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ぐん税ニュースレター -お客様訪問- バックナンバー 2019年7月号

お客様との対談 ~株式会社氷見鉄工所~

この記事は2019年7月に発行されたニュースレターvol.11から「お客様訪問」の記事を再編集したものです。最新情報ではなく、掲載当時の内容に基づいておりますので予めご承知おきください。

世代交代して令和を幕開け!

小林浩一:国雄さん、社長就任、おめでとうございます。
氷見国雄社長:ありがとうございます。4月30日が決算日なので令和のスタートの5月1日付で代表取締役に就任しました。
氷見実会長:社長になると、責任感をより感じる立場になるので、さらなる成長を期待しています。俺が2代目だからこれで3代目だ。

社長就任祝の花々が社内を彩る

小林:国雄社長は今年40歳になるということで、いいタイミングですね。年代別に見た直近3年間の売り上げ推移によると、30代の社長が最も増収率が高く、約50%超の社長が増収に対し、60歳代は22%、70歳以上は14%という統計が出ています。若返りをしたくても後継者がいないという中で、優秀な後継者がいて御社は安泰ですね。その上、次男の圭嗣さんも専務でいらっしゃって、仲良く共同して経営をしているのは素晴らしい。
実会長:そりゃ、俺が仲良くするように育てたんだよ。
国雄社長:政府が「働き方改革」を推進しているように経営環境が刻々と変わっていくなかで不安になることも正直ありますが、条件はみんな一緒ですからね!チャンスととらえて、やるしかないと思っています。
小林:会長がつくってきた文化という盤石な土台があるとはいえ、新しい経営組織を構築していく必要がありますね。
実会長:基本、俺のスタイルは受注を断らない。何をしてでも間に合わせることを積み上げてここまでやってきました。小林昇先生にも、よく相談にのってもらっていましたし。
小林:お互い「親子連携プレー」でやってきたということですね!とにかく、今後は法人としてのカタチをきっちり作っていきましょう。

MAS監査で方向性を再確認

小林:先週、「MAS監査」の一環で、今年の単年度計画を作成しました。国雄社長と圭嗣専務に事務所に来ていただいて、私も含めて、具体的な数字、行動計画を作りました。そこで分かったことは、御社は売上を伸ばす余地が多くあるということと、生産能力が限界で、これがボトルネックとなっているということでした。この4月の決算では年商は約8億ですが、ここ数年10億に届いたり戻ったりを繰り返しているのは、生産能力がボトルネックとなっているためです。また鉄骨工事業としては県内では売上高で8位/168社(帝国データバンク)なので、そのうち上位の7社のうち1社を比較対象として、この会社を目標とすることになりました。さらにわかったことは御社は利益率が良すぎるということでした。生産能力に余裕がないから利益率のいい案件を選びすぎているか、投資をしていないので生産能力が伸びていないという状況なのです。採用教育、工場拡張、新規設備の投資などをして生産能力を大幅増強するというのが今年のテーマですよ。
実会長:これまであまりお金を使わないようにしてきたから(笑)。そういう面はあるとは思うよ。でも投資してもいいけど、いろいろ先生からやり方を教えてあげてくれなきゃだめだからね(笑)。もうかる仕事だけを選んでやるのではなく、すべて受ける体制をつくらないとお客の信頼は得られないよね。エ場の生産能力が足りないのは事実だから、下請けしてくれる協力会社を活用していかないとダメだよね。
小林:今後は引き合いを断るのではなく、外注先を見つけて育てていく方針も立ててあります。
実会長:営業力がない同業他社もあるから、うちの営業力の強みを生かしてマッチングしたらいいと思うよ。

氷見実会長(左)と小林浩一

小林:先週の「単年度計画」の内容をまだ会長にしてないみたいだから、社長からここで話してみたら?
国雄社長:今年の売上目標は約12億円としました。本当は前期比10%増で売上予算を作ったんだけれど、小林先生がそんなの簡単に出来ちゃうから、固定費はそのままで売上目標をさらに20%上乗せしようって言うんで。利益額は去年と横ばいの予定だったんだけれど30%売上増になれば、倍額になる予定。よく考えてみたら、去年も納期の関係で2-3億円ぐらい断った案件があったから、それを断らなければ12億円もできるかなと思います。それと、県内での売上高ランキングを現在の8位から5位にランクアップさせたいと思います。これも小林先生が期限を切らなければダメというので、3年以内という目標です。そうすると売上高は20億円ぐらいになる。工場の増築や協力会社と連携して外注できる体制を整えるのも必要だけど、人財への投資に取り組むことが最重要課題です。

