうか。人によってはゆで玉子ではなく炒り卵になったり、果ては生卵のまま固い地面に落ちてしまうようにもなる。

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 さて、身の上話は粗方語り尽くしたのでは、と思われるかもしえないがまだある。これがどの家庭でも世間的に見ても普通の事ならば、私は生きることそのものが向いていないのだと思う。
 それでも今生きているのは、そんな理由で命を手放す事が馬鹿らしいと思えているからである。

 そんな私でも死を選ぼうとした時があった。高校に入学して最初の夏休み、私は全てを投げ出したくなったのだ。
自分の進路や将来に希望を見出

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 家族の事をもう半分くらいは書いたので、次は学生時代の私を書こうと思う。
例によって良い思い出などはほんの指先一欠片、それでもどうにか笑顔を浮かべて通っていた頃の話である。

 親から食事を作るように言いつけられて数ヵ月経った頃、私の手に異変が起きたのだ。端的に言えば、食器を手洗いしていた為か手が酷く荒れたのだった。
 当然、外見を気にする母は私を皮膚科に連れて行き、その車内で何度も言われた。

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 今回は主に祖母の話をしようと思う。母方の祖母で、母方の祖父は他界して透析とデイケアに通いながら一人で暮らしている。
よく病院や施設の方からは『大人しくて可愛らしいお婆ちゃん』などと言われているが、私から見れば悪魔のような存在だ。
 多忙の母に代わって育てて貰ってはいたが、その恩を上回る程の憎悪が私にはある。今回は何故私がそこまで祖母を憎んでいるのかを書き起こそうと思う。

 祖母に預けられた幼い

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 前回は主に父に関する事が多かったので、今回は母に関する事を書こうと思う。
まだ前回の分を読んでいないという方は読みたかったらで構わない。この物語たちの1つずつに話の繋がりも読むべき順序もないからだ。
内容は暗く明るい部分などない為、ご自身の精神面に気を付けてほしい。

 私の母には決まった口癖がある。
「ママのようにしなさい」
「ママの子なら出来て当然でしょ」
と、いうものだ。これを一番古い記憶

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 今まで当然のことだと思っていた事が、ふとした瞬間に酷く異質なのだと気づく事もある。当然、それは私にも起きた。
 認知の歪みとはよく言ったもので、一度でもそれに違和感を覚えてしまえば今までのようにはいられないのだ。
 私の身の上に起きたのは、父と母から与えられた枷と祖母の呪縛。どちらもごくごく普通の一般家庭でも起こっていることだと思い、今もなお受け入れて生きている。
いや、受け入れざるを得ない状態

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