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短期決戦のキーファクターと日本サッカーの未来【カタールW杯:グループE】日本vsスペイン

2-1。コスタリカ戦での無念の敗戦で1勝1敗とした日本代表は最低でもスペイン戦で引き分け以上が求められた。試合前のスペイン戦での日本が勝利する確率が9.8%。10試合やって1試合勝てるかどうかという強豪相手に後半の3分間で2点を奪い逆転勝利。この大金星の背景には何があったのだろうか。


♦︎勝負のその時まで

積極的な入りの日本と空回り

日本のこの試合の入りはかなり積極的だった。ボール保持するスペインに対して5-2-3(5-4-1)のミドルブロックからプレスをかけて圧力をかけた。

下の図のように日本代表は試合開始直後から積極的にプレス。久保が下りてきたIHのペドリに対して追い出しをかける。ロドリにボールが入ると鎌田が外を切りながらプレス、パウトーレスにボールが行くと前田が連動してプレスをかけた。日本が終始徹底していたのはスペインのボール保持の指揮者であるブスケツにボールを入れさせないことで、前田、守田、田中の1人が常にブスケツを監視した。しかし、この場面ではパウトーレスがいとも簡単にフリーのアスピリクエタまでサイドチェンジをすることで日本のプレスを突破。スペインのレベルの高さが光った。

日本のプレスとスペインの巧みなパス回し

スペインは右サイドと左サイドで多少立ち位置が変化。スペインの左サイドはペドリがかなり低い位置まで下りて、バルデがやや高い位置、ダニオルモが大外とインサイドのレーンをウロウロすることが多かった。一方で左サイドではウィリアムズが大外高い位置、ガビがハーフスペース、アスピリクエタが後方で前2人とトライアングルを作りサポートする形となった。

スペインは両WGが大外に張り出して、日本の両WBをピン止め。その結果、久保や鎌田がスペインの両SBに付く形となり、CBまで前にスライドしてプレスに出るとSBが浮いてしまう状況に陥った。スペインの巧みなパス回し×システムの噛み合わせによって日本のプレスが空回り。徐々にスペインがボールを保持する位置を高め始めた。

どれだけスペインが日本のプレスの仕組みをスカウティングできていたかは不明だが、試合開始からスペインは日本の穴を見つけて前進。1:25では久保が牽制をかけて追い出そうと圧力をかけたが、ペドリは逆サイドのハーフスペースで浮いたガビへ鋭いパスを供給して、ハマる前に局面を打開。日本は鎌田がロドリまでプレスにいける立ち位置を取り、守田がブスケツの監視のために飛び出したとで空いたガビに上手くボールを入れられてしまった。

日本のミドルブロックと穴

日本は5-2-3(5-4-1)のミドルブロックからのプレスが全然ハマらないままスペインにゴール前までボールを運ばれることとなり、11分にモラタの先制ゴールを献上することとなった。失点の場面では日本の右サイドから左サイドへと展開され、ガビにインナーラップでPA内のポケットを取られたことで日本のDFにズレが生まれ、一瞬の駆け引きでモラタがフリーになりアスピリクエタからの正確なクロスを頭で叩き込んだ。

歯車のズレ

日本は失点後も5-4-1から圧力をかけることを試み続けたが、ことごとく上手く行かずにボールの奪い所が見つからない状況が続いた。スペインはドイツ戦でGKのウナイシモンを使ったビルドアップでピンチを迎えていた場面がいくつかあり、日本もスペインの深い位置でのビルドアップを狙っていたはずだ。しかし、そもそもミドルブロックのプレスがハマらないので、スペインを押し戻すことができずに苦しい時間が続く。

日本のプレスが上手くいっていなかったのは、スペインの選手の立ち位置によって日本が前線のプレスに連動して、DFラインが連動することができていなかったからだ。15:52ではその『歯車のズレ』が顕著に現れた。前田のパウトーレスへのプレスに連動する形で鎌田が横パスを受けたロドリまでプレス。ロドリからのパスを受けたブスケツは守田が後ろからプレッシャーをかけてきていたが、1タッチでアスピリクエタに展開して日本のプレスを回避した。この場面では前田と鎌田のプレスに対して守田の連動が遅れたことと、鎌田がRCBのロドリまで飛び出した際に長友はウィリアムズをマークするために連動してアスピリクエタまで前に出ることができないことが問題だった。

