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ウブな少年のかっこよい成長物語
2007年3月6日に投稿したブログより。
久々に読みました。萬月。
芥川賞受賞前後から、どんどん理屈っぽくなってきて、一時期敬遠していたのですが、本作は青春小説の佳作です。
主人公の思考をくどくど述べたり、ちょっと読みにくい漢字が文章にはさまっていたりといった部分はありますが、それでもとにかくシチュエーションがシチュエーションなので、その描写にも結構な筆を割いてくれている分、いつもよりも非常に読みやすい小説になっています。
で、舞台は雄琴。滋賀県は琵琶湖の畔の寂れた町。
主人公は童貞少年。そして何故か働かされる場所は、その寂れた町のソープランド。時代設定が少し古いので、この時はトルコと言われてますけど。
たぶん萬月さんじゃなかったら、この小説は手にとらなかったかもしれません。でも、萬月さんであればという期待どおりに、欲望の館で働く男女の姿や想いを、哀しく、太く、強く、切なく、そして繊細に描いています。
決して暗いイメージはありません。ウブな童貞少年と、最低すぎるオーナーとの格差が生み出すコミカルな空気は、サクサクとページをめくらせてくれます。
そしてウブな童貞少年のかっこよい成長振りも読んでて好感が持てます。
舞台が舞台なので、読むのを敬遠される方も多そうですが、青春小説としては、オレは大アリだと思います。
タイトルも良いですねー。過ぎ行く春を惜しむ。続きが読みたくなる小説です。
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