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外資系転職なら任せろ・3

この項目では、過去2回の(ほぼ)自己都合ドロップアウトから、どのようにして元の年収確約でサラリーマン界に舞い戻ったかを記していこうと思います。まずは一回目。

果樹園からお絵かきソフトの会社に転職した時の話。



  • 1回目はパッケージ貰って退社

会社と規模と制度に依りますが、所属する部署がクローズする時、あるいはシンガポールに集約するなどでヘッドカウントを減らす事になった時など、会社はオプションを提示してきます。
出向するか、または

「とても」良い条件で辞める

という選択を迫られる事があります。期限付きで。
これははっきり言って、

「部署クローズは渡りに船」

と申し上げて差し支えないのではないか、と思います。
加えて申し上げると、「泥舟から早く降りましょう。」という事です。

私が初めて勤めた果樹園の会社は、当時「また日本から撤退するのでは?」と言われていた会社でした。カリスマ社長の存在も知っている人だけが知っている感じで、今のように誰もが知っている巨大企業ではなかったように思います。少なくとも、私が入った2003年当時はそのような感じでした。

株も買っていましたが、カリスマ社長が病気になったと報道が出た直後、ああきっとこれは早々に紙切れになってしまうであろう、と素人の浅知恵をおこし、半分以上売却してしまいました。
ちなみに売らずにキープしていた人たちは、山手線の内側に広い土地を買い豪邸を建てて、悠々自適に暮らしているケースもあります。
タイムマシンがあれば、その頃の自分に会いに行って「売るな、馬鹿者!」とビンタの数発でも浴びせてやりたいと思います。

さて、そんな事で果樹園の会社で、この部署クローズがアナウンスされました。
シンガポールからAPACの長(おさ)が急に来日する、しかも午前8時からホールに集められると聞き、ああこれはクローズだと察知しました。この部署は解散だと確信しました。
それまでも、

いつクビになるかわからない

そんな会社だったのです。誰もが、

自分の席は自分で守らなければならない危機感

を常に持っていました。これは今でも変わりませんし、私自身は健全な姿であると思います。そんなに毎日ギリギリガリガリしていなくても良い会社が増えましたがね。

その時、提示されたオプションは以下の2つです:

・ベンダー監督者として僻地へ赴任するか、

・800万円貰って辞めるか


当時の私は30歳手前でした。
当然後者でしょう。
ニコニコ顔で挙手したことを覚えています。「ハイ!ハーーイ!!」と。

丁度その頃、私が果樹園社内で様々な成果・結果を出していた事を聞いてくれていた「元果樹園」の人達が、既にお絵かきの会社に10名程転職していました。
その人達が声をかけてくれました。
「ああ、グリンゴって、あの超いろいろがんばってる子でしょう?」と。

転職らしい転職は初めてで面食らう事も何度か有りましたが、最終的に、

プラス150万円でオファーレターをもらう事が出来ました。

いわゆるリファーラル採用です。
では経緯を細かく記して行こうと思います。

リファーラル採用はなぜ良いのか

当時の私と、声をかけてくれた人との関係性についてですが、私は元々面識はありませんでした。元々真ん中に赤いチョボのついたノートパソコンを作っていた会社の人で、その後転職で果樹園10年、その後、お絵かきの会社へ転職された方です。彼女は果樹園の人たちとずっと連絡を取り合い、仲良くしていたそうです。
そして私の同僚で、別チームのためパッケージ対象にならなかった人が、彼女へ私の話をしてくれていたそうで、「ああグリンゴって名前聞いてるわ。あの子ならいけるかもね」という事で、声がかかったという流れです。

企業の面接に際しては、内部の情報を事前にいかに取得するか、という事が要となります。先方の内情を知っておけば、その前提で更に突っ込んだ質問や話が出来ます。話が早いという事はつまり、おっ、このcandidate(就職候補者)はよく理解しているな、よく調べているな、という信頼と「やれそう感」に繋がります。
また、自分が入社した後の自分自身のムーブについても、前提ありきで想定できますし、誰に注意すべきか、誰と(どこと)摩擦があるのかも知っておけば、他の候補者より何段も上に経って話すことが可能となります。

また、採用する企業の側からもメリットがあります。それは、エージェントに対して支払う額が節約できるという事です。
私が転職に成功すれば、企業は成果報酬として私の年収の約30 〜35%を、エージェントへ支払うのが一般的です。理論年収850万円の場合、約250 〜300万円になります。
一方、リファーラル採用の場合、入社が決まれば1ポジションについて 50〜80万円が、紹介者へ直接支払われるという仕組みです。
今後リファーラルで転職が決まった皆様は、紹介者さんに是非ご飯をおごって貰いましょう 笑
そして、それは新しい会社での社内ネットワーク構築の第一歩にもなります。

そのような訳で、リファーラル経由の転職は、工数は最少ながら、最強の転職ツールであると言えます。

事前に情報を得られる事が大変なアドバンテージにつながると記載いたしましたが、取得できる情報は以下もあります。
レポートラインは誰になるのか
上司とその上の上司はどんなタイプの人か。なに人(アメリカ、イギリス、欧州?)なのか
同じチームにどんな人がいるのか、誰と最初に仲良くなるのが良いか
そのチームに溶け込めていないのは誰か、どんな目に遭っているか
出張の頻度はどの程度か、ワールドワイド全体で集まる機会はあるのか
テレカンは週何回ぐらいあるか
また、うまくゆけば
カウンターパートはどんな人がいるか
会社が抱えている別の問題にどんな事があるか
今後どのような方向性を打ち立てているか
このロールのメインのミッションは何か
この辺りも強力な武器として、面接突破と入社後のビヘイビア戦略を考えるのに大変有利になります。

私の場合は、確か3 〜4回の面接があったように記憶しています。
この時は、マネージャではなくヒラの採用でしたので、候補者サイドからプレゼンをする事はありませんでした。

出来ることは少し膨らまして言って、
出来ないことははっきり伝える。「でも◯◯の経験があるので、こういう組み立てで行けばそちらも成果を出せると思います。だいたい3ヶ月でこれをやって、半年後には◯◯%の成果が出ます、ストレッチなゴールでは◯◯%を目指していきたい」、等のカウンタートークは必須になります。
面接時の口頭でのコミットメントは、具体例示と熱意を伝える物であって、決して記録されている訳ではないので、ちょっと無理かもぐらいのストレッチな数字を、感覚で伝えて良いと思います。
要はやる気と具体性を見せる事です。
また、私のように仕事をドロップアウトしている人でも、その時に得た経験を仕事ではこんな風に活かせる、という言い方をすれば全く問題ないです。

例えば私の場合は、仕事を辞めて2年間アーティストとしてヨーロッパに行っていました。絵画やインスタレーション制作です。
自分で少しマーケティングをして、取材をしてもらって地方紙に載ったり、自分のバイオグラフィーを書いたり、在外日本文化会館や小学校でワークショップをしたりしました。その間、日本にいる友人の雑誌記事の挿絵を頼まれて描いたりもしました。それらも全て、平易な言葉で相手に伝わるように準備をしておきます。「仕事目線を切らさず、横へ縦へ展開していく人」というアグレッシブネスを相手に認識させる言い方が大切です。

この時点で、過去最高年収に持っていく事が出来ました。お絵かきソフトの会社では、約2年間、2つのポジションで仕事をする事になります。
年1でラスベガス出張があり、帰りには休みを移動させてニューヨークで遊んで帰ったり、別で本社出張もあり、アワードを受賞したり、友達を沢山増やすこともできて、良い時間を過ごさせてもらいました。

次は外資系転職なら任せろ・4へ続きます。


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