2022/05/27 現代の勢い戦略に必要なこと
本紹介します!
守屋淳さんの著書「最高の戦略教科書 孫子」を読みました!
ずっと気になっていた孫子について、中国古典研究家の目線から読み解き、現代人の感覚から咀嚼した上で、実際に仕事やビジネス、私生活の場面でどのように活かすことができるのかについて綴られた一冊となっています。
この本の内容で一番印象的だったポイントは、相手や周囲と情報格差が作れないときの戦い方で、「無形と勢い」を挙げている点です。
簡単に言うと、「無形」とは攻撃でも防御でもない、自然体で構えているような「形」を持たない状態。「勢い」はそのままの意味。
「無形」については、相手と対峙するときは後手の対応になりますが、相手を見抜く目を持ち、仕掛けてきたときの隙を見破り、仕掛けを利用して勝つ、といった戦いに持ち込むために必要です。
この戦い方は達人レベルというか、何か洗練されたものを持ってないとダメなものなので、現代に当てはめたときに社会人若手がとるような戦法にはなりにくいです。。
それよりも、今の立場では「勢い」こそ重要と考えられ、本書でもこの重要性や養い方について書かれています。
孫子においてはこの意味は広く、情勢や情況といったように、臨機応変な対応というニュアンスも含まれている言葉です。
例えば戦場では、生きるか死ぬかの情況で、失敗が致命的になってしまいますので、危機感を煽って、周囲に共有してスピーディーに臨機応変に対応する、結果として最低限でも不敗を維持するべき、と記されています。
現代ビジネスでもそういったシーンがある一方、そういった切羽詰まった状況でなく、むしろ存分に試行錯誤ができる場面ではどうすればいいのか。
これは多くのビジネス書籍でも記されていますが、「たくさん試し、早く失敗し、学習を重ねる」「事前に失敗しておく」というのがやはり大事なことだそうです。
このプロセスを経て、勝負所を知り、実際本番(生きるか死ぬか)になった時に、臨機応変に対応して勝利する、もしくは不敗をキープすることができる、という論理構造になっているわけです。
ここを丁寧に切り分けて考えているのが分かりやすくていいなと思う本書の特徴でして、「勢い」と聞くとどうしても「猪突猛進」「ひたすら行動せよ」「PDCAをぶん回せ」と連想されるわけです。
ただ、それを何の目的でやってるのか、ここはある程度バックグラウンドとして頭の片隅においとくことが大事なんだと思います。
いざ本番となった時に適切に振る舞えるようにしておく、これがビジネスの進め方、ないしは人の生き方としても大事なのではないか、と個人的に考えました。
孫子の引用だけでなく、著名人の言葉を引用していたりと分かりやすい内容になっていたので、人生に活かせるおすすめの一冊でありますし、自分自身も時々読み返していけたらな、と思います。