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NO.2の育て方㉙ナンバー2など欲しくないと思う社長の心理

ナンバー2の存在が自分のため、会社の発展のためになりそうだと思いながらも、ナンバー2など欲しくないという社長もいらっしゃいます。なぜそう考えるのかについて今回はお伝えしていきます。

■ナンバー2が欲しくない理由

社長によって理由はさまざまですが、代表的なのはこんなところです。

①自分さえいれば会社は十分回せる
②育てたところで期待外れに終わる
③ナンバー2という中途半端な存在がかえって邪魔

①は社長がご自身に自信がある気持ちの表れでしょう。現状上手くいっているのだから、この先もきっと上手くいくに違いないという気持ちが見え隠れします。

それは社長として立派なことですし、現状結果を出しているのですから申し分ないことだと思います。

ただ、世の中は常に変わり続けるものですから、社長ひとりでその変化に対応し続けるのも大変なことです。

状況判断もひとり、実行役もひとり、間違った判断を下してしまうこともあります。いわゆるワンマン経営なのですが、自信過剰になり過ぎて、大きな失敗をしてしまうリスクを抱えていることも事実です。

社長も人間ですから、体調不良、病気や怪我での入院、亡くなってしまうこともあり得ますし、家庭内の不和なども仕事に支障を及ぼすことがあります。

社長が全てを握りしめているとそうした際に代わりに舵取りをしてくれる存在がいないことは不安要素です。

②はかつて育ててみようと試みたけれど徒労に終わってしまった場合や信頼していたナンバー2に裏切られた経験などから来る気持ちでしょう。

人材育成というのは経営課題として最も難しい部類です。ましてナンバー2を育てるというのは単に仕事のやり方を教えるだけではありません。

サラリーマンに経営者の目線や意識を植え付けるというのは一筋縄ではいきませんし、加えて、ビジネススキル、人間力の向上といった多面的な教育が必要ですから社長の自己流でナンバー2を育てようとしてもなかなか上手くいきません。

もうひとつは信頼していたナンバー2と不和となり、顧客や従業員をごっそり持っていかれたといった裏切られた経験などが考えられるでしょう。

相手を非難することは簡単なのですが、なぜナンバー2と不和になったのか、そもそも適切な人選だったのかを社長自身が省みることがなければ同じ過ちを繰り返す可能性がありますし、ナンバー2を得ようとは二度と思うことはないでしょう。

③はナンバー2の役割や機能をよく理解していない場合の考え方ですし、①と②の理由にも繋がります。要するに頼りになるのは自分自身しかないという考え方です。

人間には物理的、精神的、知恵や知識や情報の限界というものがあります。ナンバー2という役割を定義し、しっかり機能させることが社長の限界を突破させる方法という考えがないのです。

部門ごとに責任者を配置しているから大丈夫と思うとしたら、ナンバー2の役割、機能を知らないことの裏返しでもあります。

部門の責任者はいつも社長の顔色を伺いながら仕事をしています。間違った命令指示でも仕方なくやっているふりをしていることもあります。また適切な報告を上げずに自分の担当領域の仕事のことしか考えていません。

一方でナンバー2は全社的な関りを持つポジションですから、部門長とは全く異なる存在で、何かに特化しない中途半端な存在ではありません。

会社運営の基本構造は検討する→決断する→実行する→検証するの繰り返しです。その過程において、社長がひとりで考え、実行する(させる)のは相当難しいことではないでしょうか。

小規模の会社であれば社長が全てを把握して、従業員に指示しながら、自らもプレイヤーとしても行動できるかもしれませんが、従業員が10人もいたら多分もうそういう訳にはいかないと思います。

まして50人、100人、それ以上という規模で社長が全権を握りしめていると、現場で何が起きているのかさっぱり把握できていないのが実態です。

現状認識がズレていれば判断もズレたものになってしまうのは当たり前です。売上が堅調な時は多少のことは目をつぶってしまえますが、業績が下がり出した時に同じ状態だと回復が難しくなります。

誤解なく言うと、ワンマン経営を全否定するものではありません。優れた社長が仕組みで回している場合もありますし、会社がいるステージによっても状況は異なります。

お伝えしたいことは、社長にも限界があり、一人で経営の全てを運営しようとすることには大きなリスクも包含しているという現実です。ナンバー2など不要と考える社長にも一考頂きたいなと切に願います。

最後までお読みいただきありがとうございます。