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「売れ続けるネット文章講座」〜自分の言葉で伝えるための指南書

文章を書いていて、どうもしっくりこない。自分が紡いだ言葉のはずなのに、どこか手応えがなく、借りてきたような文章になっている。

「自分の言葉」で伝えられていない感覚におそわれたことがある方は、少なくないはずです。

今回は自分の言葉で伝えるための指南書『売れ続けるネット文章講座』の紹介と、悩みの渦中にあった私が実際に本書を読んで学んだこと・おとずれた変化をお話しします。

言葉も伝え方も迷子になっていた

Webライターの仕事では、依頼された内容に沿って記事を作成しています。しかし、仕事名義のnote・Twitterで自分が何を伝えたいのか、何を発信したらいいのか、私は一時期分からなくなっていました。

悩んでいたころの率直なツイートです。

誰かの力になりたくて、何かを提案するにしても、言葉が上滑りする。読者に自然と寄り添える書き方が分からない。
心から納得のいくものが書けないジレンマに陥っていたのです。

あるnoteと、本との出合い

noteではたくさんの方が文章術の記事を公開しています。とにかく勉強しようと決め、数日間文章関連の記事を探しては目を通しました。

そこで、ある方のnoteに出合いました。

「自分の言葉で仕事をつくる」をテーマにした講座を開催されている、コピーライターのさわらぎ寛子さん。検索で見つけた記事を拝読してすぐに、何記事も夢中で読みふけりました。

あくまで私が読んできた限りですが、他の文章作法と異なる、独自の思考・論理を提示されており、「私が求めていた文章の書き方はこれだ」と確信を得ました。

もっとこの方の考え方に触れたい、自分も伝え方を磨きたいと強く思い、今回紹介する本を購入させていただきました。

タイトルは個人事業主や経営者、起業家の方向けのイメージですが、フリーランスや副業を生業とする方、ビジネスパーソンや就職活動中の方にも役立つ内容です。

ここからは、私が本書から学んだ「自分の言葉の伝え方」をかいつまんで紹介します。

学び1 どんな人の味方でいたいか・どの視点に立つか定める

まず「どんな人の味方でいたいか」「どの視点に立って伝えるか」をはっきりさせることで、ブレ気味だった伝え方に一貫性を持てるようになりました。

ライティングでは、よく読者を想定した「ペルソナ(架空の人物)」を設定するよう推奨されています。しかし本書ではペルソナの設定ではなく、「どんな人の味方でいたいか」を定めるよう勧めています。

これまでの自分の人生をグラフ化し、経験から得た価値観を元に、どのような悩みをもつ人の助けになりたいか(悩みの解決)・どのような願望をもつ人の力になりたいか(願望の達成)を掘り下げます。

私が導き出した「味方になりたい人」は大まかに3つです。

・いやなことばかり考えるのではなく、明るい方を向いて生きていきたい人→悩みの解決
・何かに挑んでいる人(特に一筋縄ではいかないこと)、心地よく暮らしたい人→願望の達成

これは自分にとっての「ミッション」、いわば行動理念となります。

ミッションが定まったら、次は「どの視点に立って伝えるか」を決めます。

知識豊富な「先生」として、または少し先を行く「先輩」として伝えるか。もしくは同様の悩みや願望を持つ「同志」として伝えるのか。ミッションと照らし合わせて、自分がどの立ち位置から語りかけたいのかを決めます。

私の場合、日々悩むことが多く、駆け出しの状態なのと、性格上「上の立場から教える」のに抵抗があるため、「同志」のスタンスをとることにしました。

さらに、noteのプロフィールに上記のミッションを加えてから、少しずつですが以前よりフォローしてくださる方が増えました。どんな人に向けて発信していくのか、自分の言葉で伝える第一歩となりました。

学び2 完璧じゃない自分を出す

「もっとうまく書けるようになったら発信していこう」では、上達は難しいです。最初は上手でなくても、人に向けて書いた文章を発信しなければ、伝え方は磨かれません。私もまだまだです。

文章の上手い人、自分には書けないユーモラスが持ち味の人、ライターとして精力的に活動している人…文章に携わる方々を見上げるときりがありません。「自分もこのくらい流麗に書けたら」「もっと依頼数をこなせたら」など、ふと考えては現状を歯がゆく思うことも多いです。

しかし、発展途上・等身大だからこそ伝えられることもあります。取り組みへの姿勢、気づきなどの率直な言葉を臆せず発信するほうが、共感を呼ぶメッセージにつながることもあります。

学び3 言葉に自分なりの定義をつける

自分がよく話題にする・テーマとする単語をさまざまな角度から再定義することで、自分なりの言葉で表せられるようになるワークを行いました。

(所々誤字を塗りつぶしています。すみません)

画像のワークでは「成長」を自分なりに再定義したところ、「過去の自分より進化すること」と具体的な意味づけができました

さらに、このワークで書き出した「成長」に関連する言葉を組み合わせて、「誰かのためになりたいと思った時、人は過去の自分より進化している」といった「自分の言葉」を編み出す方法も学びました

学び4 感情表現は直接的ではない書き方をする

自分の経験を発信する際、「嬉しかった」「つらかった」などの直接的な言葉でなく、より具体的な書き方をすることで読者を引き込む文章になります。

そのために、本書では「概念ではなくシーンを書く」「分解して書く」方法が挙げられています。

概念とシーンの違いは、小説でいうと説明ではなく描写をするという意味合いです。例文を挙げると、

理不尽な思いをして悔しかった。→概念(説明)

