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ぐん税ニュースレター vol.24 page5 -お客様訪問-

お客様との対談 ~達磨興通株式会社様~

ぐんま税理士法人の代表小林がお客様を訪問し、お話を聞かせていただく対談コーナーです。今回は群馬県前橋市にある運送会社、達磨興通株式会社の北浦社長にお話をうかがわせていただきました。

卒業後、様々な業務を経験

小林:きれいな事務所ですね。駐車場と大きな倉庫が隣にあるので住所から場所はわかりますが、事務所には看板も表札も出ていないので普通の民家に見えますね。

北浦社長:目立たないように地味にやっています(笑)。

小林:今回は、SEから電気工事、そして運送会社の社長と多彩な才能をお持ちの北浦社長にいろいろ聞いてみたいと思います。まずは経歴からお聞かせください。

北浦社長:出身は前橋ですが、白鴎大足利高校工業部の設備工業科を卒業しました。建築から住宅設備まで全てのことができて、いろいろな資格を取らせてくれる高校でした。設備に関するものは何でもやるので空調、電気設備、水道、測量などの技術を学んで、部活でネットやCADやプログラムなどをやっていました。卒業後、コンピュータの専門学校で制御系のプログラミングを学びました。いわゆるマシン語ってやつです。

小林:プログラミングなどのコンピュータ関連は日進月歩で技術は進んでいくのに、どうやってアップデートしているのですか?

北浦社長:それは電気工事の仕事をしながら、ちょこちょこアップデートしているので、なんとかなります。専門学校を卒業してから医療機器の製造会社で2年ぐらい働いていましたが、車が好きだったので中古車販売業に転職しました。セールスだけでなく整備も車検もやりましたよ。結局、2つの中古車屋に計5年ぐらい勤めました。

小林:それで今も車が好きなんですね。セールスも上手だったと聞きましたが、どんな車が売れたんですか?

北浦社長:マニア車が多かったです。改造しているような車ですね。結構、好きな人が多くて高く売れました。それで、車関係も飽きたので28歳ぐらいになった時にホームページを作る会社に勤めました。ちょうどITバブルの2000年初頭でたくさんお仕事が入ってきました。

小林:そのころライブドアの堀江社長が輝いていたころですね。ホリエモンと仕事をしたことがあるとか。そのころから今のようなカジュアルな服装で仕事をされるようになったのですか?

北浦社長:中古車屋にいたころからスーツでなく、つなぎとか、半袖、短パン、ピンクの髪とかで仕事していました。ホームページを作っている時もネクタイを締めるようなことはなかったです。
その後、独立してホームページを作成していました。営業は前の会社から引き継いだお客さんがいましたので、その人たちの紹介がメインでした。そのうちITバブルもはじけて、ホームページの単価も下がってきて、これ以上やっても儲からないというところで、お客さんの事務所のPCメンテを始めていたところ、コンセントが欲しいとかLANを張りたいとかいう要望が増えて、電気工事の資格も持っているのでやりますよと対応しているうちに、電気工事とかLAN工事がどんどん増えていって、こちらの方の割合が8割から9割になってしまいました。

状態も良い貴重なダイハツ ミゼット。

運送会社を設立

小林:お客の要望に応えることで多角化をされていったわけですね。その後、運送会社を設立されるわけですが、どのように設立されたわけですか?

北浦社長:幼馴染の関常務が伊勢崎の比較的規模の大きい運送会社に勤めていたので、彼の紹介で電気工事やパソコンのメンテなどを受注していました。そして関常務と一緒に平成28年に会社設立をしました。

小林:いきなり運送会社設立なんですか?僕はその運送会社で何年か配車係とか管理部とかに勤めてたんだと思っていました。運送会社の経験はないのに社長になるのに不安はなかったのですか?

北浦社長:実は、以前勤めていた中古車屋の親会社が運送会社だったので、中古車を売りながら時間のある時に配車も手伝っていたんです。なので運送会社の配車経験がありました。また関常務も一緒なのでそんなに心配はしていませんでした。

小林:いまでも関常務が勤めていた運送会社とのお付き合いはあるのですか?

北浦社長:そこからの直接間接的な売上が弊社のほとんどです。営業も一緒にやっています。

現在の業務と今後の展望

小林:現在の運送の事業内容について教えてください。

北浦社長:ドライバーが12人、事務と自分を入れて15人です。運行管理者は自分が持っています。実務は関常務に任せて、自分はそれ以外の周りのことを担当しています。

小林:御社は若い社員が多く、無駄な経費も使っていないのでコスト競争力は強いと思いますが、経営上の課題は何ですか?

