週刊小売業界ニュース|2024/2/26週
2024/2/26週(2/24~3/1)にピックアップした小売業界ニュースをお届けします。今週のおさらいにぜひどうぞ!
決算絶好調のyutori、I-neは何がスゴイ?ユニクロや資生堂に圧勝しているポイント | Business Insider Japan
「古着女子」というInstagramメディアを起点に、
インフルエンサーとのコラボやリポスト機能を活用し、
古着コミュニティを構築した現・株式会社yutori社長の片石氏。
同社は、上記Instagram運用で手ごたえを感じた後、
市場に出回っている古着のセレクト販売からスタートし、
自社オリジナル商品の製造販売ビジネスへ拡大しました。
「『ブランド本来のサイズに合わせてブランドを
コントロールする』ことを大切にしている」
というポリシーのもと、
現在では他社ブランドの買収も打ち手として取り入れ、
株式会社yutoriの業績を急激に拡大させています。
本事例で特に注目したいのは、
消費者コミュニティ・需要の創造 ➤ 商品の投下という流れです。
中小企業は資金体力の面から、
大規模/長期にわたる広告宣伝費や販促費の捻出が難しいのが実情。
そうでなくても、ユニクロの柳井さんがおっしゃるように
「10回新しいことを始めれば9回は失敗する」なか、
中小企業では1、2事業がたちゆかず研究開発費が回収できないと
倒産するという企業がほとんどであると予想します。
最近ではクラウドファンディング(Makuakeが代表例)が登場し、
製品を形にしきる前段階でも、潜在顧客層に需要の有無を問える
プラットフォームが構築され始めています。
しかしクラウドファンディングサービスでは、
上記SNSコミュニティとは異なり、
製品ローンチ後の顧客を獲得するためには、
別途SNSや他ツールで開拓する手間は残るでしょう。
そういった点で、顧客コミュニティから始める
新規事業戦略という考え方は興味深いと言えます。
実際、これに類する消費者コミュニティの形成により
好業績をあげている中小企業も存在します。
愛知県に複数店舗を展開するパンケーキ店
「cafe Rob」(運営会社:株式会社Old Market)は、
新規店舗をオープンする約1ケ月前から、
当店舗のInstagramアカウントを開設します。
オープンまでに投稿を重ねることで、
数千人のフォロワーを得た状態でオープン初日を迎え、
スタートダッシュを駆ける戦術とのことです。
韓国│PBの全盛時代
「チャンテック」という言葉がはやっています。
節約を意味する「チャン」と財テクを意味する「テック」を
組み合わせた造語だそうです。
韓国のある食品業界関係者によると、
PB商品は、各分野の企業が作った商品より劣る
という認識が韓国でも従来からあったものの、
物価高に押されて低価格志向に変容しているとのこと。
韓国の2023年12月の消費者物価指数は3.2%(前年同月比)で、
日本の2.3%よりもやや高い水準です。
韓国で売れているPBブランド品は、
スーパー大手のEマートが展開する「No Brand」です。
No Brandは2015年に便座シートのPB商品を発売したことに始まり、
現在では800種類以上のラインナップにまで拡充されています。
PBへの追い風から、特に生鮮食品や日用品の拡大が顕著に見られます。
また同社のコンビニ、emart24では
菓子類の内容量を24%増加させる取り組みを開始しました。
物価高をうけて、同価格で内容量を少なくする他社と相反し、
逆に内容量を多くする通称「逆シュリンク」を行うことで、
顧客から反響があることを狙った形です。
Walmart、温室効果ガスの削減目標を6年前倒しで達成したと発表 - WSJ
Walmart Hits Supply-Chain Emissions Goal—Six Years Early
サプライチェーンの上流(自社が調達する原材料の製造工程など)
および下流(自社製品が使用・廃棄されている過程など)における
温室効果ガスの排出を対象とするスコープ3。
大半の企業は、サプライヤーなど関連企業への呼びかけや
モニタリングに終始するなか、Walmartは本気です。
小売業において温室効果ガス排出の大半はスコープ3によると言われ、
Walmartの排出量の約95%はスコープ3に属するとの試算があることが
同社の取り組みに対する本気度の背景にあります。
Walmartがサプライヤー企業に対して実施している
支援として次のようなものがあります。
サプライヤー共同での、再エネ電力の調達
商品配送にゼロエミッション車の運用・配送ルートを最適化
サプライヤーどうしの勉強会や、環境NGOなど専門家への相談会
特に興味深く思われるのは、
「Gigaton PPA (Power Purchase Agreement)」
と呼ばれる1.サプライヤー共同での再エネ電力の調達です。
Gigaton PPAでは、
購買量が少なく規模の経済の恩恵が受けられない
小規模サプライヤーを集約して再エネを購入する仕組みです。
ウォルマートがGigaton PPAを実施する背景には、
日本と同様に、アメリカの小規模事業者も
経済的な再エネ調達が困難という現状があることが推察できます。
●その他の記事一覧
Macy’s、自社150店舗を閉店予定も、傘下のBloomingdale’s・Bluemercuryは拡大を計画 - The New York Times
アマゾン創業から30年、米小売におけるeコマース割合が「横ばい」の理由 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
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