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NO.2の育て方㉝誰もが誰かのナンバー2/NO.2論は処世術

改めてですが、ナンバー2育成をテーマに書いているこの記事のメインターゲットは誰かと言うと、もちろん自分の右腕を育てたい経営者の方向けです。もしくは、経営幹部として期待されているものの、社長との関係性に悩んだり、実績をなかなか出せなくて悩まれている方です。

ただ、ここで書いている内容というのは必ずしも経営者×ナンバー2の関係性に限定している訳ではなく、役職やポジションに関わらず、仕事をしている人全てにとって参考になればと思いながら毎回記事を書いています。

ナンバー2育成と聞くと、「経営者でも役職でもない自分には関係ない」、「人材育成とは無縁の仕事をしているので関係ない」と思われる方も多いかもしれません。

でも、ちょっと考えてみて欲しいのですが、組織で仕事をしているのであれば上司部下や同僚に囲まれていて、上司や部下のサポートをするでしょうし、時には同僚の手助けもするでしょう。また、職種関係なく顧客をサポートすることも日常的に多いでしょう。

つまり、誰もが誰かのサポートをしている存在であり、その点はナンバー2の補佐役としての役割に通じるのです。だからナンバー2育成のポイントを学ぶことは誰にとっても参考になると思うのです。

ナンバー2育成のポイントを簡潔に言うと、つぎの2つに集約されます。
・思慮分別に優れた人間としての成長
・トップを支えるスキル、マインドの醸成

これらは仕事をするうえで大切なことが凝縮されています。

キャリアを積んだり資格を取ったりしても、対人関係能力が低いと思うような成果は出しずらいものですし、成果を出したとしてもそのやり方が人の反感や不興を買ってしまうと長続きしません。まして、トップに仕えるポジションは考えること、やることが多く、正直難しい仕事です。

私自身はサラリーマンをしていた時に複数の企業でナンバー2を通算15年以上してきましたが、飛び抜けた才能があったとは今でも思いません。ただトップにとって頼りになる、居心地の良い存在であったとは思っています。(もちろん成果はしっかり出しました)

新卒入社しても、転職しても、いきなりその組織でナンバー2のポジションに就くというのは先ずありません。必ず先輩、上司がいます。

早くて数か月、長いと数年かけてナンバー2というポジションに辿り着く訳なのですが、中途入社であれば当然自分よりも社歴の長い人たちを飛び越えて経営幹部となるので、やっかみを受けたり、足を引っ張られることなど普通のことでした。

まして、中小企業という職場は理屈よりも感情優先みたいなことばかりです。会社にとって良いこと、正しいと思われることも誰かが気に入らないと見送られたり、先送りになったりします。

また、誰でも知っている大手銀行に勤めたこと(さすがにナンバー2ではありません)もありますが、大企業は縦割り組織で、役割が限定されていて、自由な意見を述べる機会は皆無でしたし、詰まるところ、組織の大義名分のために理不尽がまかり通ってしまう印象を持ちました。

人として自分を磨かない限り、いくら知識や経験だけを増やしても、対人関係能力が上がらないと無力。そう思い続けた時期でした。

そうした環境の中でも、与えられたポジションで着実に成果を出し、人の上に立つために必要なことは何か、そしてトップを支えるためにはどうしたら良いのかを自分なりに考え、追求し続けて今に至っており、自分が学んだことや実践したことをお伝えし、誰かの役に立ったら嬉しいと思って記事を書いています。

かなり脱線してしまった気がするので、本稿のテーマに戻ります。

■ナンバー2ではなくとも、同僚と円滑な関係を築き、先輩、上司に仕えている立場の方

日頃、仕事をしていて、「助かるよ」と感謝の言葉をもらうことがあるかと思います。その時あなたはチームの仕事の進捗状況を考えたり、相手のことを考えて、手伝ったのでしょう。

