最高のナンバー2になる方法 vol.8 採用面接に関わる
組織の盛衰は組織を構成するメンバー次第です。理想的なメンバーに恵まれるための大事な第一歩は採用面接です。
すでにナンバー2の立場にある方は採用時の面接官をしているでしょうか。
中小企業で人事部がない会社であればぜひ面接官に加わって頂きたいと思いますし、人事部があっても面接に関わって欲しいと思います。
そして、これからナンバー2を目指す方は面接官を任されることを目指しましょう。
どんな人材を採用するかは組織運営の根幹です。
ここにノータッチであるとベクトルを合わせることができない人材が増え、マネジメントも機能しなくなってしまう可能性が高まります。
■採用で起きやすいこと
中小企業における採用の背景には、退職者の補充、業務拡大、人手不足のための増員、プロジェクトや新規事業、新規出店のための新規採用などがあります。(中小企業の新卒採用はやはり今でも少数派です)
中途採用において、会社が欲しいのは即戦力になってくれる人材であることがほとんどです。
採用側は事情によっては一日でも早く業務をこなせる人員数を確保したいという思いに駆られてしまうこともあるでしょう。
その気持ちが強すぎると、面接の場で確認することが経験の有無ばかりとなり、即戦力を欲するあまり自社の理念や文化にそぐわない人材を採用してしまうことが増えてしまいます。(試用期間満了までは猫を被っている人材も少なくないのもあります。)
そもそも自社の理念が曖昧であれば自社にとって良い人材かどうかという定義も曖昧になります。
取りあえずの採用の結果起きることで困るのは早期退職、和を乱す行動によって現場のモチベーション低下や不満などです。
採用担当は人員確保という現場の要請に応えたい気持ちが強くなり、正直、社長が立ち会っていても、現場を正確に把握しないまま、表面的な受け答えの様子を見て気に入り、採用を決めてしまうようなことも多いです。
数限りなく面接をしてきても、採用というのは妥協が生じやすく、人を見抜くのは難しい仕事だと今でもそう思います。
■面接官になるためには
未だポジション的に面接官になる機会がない人にとって、面接官になるためのロードマップをお伝えしたいと思います。
採用は重要な仕事ですから、面接官に誰でもなれる訳ではありません。
「重要なことだからこそ君にも関わってもらいたい」と社長から指名を受ける必要があります。
では、社長にそう思ってもらうためにはどうするかです。
先ずは日頃の担当業務で安定して成果を出し続け、自分の所属チームにいる部下、後輩、新入社員の面倒を見て、成長させる努力をし続けることです。
いきなり面接官をやりたいと言っても任せてもらえませんから、自分のやるべき仕事をきっちりやり遂げていることがスタートラインです。
そのうえで、自分の所属チームでの募集が発生したら同席を願い出てみること。
万一許可を得られたら、質問する機会に備えて、質問を練り上げておくこと。
面接終了後にメインの面接官である社長や人事部、上長などに自分の意見をきちんと述べること。
数少ないこうした機会を繰り返し経験させてもらい、面接官として優れていると社長に思わせたらレギュラー参加させてもらえる可能性が高まります。
面接官は言ってみれば会社を代表して応募者を吟味する役目ですから、その役目に相応しい人材であることを認めてもらうしかありません。
■採用にかかるコスト
ところで社員一人を新規採用するとどれくらいコストがかかるのか意識したことがあるでしょうか?
・募集に関する社内での会議コスト
・求人原稿を起案する時間的コスト
・有料媒体での求人掲載、採用時に関するコスト
・応募者管理に関する時間的コスト
・紹介であれば成約時の紹介手数料
・面接に関する時間的コスト
・採用後の年間総人件費
採用する人材や想定年収にもよりますが、場合によっては高級輸入車新車一台分くらいの費用がかかる場合もあります。
私も面接の場で即決採用をしたこともありますが、その時は、「レクサスを即決で買う判断をした」といった心境になったものです。
こうしたコストを理解した上で、より良い人材を見極め、採用しないといけない訳です。
面接官を務めることは責任重大ですから、面接の日に応募者に質問し、話を聞くだけでは決してありません。
■確固たる意志を持って面接に臨む
度々お伝えしていることですが、知識や経験が豊富にあっても仕事ができるとは限りません。
会社で働くうえでは知識や経験だけでなく、対人関係能力、チームワーク、会社が掲げる理念の理解、実践なども大切な要素で、作業をこなす能力以上にこれら要素を満たす人材を採用するのが理想です。
つまり、人間性もしっかり見極めないといけないのです。
即戦力を重視するか、経験が浅くても伸びしろを信じ、教育、研修を施すのか、総合的な決断が求められます。
妥協ばかりして採用してしまうと人の出入りが激しい会社になり、既存社員からの会社に対する評価も下がります。
「採用担当はなぜこんな奴を採用するのかよくわからない」
「所詮、こんな人間しか入社しない会社なのか」
「教えたところですぐ辞めてしまうのでその時間がムダ」
「人の出入りの激しい会社に将来はあるのだろうか」
採用担当の苦渋の判断のことなどお構いなしにこんなように感じ、現場の士気低下に繋がってしまうこともあります。
人手不足をいますぐ解消したい、その気持ちはよくわかりますが、安易な妥協はまた違う問題を引き起こしてしまいます。
そもそも理想通りの人材が応募してこないのであれば、求人の内容ややり方自体を見直さないといけませんし、前述したように経営理念が曖昧であるなら魅力的に感じてもらい、かつ組織の軸となる経営理念を社長とともに考え直さないといけないと思います。
採用ひとつ取ってみても、考えることは実は多いです。
冒頭に書いたとおり、「組織の盛衰は組織を構成するメンバー次第」です。
ぜひ、採用面接にも取り組んで頂きたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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