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知ってますか?SHE や HE の持つ意味

誤解を招きやすい She He 


前置き:以前、LGBTQの存在が社会で認知されるようになってShe/HeのかわりにTheyを使う習慣が広まりつつある(特に若者の間で)という投稿をしましたが(以下リンク参照)、今回の「She・He 問題」はそれとはまったく違う角度の問題です。

外国で英語を勉強した人のうち、果たして何人の人が『She/Heの使用法』について深く考えたことがあるのでしょうか。私は人称は以下のリストをまる覚えして、あっちでこっちでもShe/Heを彼女、彼という意味でカジュアルに使っていました。本当につい最近まで。それって私だけでしょうか。 

     【英語の授業で習った人称】
1人称    I    わたし
           2人称   You   あなた
           3人称   She   彼女 
                 He  彼 
                 They 彼ら・彼女たち

1.She He=あの人

会社や学校で同僚や同級生が、ちょっとトーン落しめでこんな会話をしていたら、あなたの反応は?

高橋君だとか佐藤さんという名前をあえて使わず、
「あの人(彼)ってさ・・・だよね!」
「あの人(彼女)がさ・・・したんだって!」 

英語で言うと
「He is  *****, isn't he?」
「She did *****the other day.」

イギリスで会社の更衣室や学校のトイレでこんな会話を耳にしたら、「あれっ、悪口とかゴシップかな?」と思ってしまうかもしれません。

彼女、彼という意味で習っていたShe He が、使われ方によっては日本語で言う「あの子」とか「あの人」という意味になってしまうことがあります。

イギリスでは、周りに漏れ聞こえても、その会話を耳にした人が誰のことを話しているのかわからないように『She/He』を主語にしてよく話します。She/He (名前をあえて言わず)を最初から最後まで使って話していると、周りは「あの人のゴシップかな」とか「悪口かな」と想像します。状況によっては「私のこと言ってるのかな?」と心配になってしまう人もいるでしょう。

一つの会話の中で、名前を使わずにSheとかHeを使って話を続けていると誤解されてしまったり、相手を心配な気持ちにさせてしまう可能性もありますのでご注意を。

2.人を怒らせてしまう She/He

私の娘が17歳になって、ある日、主人と娘と3人で夕食をとっていた際に主人からこう言われました。

「今まで我慢してたんだけど・・・・(17年間)」

Can you stop saying "SHE" when we are talking about Emma (娘の仮名) in front of her?
「エマの前で彼女の話をするときに、『She』という主語で話すのはやめてくれないか?」

主人は『Can you 』の文章で始まった文章の最後にマジックワードの『please』をつけませんでしたので、ほぼ命令・要求に近いものだということが瞬時にわかりました。※マジックワードについては以下の投稿を参照ください。

私:「え?どういう意味?」

主人の説明はこうでした。
「君がエマの事を話すときに、エマが私たちと同席して彼女の話をしているのに、君はいつも主語にSheを使って話す。最初から最後まで”She(彼女)がこれした”とか” She(彼女が)ああだった”と。エマが私たちとここにいる時は(いない時もだそうです)、エマという名前を主語で使って話すか、彼女の方を見てYouと呼ばないといけない。Sheで話すことは、自分たちの娘であろうとも相手にとても失礼なんだよ。」

どうやら17年間、ずっと我慢してたらしいです。

今思い起こせば、時々こんなことを主人が冗談めいた感じで言ってました。

「Who is SHE?」(彼女って誰の事?)
「 She?  Do you mean Emma? 」(彼女?エマの事言ってるの?」

私的には『どう考えてもエマのことに違いないだろう』という内容の質問をしてきてたので、正直、おかしいな(めんどくさいな)と思っていました。

「なぜ17年間注意しなかったのか?」という私の質問に主人はこう答えていました。

「エマが小さい時は目をつぶっていた。エマが幼かったときは、あまりそういうエチケット的なことをエマはよくわからないだろうと思っていたし、お母さんが英語のネイティブスピーカーではないことは理解しているので、英語がわからない人だから、と割り切ることもできていたかもしれないと思っていたけれど、エマはもう17歳、来年には18歳の成人となる。彼女も恐らくマナーやエチケットについて思うこともあるであろう。これ以上、成人になる娘に失礼な態度をすることは許されないと思う。」

主人の言う『失礼な態度』とは、いったいどういう意味なのでしょう・・・

Sheが失礼な意味 解説

状況設定: 3人でご飯を食べている。©globalsymbols

【会話例】
 私:今日ね、She(彼女)が学校で英語の先生から褒められたんだって。
主人:へぇ~、すごいね。先生は、なにについて褒めてくれたの?
 娘:この間書いたエッセーが素晴らしかったと言ってくれたの。
 私:それでね、She(彼女)はそのエッセーをクラスの前で読んだんだって。

主人の言い分。

①まず、SheやHeで話をすると、誰の話をしているかがはっきりしない場合が多い。話の流れからするとこの人のことかな?と聞き手が想像しながら会話を続けていくことになる。時には話し手に確認しないといけない。上記の会話例にも登場人物の女性が娘を含め2名。娘と英語の先生。Sheと言ったら、どちらを指しているのか、これも聞き手が想像で理解する努力をしなければいけない。

例えば、この会話では、クラスでエマのエッセイを読んだのが先生なのかエマ本人かがわからない。

Image ©LoveToKnow

②上記の会話の中で、私がエマと言わず『She』を主語に会話を進めることで、知らず知らずのうちに、娘を会話の蚊帳の外に置いてしまう状況を作り出すのだそうです。まるで『私と主人の二人だけ』で会話をしているような雰囲気を作ってしまうそうです。そして聞き手によっては、その場にいる娘の名前を言わずに「Sheが~」とか「Sheは~」を何度も使って話していると、私がわざとエマを会話にいれないようにしているのかなと思うかもしれないそうで、聞き手によっては私が失礼だとかエマに意地悪しているのかなのかなと、私に悪い印象を持つ可能性もあるそうです。

私は17歳の娘に向かって聞いてみました。

私:お父さんが私がエマの事を話すときにSheを使って話をしていると、エマを蚊帳の外に置いちゃっているみたいなこと言ってたけど、エマはそう感じてたの?

娘:お母さんが外国人だからしかたないと思っていたけど、正直いい気持ちはしていなかった・・・。

知らなかった… そんな風に思ってたなんて。

先日、すっかりSheが習慣づいてしまっている私は、また主人と娘の話をしたときに「Sheが~」と言い始めたら一言。

「You must ban the use of SHE!」Sheの使用をこれから禁ずる!
と半分冗談(多分、本気)で怒られました。

『She/Heは災いを呼ぶ』と覚えておいて、人の名前を主語に使う習慣をつけて話すようにすることをお勧めします。人の名前を主語にして損をすることはないそうです。ぜひ参考にされてください。

イギリス在住歴20年で、小中学校で習う基本英単語の使用法について、こんな年になってから、まるで子供のように指摘を受けて… なんとも情けないかぎりです。

観光で訪れるだけであればsheやheの使い方にナーバスになる事はないですが、留学生の皆さんは、討論する場では基本的に名前で文章を始めるようにしてると、聞き手の誤解や困惑を避けられると思います。参考まで。

注:これはイギリス人の主人の意見ですので、アメリカではどうなのかはわかりません。

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