yuri

本を読んだ感想。そのほか日常の色々の記録。

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本を読んだ感想。そのほか日常の色々の記録。

最近の記事

「徒然草」を訳してみた。

タイトル通りである。 去年一年間かかって、「徒然草」の本文を訳しながら読んでみた。 元々、島内裕子先生の素晴らしい訳が読める↓の徒然草を読んでいた。 章段ごとに、 本文 訳 註釈 が書かれ、実に読みやすくて、その段が書かれた背景についても思いを巡らすことができる。素晴らしい一冊だと思う。 だけれども、どうにもこの本で徒然草を読んでいると、一陣の風が耳をすり抜けていったような感覚だけが取り残されて、徒然草と本当には向き合えていないような気持ちが残ってしまった(これはもちろん受

    • 2023年 おもしろかった漫画たち

      またもご無沙汰です。 今年は例年より本があまり読めなかった…と思っていたんだけど、今年読んで面白かった漫画なんだっけ?と思い返してみるとわりとぽこぽこ浮かんできた。 慌ただしくしている時でも、その隙間を縫って面白い本はちゃんと手元に届いてくるのだから不思議なものです。 とはいえ、来年は漫画も活字も、もっとたくさん出会いたいなあ。 ちょっとネタバレあるかもなのでお気をつけください。 ではでは。 読後、大河ドラマ…いや、朝ドラを一作見終わったような満足感でいっぱいになる作品。

      • 最近読んだ本と映画の話。

        役人・マカールと彼が見守る少女・ワーレンカ、二人の悲しい恋を往復書簡というかたちで描いた小説。 二人の恋が徐々に貧しさに蝕まれていく様がとても悲しい。 二人の想いのズレが後半に向けて、じわじわと広がっていくのも、なんとも居た堪れない気持ちになった。 アンシリーズ、7作目。 「炉辺荘(イングルサイド)」の女主人として、6人の子供達を育てるアンの物語。 エピソードのほとんどは子供達の話で、ひょっとするとシリーズ中1番平凡な話かもしれない。アンは物語を描くのをやめ、日々、子供達の

        • お久しぶりの読書感想など

          ものすごく久しぶりの投稿。 今年の春くらいからずっと忙しくて、多分来年の春まで忙しいんだと思うんだけど、ようやくちょっと本を読めるようになってきたので、一言感想など。映画感想もあります。 とっても不思議な一冊。 でも本好きな人ならきっと染みると思う。 手にした本が落丁本だった主人公。その続きを読むために探索するも、手に取る本はすべて落丁している。読み進めていくうちに「本を読むこと」とは一体何だろう?という主題が読者に突きつけられる。 断ち切られた物語たちがすごく面白くて、主

        「徒然草」を訳してみた。

          2023年今年の抱負とか色々。

          ふと気がつくと、2023年もひと月を過ぎてしまっている。 今更だが、2022年という年を漢字一文字で表すのなら「痒」だったなあと、振り返って思う。(もしくは疹・・・) 2022年の正月から全身に出た蕁麻疹。その後、一度引っ込んだかに見えたけれど、風呂上がりなどにちょこちょこと出ては消え、出ては消えを繰り返し、結局夏にまた顔にバッと出たので再度皮膚科のドアを叩いた。 それからは、処方されている薬のおかげで今のところ抑えられているが、それでも一年のほとんどを蕁麻疹に振り回されて

          2023年今年の抱負とか色々。

          2022年 面白かった漫画たち

          大晦日ですね。 今年も年末はバタバタで、こんなギリギリのタイミングとなってしまったけれど、今年面白かった漫画について書いていこうと思う。 去年と同じく、今年読んだものの中から。多少のネタバレあるのでご注意を。 今年は、暇な時にLINE漫画で漫画を読むことが多かった。 そして、今だけ〜巻まで無料で読める!→読んでみる→続きが気になって買う という流れが多かった気がする。(踊らされている…!) 「青の花 器の森」もそんな作品のうちのひとつ。 波佐見焼の窯元が舞台で、主人公は絵付

          2022年 面白かった漫画たち

          おでんの日

          自己紹介の好きな食べ物の欄に「おでん」と書き始めたのはいくつくらいからだっただろう。 1年間夕食の献立がおでんでも食べ続けられるかもしれない…と真剣に考えてしまうくらいには好きな食べ物である(ちなみにそのおでんの隣に「白身魚」と書くくらいには白身魚のことも愛している)。 でも、おでんを作り出すには気合いがいる。 まず、厚揚げとがんもは必ず豆腐屋で買うと決めている。がんもは色々種類があって、毎回どれを買うか悩まされる。 他の材料はスーパーで購入するけれど、もち巾着は欠かせない

          おでんの日

          Netflix「驚異の部屋」感想

          お久しぶりです。 あっという間に更新しない日が続いて、こんなに間が空いてしまった。今月は週一で投稿出来たらいいなあ。願望。 さて、 暇つぶしで観ていた、Netflix ギレルモ・デル・トロ「驚異の部屋」を観終わった。 海外版「世にも奇妙な物語」みたいでなかなか面白かったので感想を書いておこうと思う。ネタバレがありますのでご注意を。 「驚異の部屋」は1話完結のオムニバス。全8話あり、監督はそれぞれ別の人になります。製作総指揮はもちろん、ギレルモ・デル・トロ。 第1話 ロッ

