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NO.2の育て方 vol.55 社長は八方美人をやめるべき理由

社員に嫌われたくない社長さんというのがいます。皆にいい顔をして、物分かりの良さそうな態度で接することで社員からの人気を集めようとしている社長です。

こういう社長の元でナンバー2が使命を果たそうといくら奮闘しても成果は出せません。

今回は、社長の八方美人がどれだけ組織運営に悪影響を及ぼすかについてのお話です。

■八方美人な性格の社長の特徴

八方美人は他人に気配りができるなど決して悪いことばかりではありませんが、社長という立場では組織に悪影響が生じてしまいます。

・自分の噂に敏感
他人から嫌われることを極度に避けたいために、いつも周囲の自分に対する評判を気にしている。

・本音を話さない
自分の本音を話すことで社員から嫌われたらどうしようと考えるので、社員の前でも本音を話さない。

・場当たり的
嫌われたり、非難されることを避けたいので、場の空気を読んで耳障りの良い意見を述べるが、本音ではなく、その場が丸く収まればよいと思うので対応が場当たり的になり、結果として、噓つきになる場合もある。

・自分の身を守るために他人の悪口を言う
自分が非難されることを避けるために、他人をスケープゴートとして利用し、悪口を言い、自分には非がないようにする。

要するに嫌われたくないから本音を隠し、自分を守ることに必死なのです。

■八方美人な社長が原因で組織運営に悪影響

ナンバー2と二人で話し合い、とある決定をし、その決定が現場の社員に一時的に負荷をかけることになるとしましょう。

その決定に対して、社長に不満をもらす社員がいて社長が個別に対応する際に、前述したような態度で臨んでしまうとどうなるでしょうか。

「それはナンバー2が勝手に進めていることなので、自分からよく言っておくから安心して欲しい」

「みんなが大変な時期とは知らずに申し訳なかったね」

「今すぐやることではないので、安心して欲しい」

こんな調子で対応してしまうと、現場の社員は会社の方針に対してちょっと意見を言えばすぐに撤回させられる、ナンバー2は自分たちの敵であるという認識を持たせてしまうでしょう。

会社の方針として決定したことがいつも簡単に覆され、会社全体の利益のために尽力しているナンバー2がまるで悪者扱いされるような状況を社長が自ら作り出してしまう訳です。

不満をもらす社員の前ではナンバー2を非難しておきながら、ナンバー2には現場が言うこと聞かなくてねなどと平気で愚痴をこぼしたりします。

こうなると社長は誰からも信用されなくなります。イソップ童話の卑怯なコウモリみたいなものです。

社員は自分たちの短期的な利益のためや負担から逃れたいだけです。

まして、現場を取り仕切っているナンバー2の頭越しに社長への直談判をやすやすと受け入れてしまうと命令指揮系統にも支障をきたします。

こうした社長の会社ではつぎのような状態に陥ります。

・社長が決めたことが実行に移されない
・重要な決定権が現場の社員に実質ある
・誰も責任を取らない
・常に犯人捜しの文化が出来上がる
・ぬるま湯で危機意識が低い組織になる
・ナンバー2をはじめとする管理職が機能しなくなる
・社長のお気に入り、イエスマンが生まれやすい

社長が決断することの多くは、現場に新たな負荷をかけることばかりです。目標設定もしかり、仕組みの導入しかり、新規事業の着手もしかりです。

社員に耳障りのよいことだけ言って会社が発展する訳もありません。

内容によっては厳しさをもって社員に実行させ、徹底させなければならないことも当然あります。

社員から嫌われたくないという気持ちが強く、いつも社員の顔色を伺っている社長には何もできません。

組織運営をするうえで社員から嫌われる、非難される、不満の声が上がることなど想定の範囲内です。

社長がいつも厳しすぎると近寄りがたい存在となり、社長の人望が低下することもあるでしょう。

それゆえナンバー2が矢面に立って、社長の人望を下げずにかつ組織目標の達成を推進させることも多いものです。

だからこそ、ウチのナンバー2は嫌われ役をやりたがらないという愚痴をこぼす社長も多い訳です。

誰でも人から嫌われたり、疎まれたりするのは嫌な気分でしょうが、それでも会社全体の利益を考えたら誰かがやらないといけないことです。

ナンバー2としてもそうした覚悟を持たないといけないでしょうし、現場からの非難や不満を理解、納得させることもスキルのひとつとして重要なことです。

そんなナンバー2の頑張りを袖にして、自分だけはいつも社員の人気者でありたいと望む社長の愚かさが組織崩壊を招いてしまうのです。

社長の八方美人は百害あって一利なしです。


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