ヤマサンブラック

小説やコラムを投稿しています。 麻雀、競馬、漫画、アニメ、小説、映画が好きです。 小…

ヤマサンブラック

小説やコラムを投稿しています。 麻雀、競馬、漫画、アニメ、小説、映画が好きです。 小説サイト https://estar.jp/users/1054167135 https://mypage.syosetu.com/2502549/

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逃れる者

     一  ストーブの上のあたりめが、しだいに丸まってきた。  まるで生きているかのように、ゲソの部分はうねうねと動いている。  ひっくり返し、さらに焼く。頃合いを見て、藤岡はあたりめを皿に移した。 「あちっ」  指先の熱さに耐えながら、藤岡はあたりめを裂いていった。  皿の端にマヨネーズを盛り、その上から七味唐辛子を振りかける。あたりめには、軽く醬油をかけた。  やはりストーブの上で燗をしていた日本酒をおちょこに注ぐと、藤岡はひと息に呷った。体がかあっと熱くなり、五臓

    • 私、失敗しないので。

      以前、雀荘であった手牌。 6巡目に3枚切れの北を安全牌として持ちつつの、タンヤオ赤のイーシャンテン。 門前でテンパイすればもちろんリーチを打つつもりだったが、これがまったくテンパイしない。 8巡目くらいからチーテンを意識して上の画像のように並び替えたが、2,5,8sいずれも上家は切ってこない。 ちなみにこう並べておくと、チーしてターツを抜いた際まだ上or下にソーズのターツがあると推察されてしまうので、あえて1枚目の画像のように並べている。 11巡目、ようやく上家が5sを

      • 君は街金社長に蹴られながら麻雀を打ったことがあるか?

        20代の半ば、数ヶ月だけだが雀荘メンバーをしていた時期がある。 アウトばかりで大して給料は貰えなかったが、自分が井の中の蛙だとわかったし、雀荘の仕事を学べたし、接客を通じて学んだことも多く、総合的にはいい経験をしたと思う。 お客さんは個性的な人が多かったな。結構有名な人もいた。 俺がガキの頃大人気だったグループサウンズのメンバーとか、ウマ娘にもなった競走馬の馬主とか。 街金を営むTさんという人がいた。 店長とは、十数年来の友人だという。 このTさんの外見が、怖かった。 ひ

        • 黒崎アンナは何を切る? 八本場

          おっす、黒崎アンナだ。元気してるか?だいぶ暖かくなって、春が近づいてきた感じな。 冬の終わりといえば、ヤマサンが書いた小説『逃れる者』、読んだか? 昭和49年の冬、手積みの時代の玄人(バイニン)を題材にした話だ。 まあ暇つぶしにでも読んでくれよ。 じゃあ、行ってみるか! ちなみに今回は2問とも点棒や場況はフラット、ドラはなしで6巡目という設定だ。 第一問 何を切る? ヤマサンの回答 「1p切り。タンピンを確定させる。2pを引けばタンピンイーペーコー、6s引きでリャン

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          【メイドの】メイド・オブ・ザ・デッドをプレイした【もみあげ】

          Steamで久々にゲームを購入した。 『メイド・オブ・ザ・デッド』は、ひと言でいうと「エッチなヴァンサバ」だ。 ヴァンサバこと『ヴァンパイアサバイバーズ』については割愛する。 ストーリーはウイルスによるパンデミック下のアキバでメイドがゾンビと戦うというもの。 メイド以外は『バイオハザード』みたいな感じ。 で、どのへんがエッチかというと、一定以上のダメージを受けると、メイドの服が破れるのだ。 さらに体力がゼロになると、メイドはウイルスに感染して、出撃不可となってしまう。

          【メイドの】メイド・オブ・ザ・デッドをプレイした【もみあげ】

          「二人の時を告げる鐘」 黒崎アンナは魅せて打つ!

          はじめに 本作は『黒崎アンナは麻雀暮らし!』と作品世界が繋がっています。 こちらは「エブリスタ」と「小説家になろう」というサイトに投稿しています。 黒崎アンナは麻雀暮らし! (syosetu.com) 以前にも一部をnoteにアップしましたが、事前に本編を読んでいると、より一層楽しめると思います。 先に本作を読まれた方は、ぜひ「アンぐら!」を読んでいただければ、と思います。            1  中野コウジは、コーヒーカップを手に取った。  コーヒーは、すっ

          「二人の時を告げる鐘」 黒崎アンナは魅せて打つ!

          人生は未舗装路

          上記の福地誠さんの記事を読んで興味を持ち、チャンネル登録した駆け出しの若いYouTuber、うみつかさん@umitsuka_3にフォローされた。 春になったら退職し、夏から3ヶ月半ほど麻雀の旅打ちをするのだという。 俺も大学卒業後に入隊した陸上自衛隊で、昇任が決まっていたものの依願退職、友達の部屋に転がり込み、雀荘メンバーをしながら音楽活動をしていた時期があるので、こういったチャレンジ精神のある人は好きだ。 結局俺は20代後半で結婚、それを機に音楽は諦めたが、北方謙三先

