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【ハチトーーク第5回】41歳オッサンの小学生の頃の宝箱が出てきた!~牛乳キャップ後編~

おしゃべり対談コーナー「ハチトーーク」第4回の配信です。深夜のラジオ番組を1人でこそこそ聞くような感覚で楽しんでいただけるよう、ユルんでねじれて干からびきったグルーヴでお届けしたいと、一同張り切っております。

この対談は5/25(水)の午後にとつぜん小学生のころの宝箱を持参して出勤した編集部員酒井によって、仕事中の石川、伊波が急遽呼び集められた際に、収録したものです。

前回に引き続き、今日は牛乳キャップコレクション。ではいってみましょう。

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【目次】

1. いま見ると不思議なことば「ホモ」
2. いま見ると不思議なことば「ウルトラ」
3. いま見ると不思議なことば「ビタミン」
4. いま見ると不思議なことば あれこれ
5. 旅とローカル牛乳

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1.いま見ると不思議なことば「ホモ」

石川:この森永の太陽マーク「ホモちゃん」っていう名前なんですよ。知ってました?

酒井:くだらない知識にかけては、天下一品だね。

石川:いやいや、これから牛乳の深い話になるんです。

酒井:ほほう。

▲上段左から 鈴鹿ホモビタ牛乳(三重県鈴鹿市/鈴鹿牛乳)、高島HOMOGENIZED牛乳(三重観阿山郡伊賀町/高島理央)、下段左から いかるが牛乳(大阪府大阪市/鵤牧場牛乳処理K.K.)、丹那牛乳(静岡県田方郡/函南東部農業協同組合)

石川:この4つのキャップは、すべてホモ系キャップです。

酒井:何じゃそれ?

石川:とりあえず名前を勝手につけました。ホモジナイズとか、ホモゲナイズって書いてあるキャップです。略して「ホモ」と名乗る場合もあります。

酒井:ホモジナイズっていい響きだなあ。

石川:昔の牛乳は置いておくと、脂肪が浮いてきてクリームと牛乳に分離しちゃってたんだそうです。それを防ぐためにホモジナイズ(均質化)っていう技術が開発されたらしい。

伊波:じゃあ、その技術を使ってる最新牛乳ですよっていうアピールをしてたんですね、「ホモ」とか「均質」っていう言葉を入れることによって。

酒井:なるホモ。

▲左から 立岡均質牛乳(三重県上野市/立岡牛乳)、たいら均質牛乳(富山県東砺波郡/東高民) 、岡崎牛乳(大阪府摂津市/岡崎乳業)

石川:こちらは均質化キャップ。ホモジナイズっていう技は、昭和30年代から普及し始めたみたいなんだけど、今では一般化して、わざわざ書かなくなっちゃったから、その名称を今見ると、なんだろうと思う訳ですなぁ。

伊波:じゃあ、今の牛乳は書いてないけど、ホモの場合が多いんですね。

石川:そうです。

▲左から MOWノーホモ牛乳(三重県阿山郡伊賀町/高島牧場)、ノンホモ飛騨牛乳(岐阜県高山市/飛騨酪農農業協同組合)

石川:ホモじゃない場合は「ノーホモ」とか「ノンホモ」と逆アピールしてくることもあります。

酒井:オレもノーホモだけどね。HAHAHA。


2.いま見ると不思議なことば「ウルトラ」

▲左から ふたば牛乳(富山県東砺波郡/両砺酪農業協同組合)、名古屋ウルトラ加工乳(愛知県大府市/名古屋牛乳)、四日市フレンド牛乳(三重県四日市市/四日市乳業事業協同組合)

石川:まえ富山に行ったとき、木造の駅の構内に置いてるベンチに「ウルトラ牛乳」って書いてあって、気になったんですよね。

酒井:スペシャル感は伝わってくるね。昔さ「大恐竜大展覧会」みたいに、凄そう感がビンビンに漂うキャッチフレーズがいっぱいあったじゃん。ああいう感じ?

石川:いいですよね。あれ。誇大広告的で、凄そうなこと以外はかえって何も伝わらない雰囲気コピー。

酒井:オレが書く文章も、基本それだね。

石川:個人的には力技のコピー大好きなんですけど、牛乳のウルトラに関しては、ちゃんと理由があるんですよ。

酒井:オレとは違った。

石川:宮城県にある宮城酪農(現・宮酪乳業)が国内で初めて導入した120℃~130℃で2秒間殺菌する、超高温瞬間殺菌法のことを「ウルトラプロセス」っていうんですって。

酒井:牛乳を殺菌する技の名前なんだ。

石川:そうです。このウルトラプロセスによって、牛乳の日持ちが格段によくなった。この技が昭和30年代に普及していって、さっき話した牛乳大革命が起きるわけです。

伊波:昭和43年の乳等省令の改正で、真ん中に円をあけて、製造日を記載するっていう前編で話してた話ですね。

石川:そうです、そこにつながるんです。


3.いま見ると不思議なことば「ビタミン」

▲鈴鹿ホモビタ牛乳(三重県鈴鹿市/鈴鹿牛乳)

伊波:ホモは「ホモジナイズ」の略。殺菌の方法は「75℃15分」だから、ウルトラプロセスではないですね。ビタって何でしょうね?

