ヤマサンブラック

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ヤマサンブラック

小説やコラムを投稿しています。 麻雀、競馬、漫画、アニメ、小説、映画が好きです。 小説サイト https://estar.jp/users/1054167135 https://mypage.syosetu.com/2502549/

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黒沢義明別伝 -麻雀職人と呼ばれた男- 「人生の牌譜」

     一  吉祥寺駅の南改札を出ると、黒沢義明は上着を脱いだ。  桜はもう終わり、日中はだいぶ気温が高くなってきている。 「今日はちょっと暑いくらいですねえ」  谷口隆が言った。隆はボーダーのTシャツの上に、薄手のジャケットを羽織っている。 「ああ」  黒沢は上着を脇に抱え、再び歩き出した。斜め後ろを、隆が続く。 (この街に来るのは久しぶりだな……)  麻雀も酒も、新宿の方が好みに合っている。ただ、かつてこの街には黒沢と牌で語れる男がいた。  坂本龍司。サラリーマンにし

    • 夏に鑑賞したい作品。

      大人になると、夏季休暇なんてあっという間だな。 結局どこも行かずに連休が終わっちまう独り者も多いんじゃないか? そんなわけで、せめてひと時でも自宅で夏を楽しめるよう、夏に観たい映画、読みたい小説や漫画を独断と偏見で紹介する。 【映画】 『スタンド・バイ・ミー』 田舎町に住む四人の少年たちが、好奇心から死体探しの旅に出る、ひと夏の冒険を描いた物語。 物語は主人公の回想から始まる。少年時代の友情に思いを巡らせ、寂しさを感じさせるラスト。 『菊次郎の夏』 生き別れの母に会

      • ラストに異なる解釈がある映画

        その後どうなったのかは想像に任せる、というような、人により解釈が異なる作品がある。 制作側が意図したかどうかわからないものもあるが、映画のネタバレサイトで調べたり、人と作品について話した時に解釈の違いがあったりして面白い。 いくつか例を挙げよう。 『シェーン』(1953年) 西部劇の名作。 流れ者のシェーンは世話になった開拓民家族のため、悪徳牧場主と戦う。 シェーンとジョーイ少年との交流が心温まるが、流れ者の悲哀も感じさせる。 「一度人を殺してしまったら——元へは戻れ

        • 8月1日は麻雀の日、そして……

          本日8月1日は牌(はい)にかけて麻雀の日。 雀荘で働いていた二十数年前、雀荘組合の人が持ってきたカレンダーで、それを知った。 そして、8月1日は俺の小説『黒崎アンナは麻雀暮らし!』の主人公、黒崎アンナの誕生日でもある。 麻雀の日ということで、主人公にふさわしいと思い設定したのだ。 アンナはいわゆる爆乳だが、別にパイの方にかけたわけではないぞ。 「アンぐら!」は新所沢に住む雀ゴロの女の子の物語だ。 雀荘の人間模様や、麻雀に命を削る者たちの生きざまを描いている。 本日、以前

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        黒沢義明別伝 -麻雀職人と呼ばれた男- 「人生の牌譜」

          【麻雀】その裁定、どうなの?

          友人の話。 雀荘で、3着目の友人がダンラスのおっちゃんと二軒リーチの状態だった。 おっちゃんは1100点からのリーチで残り100点。 友人は6-9索待ちだった。 おっちゃんがハイテイで9索を引き、「カン」と発声。 しかしハイテイなのでカンすることはできず、誤カンの1000点罰符でトビ。 打牌されることなく、友人のアガリは不成立とのこと。 友人は納得できず抗議したが、同卓していたメンバーいわく、発声の時点で誤カンで1000点罰符、点棒が足りないのでトビだそうだ。 友人はそ

          【麻雀】その裁定、どうなの?

