![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/51559238/rectangle_large_type_2_a025e8aef1b8ece3a09906d2b4697216.jpeg?width=800)
明るいトーンで重いテーマの青春小説
2007年3月7日に投稿したブログより。
今日は遠出だったので、この本を選択。
前から気になりつつ、本棚に置きっぱなしだった作家の本。
青春小説です。で、謎解きものです。ただ、ミステリーとはいえ、安っぽい推理ものみたいに死者がでるとか、そういうのとはちょっと違います。北村薫っぽいって言えば分かる人もいるのかしら。自分としては、こういうヤツを読むのは結構珍しい方です。
日本で行き場を失った異国の少女との出会いが、平凡な高校生の日常を変えていくというお話。
少女の目を通して、当たり前だった周囲のものに関する何故・何が明らかにされていきます。
郵便の〒マークは何でこんな形なんですか?
日本人が祈るのは神になのですか、仏になのですか?
こんな質問、普通に暮らしていると何とも思いつきもしません。当たり前と言えば当たり前ですが、ボクらにとって日常的である文化は、異国の目からは非日常的なものなんですね。そこで、自国の文化を振り返るきっかけを与えられます。
少女は自国に新たな文化を持ち帰ろうと、懸命に異文化の不思議をいちいち興味深く、そして哲学的に追求していきます。
そして、日本人からみた、少女の日常は、やはり非日常的なものであった、というのがこの本の根幹になっています。
全然どんな展開になるのかよく分からない話でしたが、明るく清々しいトーンの中に、結構ヘヴィなテーマを潜ませている、好感の持てる青春小説でした。結局行き帰りで一気読み。
読み終わってみると、とても哀しいタイトルの本だとあらためて感じます。
この人の本はあと3冊ほど本棚にストックがあるので、折をみてまた手にとっていこうと思います。
嬉しいです。 サポートしていただきまして、ありがとうございます。 こちらからもサポートをさせていただくことで返礼とさせていただきます。 どうぞ宜しくお願い致します。