連動できない日本のプレス

これは日本の選手が悪いという訳ではなく、スペインの選手の立ち位置によって、日本の選手たちが思ったように動けないことが原因だった。特に左サイドで「SHの鎌田がロドリまでプレスに出た時にフリーになったRSBのアスピリクエタはどうするの?」が整理されてなかったことが日本のプレスを機能不全にした。

とは言え、5バックで守る日本に対して、スペインは基本的に4-1-5でボール保持をしてきたので日本のDFラインはスペインの前線と噛み合っている状態だった。その結果、日本のプレスがハマらずにボールの奪い所が見つからないにも関わらず、あまり決定機を作らせている訳ではなかった。

22:25のペドリのダイナミックなレーン移動は日本の5-4-1を攻略するヒントになるような場面だった。ペドリがライン間で日本の右サイドから左サイドまで移動してくることで、日本のDFラインに対応の遅れが生じた。このシーンで最終的に遅れて飛び出した吉田の背後をモラタに使われて、シュートまで持ち込まれてしまった。

ペドリのレーン移動からの決定機

このペドリのレーン移動は日本の守備陣にマークの受け渡しをする必要があるので非常に効果的だと思ったが、スペインが攻撃陣形を大きく崩して攻撃することはあまり好まないのか、あまりこういった攻撃の回数は多くなかった。

確かな手応え

ここまで防戦一方の日本に転機が訪れたのが前半31分の場面。ロドリに対して前田がプレスをかけ、ロドリはパウトーレスへ横パス。これまではCBにプレッシャーをかけることができなかったのだが、この時はボランチの田中が直線的に前に飛び出してパウトーレスにバックパスを強いることができた。この田中の飛び出しに板倉もしっかりと連動してペドリを捕まえていた。そしてGKのウナイシモンに対して前田、再びボールを受けたロドリに対して鎌田がプレスをかけて、この試合で初めてスペインのGKに対してプレスをかけることができた場面だった。残念ながら鎌田の外切りのプレスが甘くプレス回避されてしまうが日本にとってプレスの確かな手応えを掴んだ場面だった。

31:03の日本のハイプレス

この「田中がCBまで前に飛び出すプレス」は誰が指示を出したのか、どういう風にプレスの形を決めたのかは定かではない。もしかしたら田中が「これ前に飛び出してプレスかければハマるのでは?」という感覚のもと生まれたものかもしれない。田中は川崎時代にIHから直線的にCBまでプレスをかける形を経験しているので、そこからアイデアが来てるのかもしれない。いずれにしてもスペインのビルドアップに対して日本が1つハメることができる形を見出せたことは大きな転機になった。

♦︎ギャンブルプレス

前半を0-1で終えた日本は後半から長友と久保に代えて、三笘と堂安を投入。前半とは打って変わって、日本は後半の立ち上がりからハイプレスで勝負をかけた。そして生まれたのが堂安の得点だ。

日本は下の図のようにパウトーレスとウナイシモンに対して前田が足を活かして連続プレス。ウナイシモンから横パスを受けたロドリに対しては鎌田、更にカルバハルに対しては三笘が前に飛び出しでプレスをかけた。前半はLWBの長友がウィリアムズのマークのためにRSBのポジションまで前に飛び出すことができなかったが、この局面では後半から入ったLWBの三笘は飛び出して圧力をかけることができた。そして鎌田と三笘vsカルバハルで2vs1の局面を作ることに成功。

後半立ち上がりの日本のハイプレス①

2vs1の局面を作ったものの紙一重でカルバハルからロドリへのパスが通る。しかし、ここでも三笘が連続してロドリまでプレス、この時に近くにいた前田も連動して圧力をかけた。ロドリはGKへのバックパスを選択するが、前田が連続プレスで圧力をかけ続ける。ウナイシモンは浮き玉でフリーのバルデへのパスを選択した。この時にRWBの伊東はLWGのダニオルモのマークを捨てて、LSBのバルデまで飛び出してボールを奪うことに成功。そこから堂安へと繋いでゴールが生まれた。

