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週刊小売業界ニュース|2024/2/12週

2024/2/12週(2/10-2/16)にピックアップした小売業界ニュースをお届けします。今週のおさらいにぜひどうぞ!


韓国EC大手Coupang、アルバイトの人たち向けに「新学期景品イベント」を開催

Coupang Flexerは、主婦・大学生など誰でも好きな時間に自由に働ける柔軟な勤務環境で人気の高い配達アルバイトだ。Coupangはアルバイトの人たちに、生活に役立つ商品を支給し注目を集めている。配送完了後に貰える応募券で応募すると抽選でPCや商品券が貰える。「国民バイト」としての配達アルバイトのイメージ付けに寄与。

担当者による要約

「韓国のAmazon」と言われるEC大手のCoupang(クーパン)。

Coupangは2010年にソウルで創業。
Amazonが進出する前の韓国市場で急速に拡大し、
現在では約1,800万人が利用する最大ECプラットフォームです。

「ロケット配送」と呼ばれる配達の速さが同社の特長です。
Coupangは自社の配送網を構築し、迅速な配達を可能にしています。

夜の12時までに注文すれば翌朝にはもう届いているそう。
この利便性が、同社普及を大きく後押ししました。

PC:ロイター通信(Josh Smith)

しかしコロナ禍を経てEC需要が高まるなか、
韓国でも宅配業者の苛烈な労働環境が問題視されるようになっています。

コロナ禍をうけ韓国市場全体の宅配需要は、
2019対2020年比で約30%も増加し、

その結果、配達ドライバーの平均労働時間は週に約71.3時間
しかも、配送物の仕分け作業をする時間は無給の扱いとのこと。

配達ドライバーが雇われの正社員ではなく個人事業主であり、
勤務時間上限を定める労働基準法の適用外であったり、
雇用保険に未加入であったりすることが問題を助長しています。

このような問題が一番顕在化したコロナ禍直後の2020年、
悲しくも15人の配達ドライバーが過労死により亡くなったとのこと。

政府もこの状況を問題視し、労働法の見直しなどを進めるほか
昨年2023年には道路交通法の改正を行い、
ロボットによるラストワンマイル配達の自動化が検討可能になりました。

特集記事のCoupang利用者による配達アルバイトの募集は、
このような韓国社会全体が注視する配達ドライバー不足の状況に、
企業自らが自浄的に手を打った対応と言えるでしょう。


Macy's、プライベートブランド"State of Day"を投入し、自社商品戦略を推進 | Retail Dive

Macy’sは新たに、女性向け寝間着などを中心としたプライベートブランド”State of Day”を発表。165点の商品にはパジャマセットやナイトガウン、プリーツシャツなどがある。同社はリリースに関して、ニットからコットン、シルクなど「贅沢な質感」を与えるブランドだと発表。

担当者による要約

アメリカ独立記念日(4th of July)の花火大会や、
NY市内を練り歩くThanksgivingパレードでおなじみのMacy’s。

日本と同様に、アメリカの百貨店業界においても
ディスカウントストアやECプラットフォームの台頭を受け、
2010年代半ばより、長らく業績が低迷していました。

Macy’sにおいて、株価は2015年に最高値73ドルをつけて以降、
約75%も下落(2024年2月中頃時点で約20ドル)。

出所:Yahoo! Finance

また全店舗の3分の1にあたる約300店舗も閉店するなど、
後退の様子が顕著に現れていました。

そんなMacy’sで7年ぶりにCEOが交代し、反転攻勢をしかける構えです。

新CEOのTony Spring氏はCEOの就任以前は、
Macy’s傘下の百貨店、Bloomingdale'sの舵取りをしていました。

Bloomingdale'sでは取り扱いブランドの拡充や、
店舗ディスプレーのテコ入れなどを行い、
マーケティングの専門家として業績向上に貢献。

Macy’sの経営においてリソースともリスクとも言える実店舗。
Macy’sは2024年始時点で、500以上の店舗を抱えており、
ネームバリュー等を活かしたテコ入れは必要不可欠と言えるでしょう。

新CEO、Tony氏が得意とする商品戦略において、
特集のプライベートブランドがMacy’s再興に繋がるのか、
同質の問題を抱える日本としても注視したいところです。


アマゾンの返品商品を転売する「ビン・ストア」に米紙が潜入してみたら… | 米国でオープンラッシュの「ゴミ箱ストア」 | クーリエ・ジャポン

全米で「ビン・ストア」と呼ばれる新たなビジネスが人気を集めており、顧客は大手小売店の返品された商品を安価で購入するために朝早くから行列を作る。2022年には返品商品が160億ドルに達し、これらの商品はビン・ストアで第二の人生を歩む。副業としての転売やSNSでの話題性もあり、経営者にとっては「これまでで最高の仕事」とされるが、競争は激化している。

担当者による要約

アメリカでは商品の返品について寛大な対応をしてくれることが多いです。

「リターンポリシー」などと呼ばれますが、
購入者の自己都合による返品であっても、
タグを切ってしまっていたり梱包箱が無かったりしても、
返品に応じてくれる小売店は多いです。

個人向け保険・銀行業を主に行う米Capital Oneの調査によると、
2022年度のデータでは

  • ECストアでの購入における返品率:26.0%

  • 実店舗での購入における返品率:16.5%

日本の返品率が5~10%であることと比べると、
返品の垣根が極めて低いことが分かります。

さらに最近では、コロナ禍でECでの買い物に長けた消費者が
例えば試着用として、いくつかのサイズや色の商品を注文し、
要らなかったものを返品するという習慣ができたためか、
返品数がさらに増加しているとのこと。

アメリカ小売り業者も、返品の多さを問題視し取り組みを始めています。

例えば、Amazonでは顧客の購買データを機械学習にかけ
返品の可能性が高そうな顧客には、
広告を出さない、商品を優先的に表示しないようにするという、
顧客選びによる返品率の削減という打ち手を実施したりしています。


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