ダサい自分が愛おしい
先日テレビかYouTubeでさらば青春の光・森田が「女にモテない部分をかっこいいと思っている」「イケてない部分をあえて見せたがる」のように評されていた。
「泥臭い」「モテない」「負け犬」「イケてない」「情けない」「気持ち悪い」「ダサい」このような、一般的にはネガティブに捉えられる部分、かっこ悪いとされる部分をあえてアピールするタイプの人間だということである。そしてそんな自分が愛おしくて大好きなのだろうと勝手に感じた。
このタイプの人間というのは意外にも多いと思う。かくいう私もそのタイプの一人である。私は泥臭くて失敗して負けてモテなくて情けなくてどうしようもない、そんな自分の性格に誇りとプライドを持っている。「泥臭ナルシスト」なのだ。「忘れらんねえよ」や「銀杏BOYZ」などの曲を好む人間にこのタイプは多いように思われる(あくまでも偏見)。また男性にも多い気がする。
そして、「泥臭ナルシスト」は非常に面倒臭い。このような人間は、本当は誰よりも傷つきやすい人間だと思う。彼らは泥臭さやモテなさ、失敗、恥の数々を、自分自身の核が本当に傷つかないようネタにするという「自己演出」を行っている。泥臭い部分をあえて事前に自らさらけ出すことで最初から自分を「下」の存在に見せ、自分自身を守っているのだ。故に、泥臭ナルシストには多くの場合「踏み込まれたくない」という地雷があるだろう。まだ当人がネタにしきれていない部分や、受け入れきれていないコンプレックスなどに触れられてしまった場合、彼らは人が変わったようにうまく話すことができなくなるだろう。
なぜこのような面倒くさい「泥臭ナルシスト」が誕生するのだろう。これには、いくつか理由があるように思う。
1つ目に考えられるのは、失敗体験と成功体験である。努力をした人間が大きな失敗体験をする。するとその人は悔しさや情けなさ、不甲斐なさなどを噛みしめるだろう。その後、その負の感情をバネに再び努力をし、ある程度の成功を収める。「努力した」という自覚と、失敗の際に味わった「負けた」という感情、その後そこそこの成功をして「自己肯定感」を高めるという三点がトリガーだ。具体例を出してみよう。私の場合、高校生のときかなり根を詰めて勉強に励んでいた。しかし高校三年生のとき大学受験センター試験に大失敗し、国公立大学が全滅。悔しさと情けなさで三日三晩大泣きし、私立大学へ切り替え、なんとか名のある大学へ入学できた。泥臭くしがみついた結果どうにかうまくいったという経験により、「泥臭い=良い」という思考ができあがる。「スマートにこなすよりカッコいい」「不器用だからこそカッコいい」と感じたのだ。さらば森田もそうだろう。順調に売れていったものの、事務所を解雇され、フリーになった。しかしその後個人事務所を立ち上げ、地道にライブを行い再び結果を残すようになっていった。このような「見返した」という経験が人格に影響を及ぼしていると考える。
2つ目は、学生時代である。彼らは学生時代に恋愛を経験せず、モテる人たちを僻んでいただろう。そもそも、モテる人たちのことを「自分とは違う人間」として区別して認識している部分があるように思う。自分自身がモテない側の人間であるということを長年にわたり自覚しているからこそ、今更カッコつけよう、かわいこぶろうとは思わなくなっているのだ。そしてそのようなタイプは同性から好まれる傾向にあるため、「面白い奴」としてのポジションを築きあげ、「カッコつけない=良いこと」として自分自身のモテなさやダサさを受け入れていくのだろうと考える。
3つ目は、自己認識だ。彼らは良くも悪くも自分を客観的に見ることができる人間である。自分の身の丈にあったキャラ、ファッション、話し方、趣味などを非常によく理解し、その範囲内でこだわりを持ちながらおしゃれや趣味を楽しむのだ。しかし自己認識を意識しすぎてしまい、「理想の泥臭い自分」を他者にアピールしすぎてしまう場合がある。これは「自分らしさ」のイメージを自分の中で固めすぎてしまい、そのイメージを基準に言動してしまうことが原因だと思う。自意識があまりにも過剰になってしまうと、他者と自分の認識がズレてしまっていることが多く、さらに過度な自己アピールにより他者に嫌われる場合があるので非常に危険だ。やや話が脱線したので戻すと、泥臭ナルシストは自分を客観的に見ることができる故に、それができていない人に対する嫌悪感が人一倍強いのだと考える。明らかに身の丈に合わない趣味、キャラに見合わないファッションなどをしている人を見ると、恥ずかしさを覚えるのだ。他人の「自己認識のズレ」に気づくからこそ、自分のキャラに合っていないようなこと、つまり「かっこつけたこと」や「イカしたこと」から自分をどんどん遠ざけたくなるのではないか。
ここまで長々と持論を展開したが、全て偏見であり、このような人は全くいないかもしれない。しかし私自身は典型的な「泥臭ナルシスト」で、そんな自分が愛おしくて抱きしめてあげたいと思っている。
また何か気づきがあったら書き足そうと思う。
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