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みんなの本棚<11棚目/選者 南任さん>

リレー形式で様々なメンバーから、おすすめ本を3冊選書してもらうシリーズ企画「みんなの本棚」。11人目の選者は、UNIT2 プランナーの成川さんからバトンを渡されたUNIT2デザインルームの南任(なんとう)さんです!
ぜひ、みなさんのインプットにお役立てください。

UNIT2デザインルームの南任(なんとう)さん

兵庫県生まれ、埼玉県育ち(出身校:東京藝術大学/大学院)。空間デザイナーとして2024年新卒入社。現在U2の西村ルームで、to C企業のイベントやPOP-UPなどをデザインしています。
趣味は街歩きや展覧会巡りです。大学では主に建築設計を学んでいました。
建築は、敷地や周りの環境、さらには街や都市と、切っても切り離せない関係にあります。新しい建築の形を考える時間と同等に、既にある場所や街を観察する時間を大事にしてきました。
場所や都市空間に纏わる視点が含まれた本を紹介出来ればと思います。


1.東京の「ダメ建築」ガイドブック

「メイド・イン・トーキョー」(貝島桃代・黒田潤三・塚本由晴 【著】)

90年代の東京で無名の建物を集め、それらを写真・地図・線画のドローイングによってガイドブックに落とし込んだ、建築家ユニット/アトリエ・ワンによる著書です。
本書で取り上げられている独特の建物たちは、文化的な価値観では評価できない「ダメ建築」ですが、どれも東京という特殊な環境で、必要となる条件を貫き通した結果生まれたものであり、逆説的に東京の都市の性質を露わにした建築であると言えます。
例えば、スーパーの屋上が自動車教習所になったものや、道路橋全体がテニスコートになっているものなど、それ単体でみれば奇妙ではあるものの、東京という都市で考えれば、確かにありそうだなと思わせる点が興味深いです。
これらの建物は、建築学の正当な理論によってカテゴライズすることができないものばかりであり、代わりに著者が「異種格闘技/自動尺度/ペットサイズ/物流都市/スポーティブ/副産物/都市住居/建物としての機械/都市の生態系/仮想敷地」の10のキーワードを与え、東京の都市特有の性質を浮かび上がらせようとしています。
20年以上前に出された本書に載っている場所へ行ってみると、東京を形作るリアルな都市空間の一端を時間の移ろいとともに体感することができます。

2.公園にある1台の卓球台を撮した写真集

「TTP」(富安隼久 【著】)

公園の卓球台で様々な人たちが繰り出す場面を、少し離れた建物の窓から定点観測的に撮影した写真集です。
卓球台は本来、卓球をするための台という役割があります。しかしこの写真集に写っている人々は、卓球台を遊具やストレッチ器具、物干し、日除け、酒場などにして自由に過ごしています。
公園に訪れる人々が卓球台に本来の意図とは異なる使い方を見出している様子、あるいは、卓球台が人々の動きや習性を引き出す場を公園に作り出しているとも捉えられる様子に、ある種の豊かさを感じさせます。
ページをめくりながら、卓球台と人々の取り留めのない文脈を想像することに、ワクワクさせてくれる一冊です。

3.建築を考えることへの誘いの詩集

「建築はほほえむ 目地 継ぎ目 小さき場」(松山巌 【著】)

建築とは何なのか、やさしい言葉で綴られながらも本質を突いており、詩を詠んでいるようでもあれば、デザインされたタイポグラフィを眺めているふうにも感じるような、そんな不思議な文体に魅了される一冊です。
浪人生のとき初めて本書を手に取って読み、本という形式でこんなにも自由な表現ができるのかと衝撃を受けたのを今でも覚えています。
本書にある「目地、継ぎ目、小さき場」といった脆くか弱い細部、大きな枠組みから零れ落ちてしまうような細部を、丁寧にすくい上げていく視点は、建築やデザインを考える場合に限らず、都市や街に住む私たち自身の日常生活においても大切なものなんだと思わせてくれます。
建築を知らない人にも、建築を知っている人にも、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

4.次の選者について

次のバトンは、U1プランニングルームの戸頃 綾(ところ あや)さんに渡します!!戸頃さんも私と同じ2024年新卒入社で、新人のプランナーです!
プロダクトデザインをバックグラウンドに持つ彼女がどんな本を読んでいるのか、とても気になります!

>>それでは、次回もお楽しみに!

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