          Netflix「驚異の部屋」感想

          読書感想「トリエステの坂道」/須賀敦子

          海外の小説を読む時、翻訳家の文章が好みかどうかは割と重要な指標になる気がする。 昔の知り合いで、翻訳小説の文章はどうにも好きになれないから読まない、と言っていた人がいた。いやいや、翻訳小説という大枠にくくって嫌ってしまうのはかなり勿体ないですよ〜といくつかおすすめを貸したところ、面白い!すごく読みやすかった!と言ってもらえてほくほくした経験がある。 ちなみに薦めた中でも気に入ってもらえたのが、ドロシー・ギルマンのミセス・ポリファックスシリーズ。訳は柳沢由実子さん。一度読んだ

          読書感想「トリエステの坂道」/須賀敦子

          旧ドラえもん映画感想①

          少し前から、アマゾンプライムでドラえもん映画が40作品視聴出来るようになった。私は旧ドラ映画の大ファンなんだけど、なかなか視聴できる手段がなくて、DVDBOXを買うかずっと迷っていたため非常に嬉しかった(それはそれとしてDVDBOXはいつか買いたいとは思っているけど…)。子供と一緒に楽しんで見ている。 せっかくだから一言二言感想を書いておこうと思う。 ① 「のび太の恐竜」 記念すべき長編第一作目。 1時間半という決して長くない時間の中で綺麗にお話がまとまっていて、改めて大

          旧ドラえもん映画感想①

          再読「舞姫テレプシコーラ」

          山岸凉子の言わずと知れた名作、「舞姫テレプシコーラ」を再読した。内容はほとんど覚えていたけれど、読めば読むほど新しい発見のある素晴らしい漫画だったので、つらつら感想を書きたいと思う。 第一部までの結末を含んだ感想なので、未読の方はご注意ください。 舞姫テレプシコーラは、バレエに魅せられた少女たちの物語である。 メインで出てくる全くタイプの違う三人の少女たちについて、まずは語りたいと思う。 一人目は、主人公の六花(ゆき)。 母親がバレエ教室を運営しており、環境的にも金銭的に

          再読「舞姫テレプシコーラ」

          行きつけの蕎麦屋が欲しい

          かつて私には行きつけの蕎麦屋があった。 私の実家の辺りは住宅街で、飲食店は全く根付かない。たまに思い出したようにポツポツとお店が出来て、気がつくと消えている。ファミリーレストランすら数年で潰れてしまった。 そんな住宅街の中に、ある日ひっそりと蕎麦屋が出来ていた。 その頃の私は、長いこと追いかけていた夢がダメになって、東京にいる意味がわからなくなって、何故か出たくて出たくて仕方がなかった実家に舞い戻ってきていた。やりたくないもない仕事を生きるためにやっていて、とにかく考える

          行きつけの蕎麦屋が欲しい

          読書感想「インド夜想曲」/アントニオ・タブッキ

          「肉体のことです」僕がこたえた。 「鞄みたいなものではないでしょうか。われわれは自分で自分を運んでいるといった」 もう十年以上前のことになるが、インドに旅行に行ったことがある。 その記憶は、まるで昨日のことのように、すぐに自分の中から取り出すことが出来る。 飛行機から一歩降り立った時の、じんわりとしたインドの夜の熱気まで、鮮明に。 「インド夜想曲」は、失踪した友人を探す主人公がインド各地を旅する物語である。 主人公は行く先々で出会った人々と対話をして、不思議なメッセージを

          読書感想「インド夜想曲」/アントニオ・タブッキ

          子供が子供らしくあるということ/「ふしぎな島のフローネ」

          世界名作劇場「家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ」を今日見終わった。 今まで世界名作劇場をいくつか見てきた中でも、この作品はなかなか異色だな、と感じたので感想を残しておこうと思う。 「ふしぎな島のフローネ」はスイスからオーストラリアに移住するために船に乗ったロビンソン一家が、途中で船が座礁したため、たどりついた近くの無人島で生活していくという物語である。 ロビンソン一家は、父で医師でもあるエルンスト、看護婦をしている母のアンナ、音楽家を目指していた兄のフランツ、

          子供が子供らしくあるということ/「ふしぎな島のフローネ」

          読書感想「殺人出産」/村田沙耶香

          私たちはいつ死ぬかわからない日々の中を生きている。いつ殺すともしれない日々の中を生きている。 セックスをして子供を妊娠出産することがなくなり、人口減少を阻止するために、10人子供を出産すれば1人殺してもいいというシステムが採用された世界の話。 なんともぶっ飛んだ世界だな、と思いながら読み進めた。 男性が人を殺したい場合は、体内に人工子宮を埋め込んで出産する。 もちろん10人産む前に死んでしまう「産み人」もいる。 「産み人」システム以外で人を殺すと、「産刑」という罰が与えら

          読書感想「殺人出産」/村田沙耶香

          今年の抱負とか色々。

          新年もう8日も過ぎてしまいましたが、あけましておめでとうございます。 今年もゆるゆるとnoteを更新をしていきたいので読んでもらえれば幸いです。 そして去年より本をたくさん読める年になればいいなあ。 実は1月4日の朝から、原因不明のじんましんが全身に出ている。かゆい。つらい。 皮膚科が開いていなかったので、とりあえず内科に行って、点滴。 5日に、皮膚科に行って薬をもらう。 7日に再度皮膚科に行くと状態がひどいから点滴をしましょうとなる。 内服薬は強い薬が出せないけど、点滴は

          今年の抱負とか色々。