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薄楽詩集

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詩をまとめています。
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#映画

【詩】たぶんジブラルタルまで

【詩】たぶんジブラルタルまで

 たぶんジブラルタルまで

俺は共産主義者だが
このトラックを盗んだ
その理由がけっさくだ
つまり、オンボロだったんだ
わかるかい 小僧
廃棄するんだとさ
まだ六十キロは出せるのに
書類に印鑑が押されたんだ だから
俺はこの相棒と一緒に党を辞めたのさ
ことわっておくが
俺は今でも共産主義者だぜ
運転手はそんなことを陽気に言った

夕立があがると彼は窓を開けて
タバコを吸いながら
どこへ行くのかと聞

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【詩】私のソラリスー浮遊する記憶

【詩】私のソラリスー浮遊する記憶

私のソラリスー浮遊する記憶 

   それなら、やはり、これから何年も・・・彼女の息をまだ覚えている
   空気の中で過ごすべきなのだろうか?いったい 何のために?                                       
               スタニスワフ・レム 「ソラリス」より

渦星雲のように蒼白く蛍光し
その夜はいやに長く
いく粒の震え瞬く弦のように
記憶を降ら

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