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からっぽ男の憂鬱・2022/06/02

「からっぽ男の憂鬱」シリーズと題した日記、久し振りに書いてみる
今日は映画の感想を。

見た映画は1987年のメル・ブルックス監督『スペースボール』
タイトルから大体想像つくと思うけど、『スターウォーズ』のパロディ映画だ。

感想と言えば、困っちゃうのよね。
可もなく不可もない。
アメリカの喜劇の重要人物のひとりであり、パロディ映画の名人メル・ブルックス監督御大自ら、監督・脚本・出演している。
が。
可もなく不可もない。
別に、メル・ブルックスが作らなくていい映画、なのだ。

下ネタ多めだけど俺は割と好きな『珍説世界史 パート1』を作って、多分疲れちゃったんだろう。興行的にも上手くいかなかったんじゃないかしら。
『メル・ブルックスの大脱走』(往年の名作喜劇『生きるべきか死ぬべきか』のリメイク。ちなみに出演だけで監督はしていない)がまあまあ、のあとの『スターウォーズ』ネタ。

今でこそ『スターウォーズ』は人気に事欠かないけど、1987年制作、ってのがミソ。
つまり『エピソード1』の噂もなかった頃で、「今更、何で、『スターウォーズ』を、メル・ブルックスが作るの?」ということなのだ。

それにギャグもいまいち。
同時期にパロディ映画と言えばザッカー兄弟とジム・エイブラハムズのZAZによる『フライングハイ』『トップ・シークレット』があって、テレビで『フライング・コップ』シリーズを作っていて、単純なストーリーに「笑えさえすりゃいい」ギャグ・パロディをすし詰めにしたものが出だして、「メル・ブルックスも年取っちゃったね」だった。

『スターウォーズ』をやりたいから作った、ような映画。
まずは、お馴染みのオープニングの字幕と、ファーストショットのやたらとデカいデススターもどき(全部を打つのに1分以上かかる)でカマす。
そのあとは結婚がイヤなやんちゃなレイア姫に付いてくるメイドのC3-PO、インディ・ジョーンズの様な格好のハンソロとイヌ人間のチューバッカの冒険物語と、バカでかいかぶり物をした小男の「ダーク・ヘルメット卿」とスペースボール星大統領とその手下3人組のドタバタが混ざってる。あいだに聖人「ヨーグルト様」も出てくるけど。(大統領とヨーグルトはブルックス御大の2役)
見てる分には脳ミソからっぽでいいけど、こうして振り返ると、ホント、「何で作っちゃったの?」な映画です。

それでもオススメポイントがなくはなくて。
それは日本語吹き替え版が良い、ってこと。
DVD・Blu-rayは今品切れ状態で結構なお値段するけど、なに、Amazonプライムで299円レンタルで観られます。
メル・ブルックスが羽佐間道夫、でっかいヘルメットが富山敬、ハンソロ役が大塚芳忠だ。吹き替えの妙が楽しめます。最近の洋画の吹き替えがつまらないのは、特にコメディの吹き替えがつまらない理由がわかる気がするのですよ、言語より吹き替えの方が面白い映画観ると。

ちょいと、モンティ・パイソンに寄り道します。
「コメディ映画」だけど、3作しかないパイソンズの映画は「重い」と思うんです。
もちろん観るときは軽い気持で観られるし、そういうもんなんだけどさ。
喜劇映画として、それぞれ「歴史偶像破壊」「宗教の喜劇化」「生命の意味の無さ」を描いているからか、ナンセンス・シリーネス・パイソネスクの果てに何もない。だからこそ心にずっしり残ると思っているのですよ、ワタクシは。

それに比べると、メル・ブルックスは「笑う映画」を作ってるんですよ。
西部劇のパロディ『ブレージング・サドル』・名作中の名作『ヤング・フランケンシュタイン』・現代にわざわざ金かけて作った『サイレント・ムービー』・ヒッチコック公認の『新サイコ』(原題は『高所恐怖症』だから『新めまい』の方が意味は通るんだけどね)と、映画というメディアを使って「笑う映画」を作っていった訳ですよ。
だからこそ。
なんで中途半端な頃合いに、中途半端な『スターウォーズ』をわざわざ作ったのか、年食っちゃったなぁ、だった訳です。レンタルビデオは字幕で、観たけど吹き替え版の良さを確認して終わった。

そのあとも、ケビン・コスナー版に当てつけた『ロビンフッド キング・オブ・タイツ』(要するにロビンフッドはタイツはいてなきゃダメだろって映画」)・レスリー・ニールセンを呼んで作ってそれだけになっちゃった『ドラキュラ』(コッポラの映画があったから作ったんでしょ、多分)と、もうメル・ブルックスはダメになっちった。

と、思ったら、ですよ。
ブロードウェイで、監督デビュー作のミュージカル版『ザ・プロデューサーズ』の大ヒットを飛ばす。
映画版も成功して(きっちり本人が出てくるくどさが御大らしい)、『ヤング・フランケンシュタイン』のブロードウェイ版も作り、倖せな晩年を送っていると思う。

(ちなみに、例に出したZAZは、『フライング・コップ』を映画用にアップデートした『裸の銃を持つ男』シリーズと『ホット・ショット』の1・2で力尽きたのか、こっちは完全に落ち目、だと思ってます。笑いの量が減ったのと笑えないギャグが目立つのと、もう予算がそんなにないのとで……)

と、まあ、わかる人にしかわからん感想文を書いてみた。
吹き替えが良いと面白くないものも面白くなる、という教訓を確認した次第。

今日はここまで。
また何かあったら書きます。
ではでは。

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