          アニメの金髪キャラが好きだ。

          俺、昔からアニメの金髪キャラが好きなんだよね。 最近だと『【推しの子】』の星野ルビーとか(推しは有馬かなだけど、ビジュアルだけなら断然ルビー)、『ぼっち・ざ・ろっく』の伊地知虹夏とか(これも推しキャラは喜多ちゃんなんだけどビジュアルだけなら断然虹夏ちゃん)。 ガンダムも金髪キャラ多いよな。 ガンダム三大悪女といわれるカテジナやニナも(ちなみにもう一人はクェス)、俺からすれば「金髪だから許す」だ。 好きかと言われればそうでもないんだけど(^^;) まあ好きなガンダムの金髪キ

          アニメの金髪キャラが好きだ。

          【掌編小説】偶然出会うけど結局ネト麻を打つ男女

           派遣の仕事が早く終わり、男は近場の雀荘へ入った。  テンゴ、つまり一〇〇〇点五十円のチェーン店で、男にとってはただの時間潰しだった。  ルール説明を担当したのは、女のメンバーだった。二十代前半くらいで、服装は地味だが、整った顔立ちだ。エプロンの胸に、『ゆかり』と書かれた名札が付いている。  お客様カードに、男は高野と書いた。  高野は案内された卓に着き、ゲーム開始となった。学生ふうの若者が多く、レベルは低い。マナーはいいが、お子様っぽい印象を受けた。 (いまどきは、こ

          【掌編小説】偶然出会うけど結局ネト麻を打つ男女

          【掌編小説】色々あるけど結局ネト麻を打つ女

           帰宅すると、わたしはメイクを落とし、部屋着に着替えた。  コンビニの袋からストロング系缶チューハイを取り出す。ひと息に、三分の一ほど飲んだ。 「あー、疲れたぁ。ホントやんなっちゃう」  仕事が終わったあと、部屋でひとり飲みながらぼやく。それが、わたしの日課だった。  今日のわたしは、本走で散々な成績だった。ゲーム代はフルバックだが、負けは自腹だ。今日はほとんどタダ働きに近い。本走は男性メンバーが優先で入るから、わたしはアウトが嵩むことはないが、男性メンバーの中には、ア

          【掌編小説】色々あるけど結局ネト麻を打つ女

          【掌編小説】色々あるけど結局ネト麻を打つ男

           ディズニーランドよりも雀荘に行きたい。  俺がそう言うと、杏子は泣き出した。  杏子とは、まともなデートはほとんどしたことがない。せいぜい、都内で買い物して、ついでに飲むくらいだ。  休日は大抵、部屋で杏子が作った料理を食べたあと体を重ね、二人で眠っている。起きてまた杏子を抱き、気がむけば買い物に付き合う、そんなところだ。  不意に情欲が湧いてきて、俺は杏子を抱き寄せた。  キスしようと顔を近づけたところで、突き飛ばされた。 「もうヤダ! 別れる!」  床に置いたバ

          【掌編小説】色々あるけど結局ネト麻を打つ男

          私、失敗しないので。

          以前、雀荘であった手牌。 6巡目に3枚切れの北を安全牌として持ちつつの、タンヤオ赤のイーシャンテン。 門前でテンパイすればもちろんリーチを打つつもりだったが、これがまったくテンパイしない。 8巡目くらいからチーテンを意識して上の画像のように並び替えたが、2,5,8sいずれも上家は切ってこない。 ちなみにこう並べておくと、チーしてターツを抜いた際まだ上or下にソーズのターツがあると推察されてしまうので、あえて1枚目の画像のように並べている。 11巡目、ようやく上家が5sを

          私、失敗しないので。

          君は街金社長に蹴られながら麻雀を打ったことがあるか?

