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解読「羅生門」

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芥川龍之介の「羅生門」を中心に解読しています。
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#老年

「羅生門」を読む① 序章として処女作「老人」を読む

「羅生門」を読む① 序章として処女作「老人」を読む

「羅生門」が「帝国文学」に発表されたのは1915年(大正4年)11月です。芥川龍之介は当時、23才、東京帝国大学在学中でした。その1年前、「新思潮」に「老年」という短編を発表してますから、「羅生門」は彼の第2作目になります。

どうでしょうか、ここまでで、この芥川という作家、かなり特異、というか有り体にいうと変です。処女作、しかも彼はこのとき大学生です。それで「老年」?ありえなーい、でしょ。「羅生

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「羅生門」を読む② 2人の芥川/末尾文の改稿について

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▢「老年」と「羅生門」の相違点と共通点

前回、序章として芥川龍之介の処女作「老年」を読みました。まずその「老年」と「羅生門」を比べてみましょう。

1作目と2作目、二つの作品の間は約1年。ほとんど真逆の作品スタイルです。これを、作家の変化とみるか、幅とみるか。う~ん、どっちかなぁ、よく分からないので、ここは両方あり、ということにしておきます。

このように比較すると違いが前面にでますが、共通点も

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