後半立ち上がりの日本のハイプレス②

このゴールは日本の連続プレスとマークを捨てて圧力をかけたギャンブルプレスが得点を生んだ。本来であればカルバハルの所で2vs1を作っていたのでそこでボールを奪い切らなければいけなかった。しかし、ボールを奪えなかった日本は三笘と前田の根性プレスでハイプレスを続けた。そして、スペインの選手たちもプレス回避には長けているので、あくまでもボールを保持しようとウナイシモンはバルデへのパスを選択。普通ならここでプレス回避となり、カウンターを喰らう場面なのだが、伊東がマークしていたダニオルモを捨ててギャンブルプレスに出たことでバルデのロストを誘った。バルデが伊東がプレスに来ていることを認識して、1タッチでどフリーのダニオルモへ展開していたら、日本のゲームオーバーとなっていた可能性がある。一か八かで勝負したギャンブルプレスは日本の勝利を呼び込んだ大きな要因だろう。

組織化された5-4-1とスペインの単純な構造

堂安の得点から3分後に田中のゴールが決まり、この試合で初めて日本がリードする展開となる。そこから日本はミドルブロックから徐々に後退して守備固めをして逃げ切りを図る。この試合の日本の守備はとにかく組織化されていてコンパクトで堅い守備が作り上げられていた。

62:49ではスペインが右サイドで選手のローテーションをして前進を試みるが日本がしっかりと対応した。ガビが下りて、カルバハルが大外で高い位置を取る、そしてフェラントーレスが内側のレーンに移動して人の配置を変えてきたが、日本はマークを受け渡しながら5-4-1の陣形をキープ。ガビからカルバハルへとパスが入った時に鎌田と三笘で挟み込むことでハメることができた。

日本の組織化された5-4-1の守備

実はスペインのボール保持はあまり複雑ではない。IHがハーフスペースを取り、4-1-5の陣形を基本に攻撃が始まる。そこからサイドでSB、IH、WGがローテーションしたり、アセンシオが偽9番で中盤に下りてくるぐらいしか動きのパターンがない。いくらローテーションしようがスペインの前線の人数は5枚に変わらないので、日本の5-4-1の守備はあまり揺さぶられることはなかった。

日本陣内に押し込んで攻め続けるスペインだったが、日本の5-4-1のローブロックを前にシュートどころかPA内への侵入すら手こずっていた。そんなスペインはアセンシオ、フェラントーレス、アンスファティ、J.アルバを投入して切れるカードは全て切ってきた。日本は冨安を投入してファティとJ.アルバの左サイドを封殺。豊富な運動量で試合のゲームチェンジャーとなった田中に疲れが見えると、遠藤を入れて守備固めを進めた。日本がリードしてから試合終了までの約40分、集中を切らさずに得点を許さなかった日本の堅守は見事だった。

日本の左サイドの守備対応とスペインのRWG

スペインはウィリアムズに代えてフェラントーレス、モラタに代えてアセンシオを投入した。始めはフェラントーレスがRWGの位置に入り、三笘と1vs1の状況がいくつかあったが、決定打には繋がらなかった。すると81分にアセンシオとトーレスのポジションを入れ替え、アセンシオがRWGとなった。

アセンシオを対峙した三笘はアセンシオの左足を警戒してしっかりと左足を切りながら対応することができていた。しかし、88:47ではカルバハルがオーバラップしたことでマークの受け渡しが生じて、アセンシオと対峙したのがLSHの伊東となった。一瞬の隙を突かれてアセンシオのカットインから左足のシュートを許して、日本がリードを許してから1番のピンチを迎えた。