トップに仕えるナンバー2も基本的にしていることはお手伝いです。

ちょっと違うのは、時に扱いづらい経営者という人に密着して仕えている点、そして会社全体のことを考えて仕事をしている点だけです。

対象や範囲が異なっても相手の状況を客観的に見て、自分がどうすれば相手が楽になるのか、喜んでくれるのか、チーム全体にとって利益になるのかを考えて行動しているはずです。

気が利かない人というのは案外多いです。もしくは周囲が困っていても我関せずという態度で、関わり合いにならないようにしている人がいます。自分の利益に繋がらないことは徹底して無関心を貫く人ですね。

経営者から、「もっと自分ごととして仕事を受け止めろ」などと言われる人たちです。

それが良いとか悪いとかということでは決してないのですが、会社という人の集まりで皆が同じように自分のことしか考えていない、自分のことで精一杯だと会社全体では物事は前に進みませんし、課題があっても放置され、ギスギスした職場になると思います。

人より少しお節介で、他の人よりありがとうと言われる機会が多い人はナンバー2となる資質を持っていると言えます。

■顧客をサポートする役割の方

営業で提案をしたり、お客様にサービスを提供する立場にある方もナンバー2育成論と無縁ではありません。

そこで行っていることの中身は、相手の困りごとを解決することが中心だからです。

ナンバー2の仕事は、課題解決が中心です。

トップを中心にした組織の中で、業績向上のための営業戦略と実行、人材の採用・教育やオペレーション体制の改善など多分野に渡る課題解決の先頭に立って仕事をします。

同じく、対象や範囲が異なっても相手の状況を客観的に見て、自分が何を提案したり、行動すれば相手が楽になるのか、喜んでくれるのか、役に立つのかを考えて行動しているはずです。

営業の実績がある方やお客様のファンが多い方もナンバー2となる資質を持っていると言えます。

余談ですが、私自身の営業活動のひとつとして会計事務所に向けてナンバー2育成の提案もしています。

税理士さんは顧問先を会計や税務を通じた経営分析をして、業績向上のためのアドバイスをするお仕事です。

数字は嘘をつきませんので、数値管理や分析によって経営を考えることは非常に重要なことなのですが、事業は人によって成されているのですから、計画や目標、予実管理のサポートをすることと並行して根本的な問題を突き詰めて、それに対する施策を検討、アドバイスできた方が良いと思っています。

私の考えでいけば、会社の成長期、安定期に頭打ちになってしまうのは社長個人の能力に頼りきりで、社長の限界が会社の限界になっているので、その状況を乗り越えるために優れたナンバー2を持つことを提案しています。(その理由はこれまで書いてきた記事に書いています)

税理士さんにナンバー2育成について学んでみませんかと提案している理由は、顧問先のナンバー2育成についての知見を得て、日頃の税務会計監査にプラスαの対応をした方がお互いにとって良いと考えるからです。

また、会計事務所自体が外部のナンバー2として顧問先をサポートするというやり方でもいいでしょう。

あんまり響いてないなと思うのが本音ですが。

同じように経営者と接する機会が多い職業として、各種コンサルタントや法人営業の保険業の方などもナンバー2育成についての知見を持っていた方が会話の幅が広がり、信頼度が高まると思います。

さて、いろいろ書き連ねてみましたが、よく考えてみるとナンバー2の役割や重要性の話は自分にも関係があるのかなと思って頂けたら、本稿を書いた甲斐があります。

記事タイトルにつけた処世術というとなんだかテクニック論みたいに聞こえてしまいますが、毎日一生懸命仕事をしているのであれば、ほんの少し考え方や行動を変えるだけでお勤めされている人は社内での評価が上がり、事業をされている方もお客様との距離が縮まるかもしれません。

【ナンバー2になるために必要なこと】
・十分なスキルを身につけ、実績を積み上げること
・利他であること

きっと多くの方は十分すぎるだけのスキルや実績をすでにお持ちだと思います。けれども、それにも関わらず自分が思っているよりも成果が出ていないとお感じでしたら「NO.2の育て方」から何かヒントを得て頂けたら嬉しいです。

ナンバー2の本質は利他です。

最後までお読みいただきありがとうございます。