          20代の半ば、数ヶ月だけだが雀荘メンバーをしていた時期がある。 アウトばかりで大して給料は貰えなかったが、自分が井の中の蛙だとわかったし、雀荘の仕事を学べたし、接客を通じて学んだことも多く、総合的にはいい経験をしたと思う。 お客さんは個性的な人が多かったな。結構有名な人もいた。 俺がガキの頃大人気だったグループサウンズのメンバーとか、ウマ娘にもなった競走馬の馬主とか。 街金を営むTさんという人がいた。 店長とは、十数年来の友人だという。 このTさんの外見が、怖かった。 ひ

          君は街金社長に蹴られながら麻雀を打ったことがあるか?

          黒崎アンナは何を切る? 八本場

          おっす、黒崎アンナだ。元気してるか?だいぶ暖かくなって、春が近づいてきた感じな。 冬の終わりといえば、ヤマサンが書いた小説『逃れる者』、読んだか? 昭和49年の冬、手積みの時代の玄人(バイニン)を題材にした話だ。 まあ暇つぶしにでも読んでくれよ。 じゃあ、行ってみるか! ちなみに今回は2問とも点棒や場況はフラット、ドラはなしで6巡目という設定だ。 第一問 何を切る? ヤマサンの回答 「1p切り。タンピンを確定させる。2pを引けばタンピンイーペーコー、6s引きでリャン

          黒崎アンナは何を切る? 八本場

          【メイドの】メイド・オブ・ザ・デッドをプレイした【もみあげ】

          Steamで久々にゲームを購入した。 『メイド・オブ・ザ・デッド』は、ひと言でいうと「エッチなヴァンサバ」だ。 ヴァンサバこと『ヴァンパイアサバイバーズ』については割愛する。 ストーリーはウイルスによるパンデミック下のアキバでメイドがゾンビと戦うというもの。 メイド以外は『バイオハザード』みたいな感じ。 で、どのへんがエッチかというと、一定以上のダメージを受けると、メイドの服が破れるのだ。 さらに体力がゼロになると、メイドはウイルスに感染して、出撃不可となってしまう。

          【メイドの】メイド・オブ・ザ・デッドをプレイした【もみあげ】

          「二人の時を告げる鐘」 黒崎アンナは魅せて打つ!

          はじめに 本作は『黒崎アンナは麻雀暮らし!』と作品世界が繋がっています。 こちらは「エブリスタ」と「小説家になろう」というサイトに投稿しています。 黒崎アンナは麻雀暮らし! (syosetu.com) 以前にも一部をnoteにアップしましたが、事前に本編を読んでいると、より一層楽しめると思います。 先に本作を読まれた方は、ぜひ「アンぐら!」を読んでいただければ、と思います。            1  中野コウジは、コーヒーカップを手に取った。  コーヒーは、すっ

          「二人の時を告げる鐘」 黒崎アンナは魅せて打つ!

          逃れる者

               一  ストーブの上のあたりめが、しだいに丸まってきた。  まるで生きているかのように、ゲソの部分はうねうねと動いている。  ひっくり返し、さらに焼く。頃合いを見て、藤岡はあたりめを皿に移した。 「あちっ」  指先の熱さに耐えながら、藤岡はあたりめを裂いていった。  皿の端にマヨネーズを盛り、その上から七味唐辛子を振りかける。あたりめには、軽く醬油をかけた。  やはりストーブの上で燗をしていた日本酒をおちょこに注ぐと、藤岡はひと息に呷った。体がかあっと熱くなり、五臓

          人生は未舗装路

          上記の福地誠さんの記事を読んで興味を持ち、チャンネル登録した駆け出しの若いYouTuber、うみつかさん@umitsuka_3にフォローされた。 春になったら退職し、夏から3ヶ月半ほど麻雀の旅打ちをするのだという。 俺も大学卒業後に入隊した陸上自衛隊で、昇任が決まっていたものの依願退職、友達の部屋に転がり込み、雀荘メンバーをしながら音楽活動をしていた時期があるので、こういったチャレンジ精神のある人は好きだ。 結局俺は20代後半で結婚、それを機に音楽は諦めたが、北方謙三先