アセンシオのカットインシュート

ここでは権田のセーブと吉田の素早いリアクションで危機を脱したが、もしここで失点していれば結果的にグループ予選敗退となり、悔やまれた場面になっただろう。

個人的にはアセンシオのRWGよりもフェラントーレスのRWGの方が厄介だったように感じた。フェラントーレスは右利きなので基本的には縦突破となる。何回かフェラントーレスの縦突破に対して三笘が一瞬振り切られる場面があり、そこからPA内に侵入された方が怖かったが、トーレスがかなり単純にクロスを上げてくれることが多くて日本としては助かった。日本の右サイドは冨安が投入されて以降、流石の対人守備とカバーリング能力で封殺。J.アルバが投入された直後に冨安が投入されたのは単純にタイミングが重なっただけなのか、意図的に投入したのかはわからないが森保監督の名采配となった。

♦︎意図的/即興的なボール保持

この試合の日本のポゼッション率は17.7%と驚異的に低い数字だった。なので、あまり日本がボールを持てた場面が少なかったが、ボール保持の仕方も前半と後半では少し変化が見られた。

即興的なボール保持

前半の日本は基本的にボールを奪うと前方への素早いパスでカウンター狙い。特に前田の足の速さを活かしたスペインのDFラインの背後へのボールがメインとなった。

その中でも日本が上手くボールを回しながらチャンスが作れそうだったのが6:47。日本の3バックに対して、スペインは3トップをぶつけてプレス。すると3トップの斜め後ろにはスペースがあるので、長友が高い位置を取り更にスペースを広げて、そこに鎌田が流れてLCBの谷口からのボールを受けた。この時の谷口のプレイは両足を器用に使ってプレスを回避、普段川崎で見せているような高いスキルを見せた。鎌田は田中の抜ける動きに連動するようにカットインをすることで、中央の久保へのパスコースが拓けた。しかしながら、鎌田は左サイド深い位置へのスルーパスを選択したことで久保にはボールが渡らなかった。

6:47の日本の攻撃

この一連の攻撃は状況によって選手各々が個人の判断で作り上げたもので即興性が強い。チームとして準備してボールを動かした意図的で再現性のあるものではなかったが、スペースを認知して上手くスペインのプレスを回避した局面だった。

意図的なボール保持

後半の頭15分はより意図的なボール保持が垣間見えた。46:20では吉田が権田からボールを受けると守田が下りて最終ラインに加わり4バックを形成。これは前半と後半での大きな変化だ。田中は守田が下りたことで空いたアンカーの位置に下りてきてサポート、これによってスペインのガビとペドリはハイプレスをかけるために守田と田中に食いつく。この瞬間、中央にできた広大なスペースを堂安と鎌田が利用さはて2vs1(鎌田+堂安vsブスケツ)の局面を作り、最終的に吉田がから鎌田へとボールが渡った。

46:20の日本のビルドアップ

日本はかなりブスケツの脇のスペースを使うことを後半は意識していて、54:47の場面ではRWB(バルデとダニオルモの間)の位置で浮いていた伊東へ吉田のロングフィードが通り、三人目の動きで田中がブスケツの脇のスペースで伊東からボールを受けて擬似カウンターのような局面になりかけた。

54:47の日本のビルドアップ

日本の2点目も権田のFKからRWBの位置で浮いた伊東へボールが渡り、田中が連動して伊東からパスを受けたが、やはり田中がボールを受けた場所はブスケツの脇のスペースだった。田中から堂安へと展開して、三笘の執念の折り返しから田中のゴールが決まった。日本として意図的に狙いとして行っていた攻撃から得点を奪うことはできたのは非常に大きかった。事実、その2点目がグループ突破を決めた値千金のゴールとなったわけで、再現性のある攻撃が身を結んだ。

♦︎短期決戦の戦い方と強豪への道のり

日本はグループ予選の3試合でどの試合も約10%の確率で起こる結果を出した。初戦のドイツ戦はきっと10回やって1回あの結果が出るくらいの確率だろうし、コスタリカ戦やスペイン戦も同様に10回やって1回があの結果になる程度だろう。何故その10%の確率が出続けたかというと、ギャンブル的な賭けをしたからだ。

