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明るいトーンで重いテーマの青春小説

2007年3月7日に投稿したブログより。

今日は遠出だったので、この本を選択。

前から気になりつつ、本棚に置きっぱなしだった作家の本。

青春小説です。で、謎解きものです。ただ、ミステリーとはいえ、安っぽい推理ものみたいに死者がでるとか、そういうのとはちょっと違います。北村薫っぽいって言えば分かる人もいるのかしら。自分としては、こういうヤツを読むのは結構珍しい方です。

日本で行き場を失った異国の少女との出会いが、平凡な高校生の日常を変えていくというお話。

少女の目を通して、当たり前だった周囲のものに関する何故・何が明らかにされていきます。

郵便の〒マークは何でこんな形なんですか?

日本人が祈るのは神になのですか、仏になのですか?

こんな質問、普通に暮らしていると何とも思いつきもしません。当たり前と言えば当たり前ですが、ボクらにとって日常的である文化は、異国の目からは非日常的なものなんですね。そこで、自国の文化を振り返るきっかけを与えられます。

少女は自国に新たな文化を持ち帰ろうと、懸命に異文化の不思議をいちいち興味深く、そして哲学的に追求していきます。

そして、日本人からみた、少女の日常は、やはり非日常的なものであった、というのがこの本の根幹になっています。

全然どんな展開になるのかよく分からない話でしたが、明るく清々しいトーンの中に、結構ヘヴィなテーマを潜ませている、好感の持てる青春小説でした。結局行き帰りで一気読み。

読み終わってみると、とても哀しいタイトルの本だとあらためて感じます。

この人の本はあと3冊ほど本棚にストックがあるので、折をみてまた手にとっていこうと思います。

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