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鈴の音

そこまで 気になる ことなら さっさと
動けと 自分に 発破を かけたら
準備 整え 靴履き 外出る

しばらく 歩いて 公園 見えたら
手前の 鳥居を くぐって 社へ
一応 礼して 袋を ひろげて

畳んだ 手袋 取り出し つけると
とにかく しゃがみ 落ち葉を 拾った
気のせい ではなく 聞こえた 鈴の音

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今日は短文の詳細もエッセイで。長いかもしれないので、お時間に余裕のある方は、続きをどうぞ。
3行短文 (4音4節3篇)

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散歩の途中でよく立ち寄る公園には、小さな神社が併設されている。
特に何か祈るつもりも願うつもりもなく、なんとなく空気感が好きというだけの理由で、神社にもふらっと顔を出すことが多い。

無人で小さな社。周りには樹齢の見当がつかないほどの大きな木が数本、社を取り囲むように立っていて、日差しを遮ってくれるだけでなく、風の通り道にもなっていて自然を感じられる。

手を合わせるでもお賽銭を投げ入れるでもなく、鈴を鳴らすこともない。ただ社を前にぼーっとして、最後に申し訳程度に礼をして帰る。それだけ。
まあ、そんな場所がある。

今日も日中、散歩をして公園と神社に立ち寄った。すると昨日、今日とあった天気の急変の影響だろう、濡れた小枝や葉っぱが社の前に散乱していた。
そのことに気づいたのは、ぼーっとし終わって帰る時。
いずれ土に還るものではあるので特に気にすることもないはずなのに、家に帰ってからも少し気になっていた。

自分の部屋もあらゆるものが散乱している状態の人間が、他人というか神の居場所の心配をしても仕方がない。まずは自分のことをどうにかしろ、と思うがなぜだかあのままだといけない気がした。

私は信心深いタイプではない。むしろ神社に参拝する時は心のなかで「おーす、遊びにきたよ」くらいのことを唱えながら参拝するような人間だ。
さらに自分の部屋の片付けもまともにできず、「いい大人が…」という言葉が嫌いな人間。

そんなやつが、ただ毎日ちょっと立ち寄ってぼーっとするだけの場所の小枝や葉っぱの散乱具合が気になって仕方がなかった。
もやもやするのも嫌だったので、ウェットティッシュとコンビニの袋、それにビニール手袋をウエストポーチに入れて神社に行った。

まだ西陽になり始めたくらいの時間で、じゅうぶんに明るく気温もちょうどよかった。コンビニの袋を広げビニール手袋をしたところで、ふと頭をよぎることが。

(この格好、賽銭泥棒っぽく見えんじゃね!?)

住宅街とはいえ、人通りがまったくないわけではない。さらに併設された公園もあるのでたまに人が来る。通報されたらたまったもんじゃない。
だが、場の空気感がそうさせたのかはわからないが、そうなったらなったで仕方ない。というかまあいいか、というくらいの気持ちにすぐに切り替えて、しゃがんでちまちまと落ち葉拾いをしていた。

大きな葉や枝はビニール手袋をしていても簡単に掴めるのだけれど、小さなものになるとなかなか掴むのが難しい。
社の前、左右に置かれた石塔の後ろは指一本分ほどの隙間しかない。そこに溜まった葉っぱや小枝は太めの枝を使ってかき出す。

完全に落ちている小銭を拾おうとしているそれである。
自分を客観視すると怪しい、というか絶対に近づいたらダメな人間にしか思えなくなってくる。悲しい。

手こずりながらも拾った落ち葉と小枝をコンビニの袋に入れていると、ほぼ真上から音が降ってきた。

「シャリーン」。

数秒あいてまた「シャリーン」。鈴の音。
ここの神社(ほかもそうかもしれないけれど)の鈴は、強風にふかれても鳴らない。それは先日、帽子が飛ばされるほどの風に日に来た際に確認済みだ。
今日は通り抜けるような心地好い風がふいてはいたが、先日のような強風はふいていない。

なんだろうと思い、鈴を見たが特に動きはない。鈴から垂れている布は風で揺れているものの、鈴を鳴らせるほどの勢いはない。
まあ、いい。とりあえず落ち葉を拾わねば、という気持ちが勝り再び落ち葉をコンビニの袋に入れていると、またしても「シャリーン」。

ちょうど目に入る範囲の落ち葉と小枝は拾ったし、コンビニの袋もほぼいっぱいになった。
そこに神や眷属がいたのかは知らない。見えないし。声も聞こえないし。
でも、なんとなくお礼とかの意味で鈴を鳴らしてくれたのかな、と思いながらこっちも礼をして家に帰った。

時間にして30分程度。誰も公園に入って来ることも、参拝に来ることも、通報されることもなく終えられた。
ただただ、気になったから軽く掃除をしたという、完全に自己満足でしかない行動だ。だから、何かを期待したわけでもなければ、良いことをしたと思っているわけでもない。ただのお節介。

それでも幻聴とは思えないほどはっきりと聞き取れた鈴の音。もしかしたら一時的に自分の頭の上を鈴を鳴らすほどの強風がふいたのかもしれない。
あの音の正体を突き止める気もないけど、澄んだ音だったことは忘れたくないと思った。

そんな、とあるGWの一日に起きた出来事の話。

なんだか昔の子供会の町内清掃を少し思い出した。
今日はよく眠れそう。

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