流れ着いた者達の抵抗・・・追放ザマァ系の現実(Banished)
何時の時代も追い詰められていく人々の姿は尽きる事がありません。権力争いからの脱落、食い扶持の喪失、存在自体への迫害・・・そして自らが望んだのかもわからないまま生きる道を探す為に放浪する事になるのです。
<執筆者のリアルもそうです・・・>
追放された人々が辿り着いた先は何もない新天地。自由しか切り売りできない状況下、厳しい土地で迫る困窮と人間性の喪失に怯えながらも冬を超える為に迷い人達は今日も休まず手を動かすのです。
Banished(バニッシュド)は2014年に発売された都市運営シミュレーションです。 プラットフォームはPCのみだったかと思います。
所謂古くから存在する街造りゲームなんですが個人的にBanishedは発展というよりは「生き残り」に焦点を当てたゲームだと思います。
一度でも遊んだことのある方だと共感頂けるとは思うのですが、とにかく冬を越すのが難しい。タワーディフェンスの要素はなく、敵が攻めてくるみたいなわかりやすい危機感はありません。 その代わりBanishedは冬という絶望が徐々に迫って来るのです。 もし冬への備えが足りなければどうなるのか。 敵襲のファンファーレや破壊音の様なわかりやすい変化は無く、ただただ無音で村人が力尽きていきます。
そうして村人の数が「0」になった時、開拓村の物語は静かに幕を下ろすのです。
Banishedで印象深いのは収支バランスのシビアさですね。収支といっても金銭的な意味だけでなく全ての要素に対する天秤の動きです。例えば暖を取るための薪の生産量と消費量の差もそうですね。
微増しているうちは問題ないのですがベビーブームで住人が増えたり、働き手が事故で減ったりするとちょっと目を離した隙に在庫が危機的な状態に陥ります。
この辺は運の悪さも絡むとはいえ順調な街の発展に目を奪われたプレイヤーのミスが起因となる事も少なくありません。
調子の良さから少し気が大きくなったプレイヤーの些細な判断ミス。それが後々取り返しのつかない負債の雪だるまを生み出したりと人災から始まる滅亡仕草が妙に生々しくて「ヒェッ(゚д゚)」と思わずモニター前で震えてしまう程です。
何度かの死に戻りを経ると、街(現代人の視点だと村というか集落)も冬を乗り越えるだけでなく成長へのステップを刻む事が出来る様になります。 それでも疫病の発生等で住人はあっと言う間に地の底で眠る・・・危険と紙一重の生活からはなかなか抜け出ることはできないのです。
ですが街がある程度大きくなってから気がつくことがあります。 たとえどの様な危機に襲われようと街が生き延びる選択肢を得ている事を。 数は力、街の規模は致命傷で命を失う迄の猶予ですね。
その猶予は生き残る為の取捨選択、トリアージを行う際に不幸にも輝きます。人も物もその能力と価値のみを判断材料として切り分けていく・・・非情の選択によって天秤を僅かにでも生存側に傾けることで街は漸く次の世代へと引き継がれていくのです。
発売から約10年、今では同種というか特定のカラーを持った街造りのゲームが当時よりも幅広く発売されています。 ですが絶妙な死に戻りバランスや胸に染みる音楽等、今でも魅力は色褪せないので興味を持たれた方はストアページを覗いてみては如何でしょうか。
私も大型MODをまだ試してないので日々が落ち着いたらまた開拓民に戻りたいと思っています(゚∀゚)ノシ
<次のお話>
<前のお話>
<電子の光に魅入られて>
先行する4マガジンに放り込めないビデオゲームへの迸る熱い妄想を放り込んでいきます(゚∀゚
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