経営理念を掲げる氷見国雄社長

特に、採用が一番の課題。当社には60歳以上の社員が多く、引退を考えている人も3人ぐらいいるので、後進を育てないと技術が継承できない。それで、安中総合高校に新卒の求人を出すのに会社概要とか求人票とかを提出しようと思ったんだけど、就職希望者1人に対して10社ぐらいの求人票が集まるんだそうです。それも安中には信越化学とかの大手企業もあって、そこに半分ぐらい取られて、残りの半分に中小企業が採用するんだから、1人対20社になってしまう。20社の中から選んでもらうんだから、よっぽどいい会社じゃないと選んでもらえない。
だからといって、マイナビのホームページに1ヶ月求人を出すのにいくらかかるかご存じですか?50万円です。その上のランクであれば100万円。しかも、それだけかけても、確実に応募や採用に至るかは定かではありません。なので、どのように会社の魅力をアピールするのかが課題の一つです。
小林:採用したいなら、まずホームページを作らないと。採用がうまくいかない会社はイメージ戦略がうまくできていないことが多いんですよ。ホームページは採用のための最大のツール。FacebookやブログなどのSNSを使って情報を発信できている会社が採用に成功しているんです。中小企業に入社し
たい人は、10人に1人。ロコミや給料だけでなく、イメージが大切。新卒や他業種から来る人はそういった情報に敏感ですからね。
だからホームページはカッコいい写真や動画をたっぷり使ったのがいい。また社長の人柄がわかるように、また社内での様子がわかるようにブログやFacebookなどのSNSを充実させないと若い人にはアピールできないよ。県内の同業の中で1番かっこいいホームページを作れば、鉄工所に勤めたい人は御社を選んでくれるし、少なくとも面接には来てくれるはず。これも単年度計画に入れてあります。
氷見圭嗣専務:それと、工場もキレイなイメージにしたいです。外壁塗装や敷地の舗装をしながら、5Sも徹底していけば品質もより良いものになると思います。休憩所のロッカーを整備するなどの一見細かいことのよう見えることでも、配慮することによって女性社員も働きやすい環境づくりになれば、女性社員の採用にもつながると思うんです。最近は、鉄工所の現場にも女性社員が見られるようになりましたからね。

熱く語る氷見圭嗣専務

小林:ところで土地を買って工場増設したり、事務所を移転したりする予定はどうなっていますか?
実会長:それが、農地だからいろいろ複雑で、なかなか前に進まないんだよね。早いところなんとかしたいとは思っているんだけど。
小林:長い間、議員さんの後援会とか、法人会の役員とか公職につかれていて、行政に顔が利く会長の出番ですよ。営業や積算なんかは、若い人たちに任せて、会長に政治的な動きをしてもらわないと。土地の買取はなるべく早くお願いしますね。社長をクビになったからやることがねぇなんて、愚痴っている暇はないですよ(笑)。

今後にかける新社長と新専務、兄弟の思い

小林:最後に、国雄新社長から抱負をお願いします。
国雄社長:単年度計画と明確な3年後の経営目標ができたので、それを実現していきたいと思います。そして新しい時代に合った組織的な経営ができるような会社にしたいですね。
圭嗣専務:私も近代的な経営ができるように組織化が必要だと思います。それと人財への教育投資をしていきたい。
小林:ところで経営会議はしていますか?最低でも月に1回はやらないとね。
圭嗣専務:情報の共有化ですね。
小林:全社的に何が起こっているのかがわかるので、管理者教育にもなるんですよ。また部分を見る人も必要だけど、全体を見る人も必要ですね。特に工場で生産管理をする必要があると思います。
圭嗣専務:その人財を入れるために何ができるのか。やるべきことを私たちが連携して推進していかなければならないですね。
小林:2代目の実会長が作り上げた「なんでも引き受けてくれる便利な鉄工所」の企業文化。売上も利益も伸びてきた今、第2弾ロケットを切り離して、第3弾ロケットに点火が必要です。単年度計画を月次モニタリングしていき、チェックしていきますから、覚悟していってください。売上高が30%UPで、利益は去年の倍になったら、私の顧問料も倍にしてください(笑)。
実会長:そりゃ、当たり前だね。よろしく指導してください。
小林:共に頑張っていきましょう。本日は、ありがとうございました。

社名:株式会社氷見鉄工所
住所:群馬県安中市鷺宮2140
業種:鉄工業
設立:昭和43年6月/51期
売上高:9億円
社員数:22名
安中市安中で昭和31年5月に創業。昭和43年6月に法人化。平成元年8月に鷺宮工場土地取得し、平成4年4月にエ場稼働。県内を中心とした建設会社から鉄骨工事及び鉄骨加工を受注している。


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