          人生は未舗装路

          私はコーラを完全に止めました

          昨年、福地誠さんにベジファースト等のダイエットに関する助言をいただいた。 一時は痩せたが、今年から生活環境が変わりリバウンドをした旨を8月の下旬、福地さんにDMした。 と、こんなやりとりをした翌日、福地さんがnoteの記事をアップした。 リスペクトする人が自分のことを書いてくれるのは嬉しいが、俺はそんなに何度も挫折してはいない。 以前雀荘でコーラをやめたと言ってから実際に飲んだのは2回。 ゼロが2つ多い。ハッシュタグ「#デブ」というのも切ない。 とはいえ、やめると言って

          私はコーラを完全に止めました

          天牌別伝 五

                     五  最後に現れたのは、松本と柏木だった。 「待たせちまったかな。申し訳ない」  松本が、全員を見渡して言った。 「時間通りですよ」  瞬が言うと、松本は笑顔で応えた。  柏木と、目が合った。柏木が頷き、瞬も頷き返した。  今日の『天狗』は、貸切の予約を入れていた。集まったのは、瞬と北岡、三國と八角、鳴海と海輝、松本と柏木、そして菊多の九名だ。  挨拶が済むと、三國に促され、瞬はバッグから新満の遺影を取り出した。卓がよく見えるよう、壁の少し高

          天牌別伝 四

                     四  顔のまわりを、蠅が飛び回っている。  後藤正也は腕を振った。蠅は離れていったが、すぐにまた近くに寄ってきた。  足の踏み場もないほど散らかった部屋で、正也はゴミに埋もれるように座りこんでいた。  新興ヤクザのもとで、正也は経営学の知識と麻雀の腕を活かし、組織の拡大に貢献した。しかし、覚醒剤への依存が強くなり、正気を失うことが多くなると、用済みとして放り出された。  体の中を、蟲が這い回りだした。  幻覚だ。頭の片隅では、そう思う。だが苦痛ととも

          天牌別伝 三

               三  三國健次郎は、たちのぼる紫煙を見つめていた。  少しずつ形を変えながら、煙は上へと昇っていく。  いつの頃からか、対局中に煙草を喫わなくなった。コンマ一秒でも、麻雀以外のことに思考を奪われたくなかった。それだけの理由だが、いまは対局の機会もなくなった。  昨年の『天狗』決戦で敗れた三國は、代打ちを引退していた。現在は、山田陽一が黒流会の筆頭代打ちである。  井河拓真も、成長していた。ゆくゆくは、山田とともに黒流会の二枚看板になるだろう。 「失礼します」

          天牌別伝 二

               二  カレーは、やはり一日置いた方がうまい。  少し早めの昼食をとると、すぐに星野源八は台所で食器を洗った。  めずらしく、今日の『いこい』に客はいない。いつもなら、誰かしら寝転がっているか、人数が揃えば卓を囲んでいるが、今日は全員が仕事にありついて外に出ている。  ドアが開いた。  風とともに、人が入ってきた。菊多賢治。肩にかけた上着と垂れ下がった前髪が、風に靡いている。 「めずらしいな。だいぶ暖かくなってきたが、まだ風は冷たいだろ」 「ああ……。今日は、これ

          天牌別伝 一

           はじめに  この『天牌別伝』は、漫画『天牌』の二次創作小説です。  全五話からなるショートストーリーですが、皆様が作品やキャラクターに持たれているイメージとは異なるかもしれません。  あくまで一読者、一ファンの妄想であることをご了承ください。  作品への想いは、たくさんこめました。           一  沖本瞬は、牌山に手をのばした。  牌を掴めない。  手は確かに届いているはずなのに、指先が牌をすり抜けてしまう。  ――なぜだ。  何度も何度も、瞬は牌を掴もうと

          マグロの中落ち ‐初めてのアルバイト‐

          高3の夏、CDコンポが欲しかった俺は、初めてアルバイトをした。 これまでは、部室でトランプや麻雀をやって金を得ていたが、夏休み真っ只中だ。それに、もう部活は引退している。 俺は地元のスーパーで働くことにした。校則でアルバイトは禁止されているが、地元ならバレにくいと思ったからだ。 俺が配属されたのは鮮魚コーナーだった。時給は700円。当時の高校生バイトはだいたいそれくらいのものだった。 主な作業は、パック詰めや品出し、声かけ等だ。一つひとつの作業はそこまで大変ではないのだが

          マグロの中落ち ‐初めてのアルバイト‐

          競馬サイト

          GⅠシーズン真っ只中だ。 以前はバカみたいに馬券を買っていたが、最近はそこまで大枚をはたくことはない。それでもGⅠはいつもより大きく買いたくなるものだけど。 X(Twitter)では「黒崎アンナは競馬も勝つ!【アンかつ!】」と題して競馬予想を挙げているが、下半期はなかなか好調だ。 軸が堅いレースばかりだが、天皇賞(秋)のジャスティンパレスは直前でワイド買い足して大成功。 結局馬券は予想より買い方が大事だな、とは感じつつも、今回は俺が参考にしているサイトをいくつか紹介しよう

          140字小説コンテスト

          去る7月、オンライン文芸サロン「星々」が主催する140字コンテストに応募した。季節ごとに定められた文字を使った140字小説コンテストで、 「夏の文字」は「遠」。 140字小説を書くのは初めてだったが、佳作を受賞した。 受賞した作品がこれ。 ちなみに作中の「俺」は俺自身ではない。あくまでこれは小説だ。 書き終えた直後からすごく手応えを感じていて、受賞するんじゃないかという気はしてた。 正賞を獲れなかったのは少し悔しいが、応募総数918編の中から選出されたことで、俺の承認欲求

          140字小説コンテスト