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代名詞「They」

近年、社会で『LGBTQ+』が理解・認知され始め、社会的な位置を徐々に確立しはじめていることは素晴らしい事だと思います。

What are your pronouns?「あなたの”代名詞”はなんですか?」

私が学生の頃には、存在しなかった英語のフレーズです。

ノンバイナリー(nonbinary)とは、性別と言う概念を持たない考え方です。日本でも既に話題になっているかもしれませんが、その考えを基に、代名詞のSheか?とHeか?と使い分けるのではなく「Theyを使おうではないか!」という動きがあります。

確かに、イギリスでは若い年代の人たちの中で「Theyを使うべき論」がすでに浸透し始めています。ただ実際の生活の中で、すべての人の事を話すときにTheyを使っているかと言うとそう言うわけではないようです。その人がLGBTQ+であると公表している場合やその人の事がまだよくわからないと言った場合にTheyを使うのかな?と思いながら娘の話を聞いています。(注:あくまで私の住んでいるところの、娘と娘の周りの人たちの状況です。)

高校でできた娘のお友達の中にも、LGBTQ+であるとすでに公言している人、自分探しの最中だと言っている人が複数人いるそうです。そのお友達の話(話題はまったくノンバイナリーと関係ないこと)が出てくると、私の英語が急にたどたどしくなります。

【会話例】
 娘:「エマ(仮名)が〇〇大学に合格したんだって!」
 私:「SHE must be so pleased!」
    彼女は喜んでたんじゃない?
 娘:「You mean, THEY must be pleased …」
           彼女(She) じゃなくTHEYでしょ。
 私:「あっ!ごめん、そうそうTHEY ね。」
    そのすぐ後に
 私:「Which course is SHE going to take at uni?」
    彼女は大学でどのコースを選択するんですか?
 娘:「Mum!You keep saying SHE. (ため息)」
    お母さん、エマの事、She ってずっと呼んでるよ。も~。

女性はShe、男性はHe、両方の(及びItの)複数形がTheyという風に頭にインプットされた外国人の私の脳には、ノンバイナリーの考え方を理解しつつも、代名詞の使用方の変化に対応することが少し難しいなと、娘に指摘されるたびに感じます。

では10代の女の子ではなく、私の年代のイギリス人はこの考え方、言語の変化にどう対応しているかと言うと、あくまで私の周りの話ですが、そこまで気を付けて代名詞を使い分けている様な感じではありません。そして、ノンバイナリーの考えが普及する一方で、宗教や個人の信念(Belief)の為、HeやSheの代わりにTheyを使うということに抵抗を感じる人がまだいるというのが現状だと思います。ただ、その人たちが時代の流れに逆らっていると捉えられることは間違いで、彼らの信じる宗教や個人が持つ強い信念を社会が認識し尊重していくことも、これからLGBTQ+が社会の中で守られていくことと同じぐらい大切なのではないかなと思います。

ちょっと深い話になりましたが。

Theyを使う使わないの解決法は、一番良いのは、日本語のように名前を使うということかなと思います。

【会話例】」
 娘:「エマが〇〇大学に合格したんだって!」
 私:「エマはさぞかし喜んでたんじゃない?」
   「エマは大学で何を勉強するの?」
 娘:「エマは建築学を勉強するのよ。」

という具合に。そのうちに、考え方の対立を防ぐかのように、三人称の代名詞を全く使わなくなる時代がいつか来るのかもしれません。



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