見出し画像

「思いつめた恋ほど怖いものはない」・・・恋の歌、少し変えるだけで、こんなに怖くなる その3


「身を焦がす思い」と言う言葉があります。
都々逸でも、
「恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす 」

という名作があります。


耐える恋、熱く思い続ける恋は、時に恐怖と隣り合わせなのです。


「忘らるる 身をば思はず 誓ひてし
    人の命の 惜しくもあるかな」右近

(大意:忘れ去られる私の身は何とも思わない。けれど、いつまでも愛
 すると神に誓ったあの人が、(神罰が下って)命を落とすことに
 なるのが惜しまれてならないのです。)

この歌はこのままでも怖い話ですね。
振られたのに上から目線で、内面の「神罰が下ってしまえ」という恨みが感じられて怖いです。


「君がため 惜しからざりし 命さへ
  長くもがなと 思ひけるかな」藤原義孝

(大意:「あなたの為なら、この命など惜しくない。でも会った瞬間に
この時間が長く続いてほしいと思う」)

「君が為、君が為と語りつつ
   君の命など 惜しからざりし」

(大意:「あなたの為よ」と言う私だが、本当はあなたの命など惜しいとは思っていないのですよ)

愛の反対語は無関心であると言います。
相手の事を相手の身になって思えない状態は、相手の心に関心が無い、相手に無関心なのでしょう。それはもはや愛ではなく、執着そのもの。愛のない心が恐怖を生み出すのでしょうね。


恋を歌う言葉も、少し変えるだけで、恐怖を伝える瞬間の描写になります。ということは、やはり愛の隣に恐怖があるのでしょうか。


短歌で愛を紡いでおられる方々、ごめんなさい。
言葉を学ぶための、遊びだと思って見のがしてください。


                     つづく


#短編 #ホラー 、怪談 #短歌 #ホラー #不思議 #謎 #恐怖 #愛情 #執着 #執念 #報復 #無関心 #神罰

ありがとうございます。はげみになります。そしてサポートして頂いたお金は、新作の取材のサポートなどに使わせていただきます。新作をお楽しみにしていてください。よろしくお願いします。