あの出来事を思い出すだけで、腹の底が煮えくり返る。握りしめた手のひらに爪がめり込んだ。→シーン(描写)

描写をすることで、悔しさの程度がより具体的になっているはずです。この書き方はエッセイにも役立ちます。

もうひとつの「分解して書く」は、「なぜ(Why)」「どういうところが(Where)」「なにが(What)」を書くことでより共感される文章になると本書で説いています。こちらも例文を挙げます。

○○屋の宇治抹茶ソフトクリームがとてもおいしかった。(直接的)

○○屋の宇治抹茶ソフトクリームは上の層が抹茶、下の層が新鮮な生乳を使ったミルク味で、中につぶあんが入っている。2種類の味が楽しめる上に、つぶあんの食感がアクセントになって、とてもおいしかった。(分解して書く)

どのようなソフトクリームだったのか詳細を書くことで、同じ文末でも印象が変わります(ちなみに、実際に食べたことがあるソフトクリームです)。

学び5 言葉を口に出す・書き出す

伝えたいことが明確でないままキーボードやフリック入力に向き合うと、記事冒頭で述べたように、よそ行きのどこからか借りてきたような文章になりがちです。

その前に頭の中にある言葉を口に出す・書き出すことで、自分が本当に伝えたいことや新しい言葉が出てきます

本書を読んだ上での私の考えですが、口に出したり書き出す方が、自分の脳みそにある自然な言葉だけを使います。
特に、口に出す言葉は顕著です。

仮に私がnoteで「ホリデーシーズンはステイホームをエンジョイしよう」と発信したら、妹や直接付き合いのある友人は私らしくないと首を傾げると思います。
「年末年始は家で過ごす時間を愉しもう」、私の言い方はそのくらい平易な言葉です。

普段関わる人と交わす言葉や、思いつくままに書き出す言葉であれば、自然な自分の言葉になるはずです

実践編 「仕事キーワード」「ミッションキーワード」をかけ合わせた発信

本書では「仕事キーワード」「ミッションキーワード」と日常の出来事をかけ合わせて自分なりの視点や人間性を出すなど、SNSやメルマガなど各媒体での発信に役立つヒントも取り上げられています。

2つのキーワードは、簡潔に説明すると以下の通りです。

「仕事キーワード」…自分や商品を評価・紹介される際のキーワード

「ミッションキーワード」…自分のポリシー、価値観、大切にしていること、何のためにその仕事をしているのか

下の画像は私が実際に2つのキーワードを書き出したものです。ピンクの付せんが「仕事キーワード」、黄色が「ミッションキーワード」です。

「仕事キーワード」は主観的なものだけでなく、前職の上司や同僚、友人から褒められた言葉も入れました。「ミッションキーワード」は「流儀」も入るかもしれません。

実践した私のツイートは以下のような感じです。

このツイートは「正確(仕事キーワード)」×「日中かけているBGM(日常の出来事)」となっています。何気ない日常の話題とかけ合わせて、自分の文章を正確(客観的)に見たいという姿勢を伝えました。

自分についての発信だけでなく、役に立つ情報・セミナーの開催情報などの発信に役立つかけ合わせ方も、多数掲載されています。

自分の言葉で書けた手応え

読了後、note用のネタとして書き留めておいた「赤い小物に惹かれる理由」をエッセイとして投稿しました。

自分のTwitterに投稿をシェアした翌日、なんとnote公式アカウントからツイートにいいねがつきました。
その結果、PV数が普段(2ケタ)の数十~百倍くらいになり、多くの方に読んでいただけました。本当にありがとうございます。
ごく個人的な内容ですが、これまでで最も熱量の高い記事です。

工程としては、前述した仕事キーワード(この記事の場合は「向上心」)を盛り込み、ノートに手書きで下書きをして具体的な描写を意識しました。Twitterでのシェアの重要性も同時に学び、大きな前進となった記事でした。

さらに、ニッチなテーマですが「手帳の替え時」についても記事を投稿しました。

こちらはコラム寄りに書いた内容で、記事作成にあたり協力をいただいた方々にも、有り難いことに好評をいただけました。

このように、少しずつではありますが「自分の言葉」「伝え方」に手応えが得られるようになりました。それは間違いなく、『売れ続けるネット文章講座』を読んだおかげです。

文章の本質はあくまで書き手に委ねられる

本書の最後に、著者のさわらぎさんはこのように述べています。

「自分のことを表現する」ことに恐れを持ちながらも、変わりたい、もっと自分を出したいという思いがあるのなら、人は変われる。(中略)だからあなたも、自分にしか書けないことを、自分の言葉で書いていってください。(「おわりに」より引用)

文章や伝え方を学ぶ人間にとって、どれだけ勇気づけられるメッセージでしょう。

本書はテクニック本ではないと明言されている通り、発信する文章の本質は、あくまで書き手に委ねられます。

言葉や文章の世界は果てしなく、明確な到達点はありません。だからこそ、ありふれた表現よりも、多少不器用でも書き手の人間性が現れる言葉で伝えていくことが大切なのだと、私は信じています。

今回は「自分の言葉で伝える」ための指南書として本書を紹介しました。そのほかにも、ビジネスの観点から学べる内容もたくさん詰まっています。

真剣に文章表現と向き合いたい方にとって、隅々まで学びを得られる一冊です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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