石川:ビタミンの略でしょうね。今ではビタミンの大切さっていうのは浸透してるし、ビタミン剤で不足分を補えたりもするけど、wikiによると、ビタミンって明治時代に入ってから、鈴木梅太郎さんっていう日本人によって発見されたらしいんですよ。

酒井:へぇ。日本人が発見したんだ。ビタミンって日本語っぽくないのにね。

石川:昭和30年代中頃まではビタミン不足で脚気になる人がまだいて、今よりもずっと、ビタミン取らないと死ぬっていう意識が強かったんじゃないですかね。だからビタミンが入ってることが、今の感覚よりもずっとすごいことだったんでしょうね。

▲北海道旭川のローカル銘菓「ビタミンカステーラ」(高橋製菓)1921年(大正10年)発売

上川総合振興局HP より引用


▲長野県の「ビタミンちくわ」(スギヨ)1952年(昭和27年)発売

スギヨHPより引用

サクマ式ビタミンドロップス(佐久間製菓)

石川:商品名にビタミンってついてるお菓子とかも、そういった時代背景があって出てきたんでしょうね。

伊波:可愛いですね、これ今でも売ってるんですか?

石川:まだ現役。すごいよね。


4.いま見ると不思議なことば あれこれ

▲岩手3.5牛乳(盛岡市上厨川/岩手牛乳)

酒井:この3.5ってなに?Windowsのバージョンみたいなもん?

石川:いいえ。じゃ、バイブルを音読します。

飼料や牛の品種改良により、乳脂肪分を3.4~3.6%の高いレベルで保つことができるようになったことを強調するために商品名を乳脂肪分入りに変更している。

『MILK CAP 牛乳ビンのふたの本』P18より引用

酒井:乳脂肪分だったのか。ビン牛乳って案外細かく説明してくれてんだね。

石川:これも一般化していったら、あえて表記する必要がなくなって、またただの牛乳に表記が戻っていったので、今見ると不思議な感じがしますね。そういえば私が小学生の頃、給食で出ていた牛乳はこういう記載があったような気がします。


▲左から コーヒー牛乳(岐阜県池田町/棚橋善衛)、武田フルーツ牛乳(甲府市上条新居町/三協乳業)

石川:逆にこれは、別に普通だと思われるけど、今はもうなくなっちゃったパターン。平成13年7月から「牛乳」って名乗れるのは、生乳100%使用の製品だけになって、「コーヒー牛乳」「フルーツ牛乳」とかって表記したらダメになったんだって。

酒井:え~マジで?コーヒー牛乳って言えないんだ、いま。

▲ 左から 関フルーツ(岐阜県関市/関牛乳)、北海道牛乳(兵庫県小野市/共進牧場)、郡上牛乳(岐阜県上市/郡上乳社)

酒井:これファンシーなフォントだなぁ。

石川:見てるだけで恥ずかしくなるこの文字見てたら、かろうじて頭の片隅にあった記憶を思い出したんだけど、清里にあるグラタン屋でグラタン食べた気がする。ファンシー全盛期にさ、ちょっとした乳製品ブームってなかった?

酒井:牛はマグロみたいに解体ショーとかしないから。舌切って、ほれ牛タンだよ~とかしないから。やっぱりミルクを売りにするしかないんじゃないの、そこは。


▲学校給食用委託混合乳(大阪府大阪市/太田牧場)

伊波:これなんですか?給食専用?珍しいですね。

酒井:これ、おれがコレクションしていた小学校の頃も、クラス中が話題騒然となったレアな1枚です。記憶に残っています。


5. 旅とローカル牛乳

伊波:牛乳キャップは、見た目も可愛いし、コレクションしたくなりますね。

酒井:ビックリマンシールとかは大手企業が考えてヒットさせたものだけど、牛乳キャップはその土地その土地にオリジナルのものがある。土着系っていうか、ローカリティがあるところがいいよね。

石川:かなり全国のキャップがありますね。大人になってから集める場合は、どんなところで買ってるんですか?


▲塚田牛乳(新潟県新潟市)

酒井:旅先で牛乳の配達所を見つけたらお願いして直接買ったり、その土地のローカルスーパーに売ってることもあるし、銭湯にもあるよ。あとレアなところでは、お見舞いとかに行くときに、市民病院の売店でよく見かけたりもしたし。


酒井:旅に牛乳は欠かせないよね。見つけると写真撮っちゃう。ついつい。

石川:牛乳屋さんって気にして見たことないけど、旧市街地の商店街とかにあったりするのかな?

酒井:そう、新しい旅の視点としても、牛乳キャップはいいよね。旅先で銭湯入って、風呂上りに牛乳飲むのもいいしね。

収録日:2016/5/25(水)

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