「十字路」・・・あっという間に読める超ショート怪談。楽しいはずのドライブは。
彼氏との初めてのドライブデート。
絶景の観光地を巡って、美味しい郷土料理を食べて、
帰路についた。
そして、私たちの乗った車は、森の中の道を随分と長く走っている。
日が西に傾き始めて、少し霧が出てきた。
「また十字路ね」
言いかけた言葉を私は飲み込んだ。
ハンドル握る彼氏の顔が真っ青で目が血走っていた。
無理もない、
さっきから七回も、同じ十字路を通っているのだから。
この道から抜け出すことが出来るのだろうか、
霧がどんどんと濃くなっていく。
行き交う車もいつしかいなくなってしまった。
はたして道の上にいるのかさえも、も分からなくなった。
その時、私は気が付いた。
いつの間にか、この十字路に来れた事で、
ほっとしている自分がいることを。
「もしかしたら抜けられなくなってる?」
八回目の十字路で、耐え切れなくなった私は、ついに聞いてしまった。
彼氏がこちらを向き、
見たことも無いような笑顔を浮かべて答えた。
「え? 抜けるつもりだったの? イヒヒヒ」
おわり
*「十字路」改訂版
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