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娘と母と叔母で夫婦別姓座談会やってみた①

二川智南美(以下、智南美):親戚一同、選択的夫婦別姓に興味津々だ! というわけで「娘と母と叔母で夫婦別姓座談会」をやってみようと思います。私は司会進行を務めます、二川智南美(ふたがわちなみ)です。

娘・二川智南美(戸籍姓:竹内)30歳。竹内歴1年半。俳句大好き。

二川百重(以下、百重):智南美の母の、二川百重(ももえ)です。旧姓は森友です。

母・二川百重(旧姓:森友)60歳。二川歴33年。雑草観察大好き。

岡田千重(以下、千重):どうも、百重の妹で、智南美の叔母にあたる岡田千重(ちえ)です。同じく旧姓は森友です。

叔母・岡田千重(旧姓:森友)56歳。岡田歴28年。お菓子大好き。

智南美:よろしくお願いします。千重さんがくれたどら焼きをほおばりながら、気軽に語っていきましょう(モグモグ)

百重・千重:そうしよう、そうしよう(モグモグ)

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強制って、おかしくない?

智南美:さて、さっそくですが、昨今話題の「選択的夫婦別姓(※)」について、どう思いますか? 現在の法律では結婚した場合、必ず同じ名字、つまり夫婦同姓にする必要があるけれど、夫婦でも違う姓でいることを認める制度を作りましょう、という動きですね。

※民法では姓を「氏」と呼ぶため、法務省は夫婦が別姓を選べる制度を「選択的夫婦別氏(制度)」と呼称していますが、この記事内では一般的に使われることが多い「選択的夫婦別姓(制度)」と表記します。

百重:「選択的」がポイントだよね。自分も相手も元の姓のままがいいなら変えなくていいし、もちろん同じ姓にしたい人は変えてもいい。どちらでも好きな方を選べるのがいいよね。

千重:そもそも私はね、名字を変える「改姓」を、法律婚の条件にしていることがおかしいと思うのよ。

智南美:おっと、千重さん、いきなり切り込んできましたね。

千重:だって、名前を変えるって大ごとでしょう。今は特に、いろんなキャリアをお持ちの方がいらっしゃるのに、結婚したという理由だけで、男性であれ女性であれ、必ずどちらかが改姓を強制されるのは、ひどいし不合理じゃないですか。

智南美:姓を変えたくなかったのに、結婚したから戸籍上の姓を変更せざるを得なかった私としては、「それな!」としか言えません。

千重:昔の「家制度(※)」があった頃はともかく、今はそれが崩壊しているんだから、同姓である必要はないよね。

※家制度とは、1898年(明治31)制定の民法で規定された日本の家族制度。戸主(こしゅ)と呼ばれる一家の代表者に強い権限を持たせ、家族は戸主の戸籍に属する。1947年(昭和22)に廃止。

智南美:えーと、なぜ家制度がここで出てくるんでしょう? 

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家制度では同姓が重要だった

千重:家制度は同じ姓を受け継ぐことが、すごく大事だったのよ。たとえば今の法律なら、亡くなった人の財産は配偶者や子どもで分け合うよね? でも家制度の場合、戸主(こしゅ、家族の代表者)が亡くなると長子相続、つまり家の財産は跡取りが相続したの。

百重:家を小さな会社だと考えるとわかりやすいかな。家という会社に属するものはすべて、次期社長が引き継ぐイメージ。

智南美:そうか、昔は長男が家業を継ぐことが当たり前でしたもんね。つまり、仕事だけじゃなく会社名(姓)もそのまま引き継いでくださいね、と。

千重:そうそう。家制度があった頃は、相続が絡むから誰がどの姓になるかが重要だったし、お嫁さん、つまり女性は結婚相手の家に戸籍を入れて、夫の両親やその家族に仕えるのが当たり前だった。

智南美:本当の「入籍」ですね。今は婚姻届を出したら、2人だけの新しい戸籍が作られるから「籍を相手の家に入れる」ことはあり得ないのに、まだ結婚という意味で使われてますねえ。

百重:家制度に憧れを持つ人が多いからかもね。

智南美:えっ、妻が夫の家族に服従しなければならない環境を喜ぶ人なんて、います?

百重:政治家のみなさんのような、まだ家制度を覚えている年配の方々から、お嫁さんに自分の面倒を見させようという魂胆が見え見えでしょ。

智南美:考え方古すぎ(苦笑)

千重:廃止から74年経って、やっと家制度を知らない人が多数派になりつつあるから、さらに世代が交代していけば、「夫婦別姓が伝統的な家制度を壊す」なんて意識は薄れていくと思うよ。

智南美:現時点で、家制度なんて存在していないのに・・・。

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「婿を取れ」と言われて姓について考えた

百重:私が夫婦別姓に興味を持ったのは、家制度が1つのきっかけだったんだよ。

智南美:まさかのそっちからですか。

百重:私の父方の祖母(智南美の曾祖母)は、家制度にすごくこだわっていたの。お母さんの旧姓である「森友」を絶対に絶やしてはいけないと。ところが、一人息子である父(智南美の祖父)には百重と千重、娘しかいない。だから長女である私は「婿を取ってくれ!」と言われていました。

千重:こういうとき、次女はお気楽よね(笑)

百重:あとは母(智南美の祖母)から、家族の姓が同じことは当たり前でないと聞いていたんだよね。母が当時勤めていた商業高校には、家庭環境が複雑で、家族の中で1人だけ姓が違う子がいるなんて、ありふれていたんだって。

智南美:姓について考えたり知ったりする機会が、身近にあったわけですね。

百重:「当たり前」っていわれると反発して考え込む、あまのじゃくな性格も影響してるかな。「結婚するのが当たり前」「結婚は女にとっての幸せ」「女が姓を変えるのが当たり前」「結婚したら当然仕事はやめる」・・・・・・そんな当時の風潮に、若い頃から疑問を持ってたのよね。おほほほ。

智南美:(すごく母っぽいし、その血と精神がそのまま私に流れてきている気がする・・・)


次回:夫婦同姓は新しい⁉︎ 百重さんが33年間抱えてることって?
②へ続く→ https://note.com/haijinnosentaku/n/nd11aa6e0a20f



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