北浦社長:設立当初に建てた5カ年計画が新型コロナの影響でだいぶ変わってしまいました。売上の下方修正だけでなく内容的にもずれてきている。軽油も上がっているし。それで次の戦略を考えていますが、今のところ見つかっていません。2024年の働き方改革に対する従業員の管理方法を考えています。若いドライバーが多くたくさん働いて稼ぎたい人が多いけど、残業時間が規制ギリギリです。今後は、売上単価を上げていかないと難しくなります。人材を採用するにも、休みが多い方がいいと言ってくるので、対応しないと人が集まりません。

小林:2024年から運送業も時間外労働時間が年960時間以内にするということですよね。月平均残業時間が80時間って多いような気もしますが、トラック運送特有の待機時間だとか渋滞とか、拘束時間を含めるとそれを超えた労働も多いのが実態ですね。
ところで売上単価を上げる方法の一つとして倉庫を買うというのはいかがすか?

北浦社長:倉庫は建てたいですね。フォークリフトは新車をもう買っちゃって納車されたばかりです。倉庫用の土地は近所で探しているのですが見つからない。

小林:そのうちトラックも自動運転になります。特に高速道路間の自動化は近い将来実現されると思いますよ。そうなると、北浦社長みたいにシステムに強ければ、追い風になるかもしれません。それに備えて自動化をしやすい定期便を増やしておけばいいんじゃない?

北浦社長:定期便はとっていきたいですね。2024年に物流のシステムがどう変わっていくのかが見ものです。物流業界でもいろいろ自動化の取り組みをしています。先ほどの高速道路では先頭車両だけにドライバーがいて、後続車両は無人というカルガモ方式の実証実験が始まっています。また、リレー方式というので途中で動力車と後ろの貨物室をスイッチし貨物室をリレーするようなことも実験しています。これが主流になってくる気がします。車両と箱だけということになって、箱だけは荷主が持つと言った形になるのでは?タイヤ付きのコンテナみたいになるのではないでしょうか?

小林:本当はトラックをそのままで、運転手を変える方が簡単で早いのに、運転手を変えるのを保険会社とか運送会社は嫌がりますよね。他社のトラックを運転するというのは運送業法上、違法なので法規制も変えないと。現在では全国に支店網のある運送会社しかできません。今後の展開はどのように考えていますか?

北浦社長:欲をいえば、倉庫を買ってM&Aで車と運転手を増やしていきたいです。荷物がなければ農業とか製造業をしてそれを自分で運ぶのもいいですね。ニラやジャガイモを自社で作って運ぶ運送会社も出てきています。

小林:まだまだ若いのでこれからの発展が楽しみです。今日はどうもありがとうございました。

コラム
2024年問題とは、働き方改革関連法によって、2024年4月1日から「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用されトラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されます(特別条項付き36協定を締結する場合)。働き方改革関連法に伴う「時間外労働時間の上限規制」は、大企業では2019年4月より、中小企業では2020年4月よりそれぞれ施行されています。
同法が施行されたことで、時間外労働時間の上限は原則として月45時間、年360時間に制限されました。また、労使間で合意した場合でも時間外労働時間に関して下記の制限が設けられました。
 ・年720時間以内
 ・月100時間未満(休日労働を含む)
 ・2〜6ヶ月平均で80時間以内(休日労働を含む)
 ・月45時間を超える月は6ヶ月まで

しかし、下記の業務に関しては上記の規制が5年間猶予されており、2024年4月からの適用となります。
・建設事業
・自動車運転の業務
・医師
・⿅児島県及び沖縄県における砂糖製造業
ドライバーの労働時間に罰則付きで上限が設定されることで、「会社の売上・利益減少」や「トラックドライバーの収入減少・離職」、「荷主側における運賃上昇」といった問題が生じるおそれがあります。

企業情報

商号:達磨輿通株式会社
住所:群馬県前橋市二之宮町1298-2
業種:運送業
設立:平成28年6月
売上高:1億8千万円
社員数:15人
URL:http://daruma-kotsu.com
中古自動車屋やホームページ制作会社、電気工事など様々な業務を経て北浦寛一氏が平成28年6月に設立。コロナ禍の影響で経営計画の変更を余儀なくされるも倉庫の建設や物流システムの変化に合わせた事業などに積極的に取り組んでいる。


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