(似非)魔法の言葉 001 「運用でカバー」
世間の人々が寝静まる頃に文明の光を守る黒子がいます。そんな職種のひとつが保守系全般のエンジニアです。
夜だけ働く様な出だしですが24時間、365日来る日も来る日も突如降りかかる障害から重要設備を守るわけです。
<黒子の話繋がり>
記事を書く私自身、三流とはいえそんな業界の第一線で日々ご安全にと黒子としての役割を全うしていた時期があります。
この辺りの話はまた形を変えて語りたいとは思うのですが、今回は運用上の諸問題を解決する為に眠い目をこすりつつオブザーバー(意見求められなかったぞ)として運用会議に参加した時のお話となります。
A「新規設備の復旧手順が他の装置と比べ煩雑過ぎて不安が残りますね。」
B「データが出揃うまでは全てのパターンを運用でカバーするしかないですね。」
A「過去装置の一部が前回のパッケージ更新で復旧手順の再現性が怪しくなってますね。」
B「やはりこれも検証試験の結果が出る迄は試行錯誤するしかありませんね。 運用でカバーです。」
A「そういえば対応エンジニアの皆さんが"全く"休みが取れていないと聞くのですが・・・」
B「基本知識に加えて装置毎の理解、緊急時の冷静さを求められますからなかなか候補者自体が集まらず・・・これも運用でカバーですね。」
運用でカバーって魔法の言葉なの?(゚д゚)
詳しくない方向けに補足しますと組織や設備、実際の物事の運営には机の上で取り決めた想定外の事が起こり得ます。
これは仕方のないことです・・・だって人間なんだもの。
そんな時に輝く魔法の言葉がこの「運用でカバー」となります。
臨機応変にその持ちうる能力を活かし、人間力で困難を打ち破るプロジェクトX的なアレです!
・・・運用でカバーというのは言葉にするとかっこよく、なんだか凄い仕組みに見えるのですが結局は力技なんですよ。
要は現地で起きたトラブルは出たとこ勝負の体当たりで都度解決策を模索しましょうという流れです。
別にこの流れは大企業のシステム運営とかそんな世界だけの話ではなく、ラーメン屋等のお店を効率的に回すオペレーションから夫婦の家事分担まで世の中が動く為には言葉は違うも必ず頭をもたげるお話です。
まぁ全ての事象に予め備えるというのは手間的にもコスト的にもなかなか難しくある意味で仕方がない点もあります。
とはいえ今回のケースだと明らかに定数が足りていないエンジニアの数を具体案もなく「運用でカバー」といった事が現場猫案件となっています。
・体調不良は気合でカバーさせる
・倒れても出社させる
・死んでもシフトに穴を開けさせない
オブラートに包まなければこんな感じですよ(;´Д`) ヒデェ
世の中どれだけの歪みが「運用でカバー」されているのでしょうねぇ・・・こわいこわい。
<光の巨人さえ音を上げる運用でカバーの実例>
元々この運用でカバーという言葉は突発的な諸問題に対し、解決案が軌道に乗る迄の間を現場の対応力でどうにか凌ぐ的な苦肉の策への柔らかな言い回しだったと思います。もしくは現場を生贄にする呪われし暗黒呪文・・・
当初そこには修羅場を迎える対応者へせめてもの敬意と信頼も多分に含んだ魔法の言葉だったと個人的には思う訳です。
しかしながらその言葉に魔法的な力は殆ど失われ、単なる便利屋を指すワイルドカード的な使われ方になってしまったのは私が深読みし過ぎなのでしょうか( ˘ω˘)
<次の言葉>
<前の言葉>
<(似非)魔法の言葉>
モブキャラが日常に転がる言葉を拾いつつあれこれ呟く毎日更新救済企画深掘り系文章マガジンです。