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NO.2の育て方 vol.56 ナンバー2不要論について考えてみた

社長によってはあえてナンバー2を持たないという考えをお持ちの方も多いです。

今回は、そんなナンバー2不要論について自分なりに考えたことをお伝えしてみようかと思います。

ナンバー2を持つべきではないと考える理由とは

ナンバー2を持つべきではない理由は下記のようなものがあります。確かにこうしたリスクは確実に存在しますので、ナンバー2は不要だと考えることも理解できます。

・ナンバー2が退職すると困るから、はじめからいない方がいい
・ナンバー2と対立して組織崩壊することがある
・ナンバー2に経営幹部としてあらゆることを求めるのは非現実的である
・ナンバー2が増長して、社長が求める組織とは異なる組織作りをする

※過去にも同様の記事を書いたことがありますのでご参照ください。

ナンバー2が退職すると困るから、はじめからいない方がいい

これは、さまざまな理由でナンバー2が退職してしまうと、ナンバー2に依存し過ぎていたためにその後の会社運営がうまくいかないリスクを懸念する考えからくるものです。

替えがきかない重要人物が退職すると困るくらいなら、あえてそういうポジションを作らない方がいいという訳です。

能力が高く、社長の補佐をし、支えてくれる存在というのはそう簡単に育てられるものではありませんし、中途採用で巡り合う可能性も少ないでしょう。

ある意味ナンバー2の仕事は超属人的かもしれませんので、一人に依存するよりも複数の経営幹部をしっかり育て上げ、誰かが辞めたらその役割を担える人材を補充する方が確かにリスクは減ると思います。

ナンバー2と対立して組織崩壊することがある

例えば売上作りで実績があるような人物だったり、現場を統括し部下の信望を集めているような人物がナンバー2だと物言う幹部として社長とも対立してしまうかもしれません。

最悪は顧客も社員も引き連れて独立してしまうなどのケースもよくあります。

ナンバー2などいらないとおっしゃる社長のほとんどが過去の裏切りに懲りているからだと思います。

ナンバー2に経営幹部としてあらゆることを求めるのは非現実的である

ナンバー2の役割は多岐に渡りますから、一人の人間に多くのものを求めたとして本当にそんな優秀な人材がいるのか?という疑問が湧くのも当然かもしれません。

全くその通りだと思います。

そもそも社長自身がナンバー2に指示する役割が自らできないことばかりでしょうから、社長としてもどうやって指導すればよいのかわからないかもしれません。

ナンバー2が増長して、社長が求める組織とは異なる組織作りをする

社長がナンバー2に頼りきって丸投げしている、社長よりも有能で人望もあると、社長の意図する組織ではなく、ナンバー2自身が理想とする組織作りを推進してしまう可能性があります。

これもよくわかります。

特に、そもそも社長に人望がなく、ビジョンもないような会社だと余計に起こりやすいかもしれません。

必ずしもナンバー2が増長している訳ではなくとも、現場の社員が社長よりもナンバー2を慕っているとこうしたことも起きる可能性があります。

ナンバー2は持つべきか否か

これはその社長の考え方次第なので、どちらが正しいかということではありません。

私自身はナンバー2を育て上げた方がいいという考え方で、先にお伝えした4つの理由については以下のように考えています。

・ナンバー2が退職すると困るから、はじめからいない方がいい
・ナンバー2と対立して組織崩壊することがある
・ナンバー2に経営幹部としてあらゆることを求めるのは非現実的である
・ナンバー2が増長して、社長が求める組織とは異なる組織作りをする

先ず、ナンバー2に依存し過ぎない体制を作ることは必要だと思いますし、ナンバー2以外の経営幹部ももちろん育成していくべきだと思います。一人の人間に依存するのはリスクが伴うからです。

ただ、社長は退職しませんが、社長も病気、怪我、死亡などのリスクはあり、ナンバー2固有の問題ではありませんから不測の事態に対応できる体制を常に考えておく必要はあるでしょう。

そして経営幹部も辞めてしまうことは普通に起こり得ますから、人材の層を厚くすることは組織運営上必ず行うべきことです。

要するにその人でなければできない仕事を無くすためには特定の人間に頼らない仕組み作りをベースにした運営の方が優れているという結論なのかもしれませんが、社長も含めてそれを完全な形にすることの方がナンバー2を育てるよりも難しいだろうなというのが私の感想です。

ナンバー2の仕事の中には、部下の育成も含んでいますから、仮にナンバー2自身が退職しても後進が育っているのであれば、十分にナンバー2だった人物の穴埋めはできると思います。

また、本当に有能なナンバー2であったなら自分の仕事が属人化しないように、自分で抱え込まないように仕事をするものです。自分がいなくてもそれこそ仕事が回るような仕組み作りをするのではないでしょうか。

次に、ナンバー2と対立してしまう場合ですが、社長とナンバー2が対立する背景には社長とナンバー2との間で理念や価値観、展望などが共有されていない場合がほとんどでしょうし、また社長と対立する素養のある人材を選んでしまっている可能性も大いにあります。

つまり、ナンバー2の人選や育成やしつけ、コミュニケーション、管理の面でそもそも失敗していると思うので、ナンバー2の存在自体が問題と考えるのは筋違いのような気がします。

この点はナンバー2が増長して方向性の異なる組織作りに進んでしまう場合でも同様です。

最後にナンバー2にあらゆることを求めるのは非現実という点についてです。理想はナンバー2が多くの役割を担うことですが、ある部分においては部下や社外の力を借りればいいだけの話なので、非現実とは言えないと思われます。

社長がナンバー2に求めているのは成果であって、そのための手段や方法を問うている訳ではないからです。

ナンバー2に必要な最たる能力は、会社全体を見渡して、必要なリソースを最適に組み合わせて組織として成果を出させることです。実務者として自らが何でもできる必要など初めからありません。

ナンバー2不要論の前提条件は、こういう状態だと思われます。

・社長のフォロワーとして適切でない人材をナンバー2にしていること
・社長とナンバー2との間に理念や価値観が共有されていないこと
・社長とナンバー2との間に信頼関係がないこと
・社長がナンバー2を成長させるための指導をしていないこと
・社長がナンバー2をしつけ、管理していないこと

厳しい言い方かもしれませんが、社長がナンバー2の役割や育成について理解が深まっていない状態で、ナンバー2の存在について議論したところで何の意味もありません。

ナンバー2がいないことのデメリットも書き添えると、

・社長の孤独感を和らげる存在がおらず、社長が精神的に苦しい状態が続く
・社長が仕組みを適切に回せるとは限らない
・経営幹部が数人いても社長の負担はあまり減らない
・イエスマンで周囲を固め、裸の王様になる可能性が高い
・社長が行うコミュニケーション負担が増える
・経営目線を持った人材を社長が複数人育てることの方が難しい

ナンバー2不要論について否定する気は全くありませんが、私自身がナンバー2として従事して会社は必ず成長してきたのもありますし、現在支援している企業も少しずつですが変わり始めているという点からおいても、ナンバー2を育てた方がいいという考えに揺るぎはないです。


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