日本のグループ予選でのギャンブル

ドイツ戦では前半の4-2-3-1でスタートし、1失点以降も全く機能してないにも関わらず同じシステムで前半を切り抜けた。その結果、後半からのシステムチェンジでドイツへ奇襲を仕掛けることに成功した。コスタリカ戦を考えてみても、2戦目ながら先発5人を入れ替えて臨んだ時点で大きな賭けであったことは間違いない。前半はお世辞にも良い出来だったとは言えない低調なスタートとなり、後半からメンバーを入れ替えてブーストをかけようとしたが上手くコスタリカにコントロールされてしまい、ミスから失点。3戦目のスペイン戦でも0-1で迎えた後半から鬼のハイプレスであっという間に逆転してしまった。正直なところ、この結果は理論やセオリーでは語れないところが多く、ある意味異常だ。この常に一か八かに委ねたギャンブル的な勝負は短期決戦にはもってこいではある。特に弱者が強者に対して勝とうと思った時に普通にやっても結果は見えていることが多いので、何か異常な状況や心理状態を作ることが欠かせない。そういった意味で森保監督の采配は短期決戦にフォーカスしているのか、ギャンブル要素が多いことが今大会の特徴だ。

短期決戦はメンタリティとの戦い

W杯は短期決戦でメンタルの部分がとてつもなくパフォーマンスに反映される。選手たちは莫大なプレッシャーの中でプレーしており、時にそれはパニックを起こす原因にもなり、高いパフォーマンスを引き出すパワーにもなる。

例えば、ドイツやスペインのように後半開始から日本が急にハイプレスをかけた時に面白いように試合の流れが変わり得点を奪うことができてしまった。もちろん相手の急激なプレイスタイルの変化に対応することは難しいのだが、これがW杯という大舞台であり心理的にも食うか食われるかという勝負になっている。どれだけ経験があろうが、強豪国であろうが、少しでも弱気の姿勢を見せれば飲み込まれてしまうのがW杯という舞台だと認識するべきだ。

そういう意味では今大会の日本代表はメンタルコントロールは非常に上手くいっているように思う。我慢強く守備をして、その時が来た瞬間に最大出力で圧力をかけて相手を圧倒し試合をひっくり返してきた。

日本が強豪国になるために

じゃあ今大会で見せる日本のようなギャンブル的なサッカーが今後の日本代表のベースにすることを考えるとそれは非常に危険である。あくまでも確率は10%。日本が安定してW杯でグループを突破すること、ベスト16、ベスト8、そしてその先を見据えた時には90%勝てる内容のサッカーをしなければいけない。今回のギャンブル的な戦い方で勝てたから良しで終わらずに、内容にもっとフォーカスしなければいけない。

例えばボール保持率。もちろん17.7%という数字で勝ったことは素晴らしい。しかし、今後の20%を切るような試合を続けることは果たして勝率が上がるのだろうか。今大会での成果は成果として上手くいった部分は継続し、今回上手くいかなかった部分や改善が必要な部分は、精査して4年後の舞台に繋げていかなければいけない。そういった意味では他の国々も成長する中で、より日本が試合を支配(ボール保持率=支配ではない)して、もっとゴールに迫る機会を増やさなければいけない。ミラクルゴールを評価するなとは言わないが、それに依存した戦い方は勝利から遠ざけ、長い目で日本代表を見た時に決してプラスにはならないからだ。

グループ予選を突破した強豪国を見てみるとボール保持率は高い傾向にあり、課題や改善点はあるものの、内容が伴ったサッカーをしている。そのことを考えると、今後日本がW杯の優勝をするためには結果だけでなくサッカーの内容や具体的なディテールにも目を向けなければいけない(日本が今大会で優勝しない前提で書いてしまっているが、、)。今大会はそういった段階にはないのかもしれないが、いつかは内容に注視するフェーズに入っていかなければいけないことは明白だ。

最後に、様々なことに対して言及してきたが、まずはこの死の組と呼ばれたグループEを首位で通過したことを尊重しなければいけないし、日本史上初のベスト8に向かって月曜日のクロアチアとの大一番に期待したい。スペインとドイツを撃破してグループ首位で通過したことは偉業なのかもしれないが、ぜひベスト16の壁を打ち破り『新しい景色』を見に行こうではないか。

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