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ぐん税ニュースレター vol.35 page03 -社会保険労務士の部屋から-

テレワークの労務管理

早くも7月も半ばを過ぎました。8月に試験を控えた税理士、中小企業診断士、そして社会保険労務士の受験生にとっては、気温の高まりとともにラストスパートにも熱くなる時期です。コロナ禍により試験実施にかかる費用がかさみ、受験料の値上げもあちこちで行われているとか。国家試験なのに受験者の方に費用負担のしわ寄せが来るのは腑に落ちないですが、暑さとストレスと値上げにもめげずにがんばってほしいですね。
私が社会保険労務士の試験勉強をしていたのはかれこれ20年以上前になりますが、今年の社労士試験に挑戦してみたら合格点が取れるのだろうか、と考えると冷や汗が出ます。出題内容や傾向は変わって当然、プロとして実務を重ねているからには、労働法令の基本はもちろんのこと、法改正や新しい制度にも対応できるよう頭の中をアップデートしていかなければ、と、この時期になるといつも思います。

さて、そんな私に先日やってきた案件は、フルリモート社員の雇用にまつわる労務管理です。突然のコロナ禍で準備もできないままテレワークを始めた会社が多いと思いますが、コロナ禍が過ぎ去った今でも、今後一層の増加が見込まれる雇用形態となっています。テレワーク対応の職種は限られるとはいえ、会社にとっては、人件費を含む経費節減の効果は大きいですし、労働者側にとっても会社と自宅との距離に関わらず就労可能で、時間的にもある程度融通が利くなど、従来型の勤務形態では想像できなかったメリットがあります。優秀な人材が、配偶者の転勤に伴い退職してしまう、労働者側も転勤するたびに就職活動、というようなケースもあるでしょうが、そういった煩わしさも解消されます。
では、制度導入にあたり、具体的にどのような準備が必要なのでしょうか。

テレワーク導入にあたり準備すること

  1. テレワークに要する費用負担の取り扱いについて決めておく
    テレワーク導入の際の最初の壁、かもしれません。PCや周辺機器、スマートフォンなど通信機器などは会社から支給するのか、支給しない場合には、労働者所有の機器類の使用や光熱費等の負担割合について、事前に話し合いのうえ決めておきましょう。現存の就業規則にない事項については、就業規則の改定も必要です。

  2. 労働時間や勤怠管理の方法について決めておく
    テレワークでは労働時間の自由度が高く、長時間労働に陥りやすい、時間帯を問わず業務を行ってしまうという傾向がありますので、時間外・休日・深夜労働、または中抜けなどについても認める場合には、申請の手順を明らかにしておく必要があります。また始業終業時刻、休憩時間などの勤怠管理についても、既存の方法がテレワークにも適用できるのなら問題ありません。

  3. 作業環境のチェック
    テレワークに従事する労働者の健康確保のために、作業環境整備についても指針があります。温度湿度、面積、配置など細かいチェックポイントがありますので、就労開始前にチェックポイントに目を通し、作業環境を整えておくことが望ましいです。また、事業主の支配下にあることによって生じたテレワークにおける災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となります。過度な長時間労働がもたらした健康障害も同様です。

(参考)テレワークガイドライン

厚生労働省ウェブサイトより

テレワーク導入につき、ご不明な点は、ビジネスブレイン株式会社にお問い合わせください。

社会保険労務士 高橋

https://bbrain.jp/contact/


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