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最近読んだ本と映画の話。

役人・マカールと彼が見守る少女・ワーレンカ、二人の悲しい恋を往復書簡というかたちで描いた小説。
二人の恋が徐々に貧しさに蝕まれていく様がとても悲しい。
二人の想いのズレが後半に向けて、じわじわと広がっていくのも、なんとも居た堪れない気持ちになった。

アンシリーズ、7作目。
「炉辺荘(イングルサイド)」の女主人として、6人の子供達を育てるアンの物語。
エピソードのほとんどは子供達の話で、ひょっとするとシリーズ中1番平凡な話かもしれない。アンは物語を描くのをやめ、日々、子供達の母として生きることに喜びを見出している。季節は美しく緩やかに巡り、毎日が飛ぶように過ぎていく…。
この季節が巡る描写が本当に美しくて、うっとりとしてしまう。

 黄金のような一日の、黄金のようなこの時刻をだれもみなたのしんだ。港の向こうから教会の鐘がかすかに美しく聞こえてきた。月は水に模様を描き、沙丘は銀にかすんで光っていた。空中にはハッカの匂いが漂い、どこか目につかないところのばらがたまらなく甘く香っていた。

後半では、結婚記念日を忘れているギルバートに腹を立てたり、子供たちに八つ当たりして落ち込んだりと、人間くさいアンの姿を見れてなんだかちょっとだけ安心したりした。


夫に「なんか本かしてよ」と言ったら、これを貸してくれた。
この作家さん読んだことあったかな…?
最初は、なんかみんな順応力高くない?ってやや置いてきぼり感があったけど、途中からそんなことも忘れて、あっという間に読み終わってしまいました。細かい設定はなんだかよくわからないので適当に読んでしまいましたが、過去から未来にメッセージを送るために、試行錯誤するところが面白かった。そういう送り方かー!って。ここら辺の描写もう少しじっくり読みたかったな〜。
なんとなく、夏休みのアニメ映画の原作とかに向いているような気がするんだけど、どうでしよう?(誰に言っているのか)


少し前に観てきた映画。

予告を見て、ああこれはもう絶対観に行く。と思って、一人で観に行ってきました。
あらすじはあってないようなもので、チリに実在したコミューン、「コロニア・ディグニダ」をモデルとした団体の、そのプロパガンダ的作品という体をとった映画。
実はわたし、この映画を観る前日にお腹を壊していて、まず冒頭の短編映画「骨」が始まった時点で、(上映中にお腹痛くなったらどうしよう…)と不安になり始め、変な冷や汗をかいていた。(「骨」は大変素晴らしい作品でした…)
本編が始まってから、その不安は更に大きくなって、頭痛がひどくなり、とりあえず映画に没頭しよう、と真剣に観ていたのにものすごい眠気に襲われた。
そして、数回気絶するみたいに意識を失って、またひどい頭痛がやってきて…みたいな、覚えている限り最悪な視聴体験だった。
プロパガンダ的な作品なので、最後には団体から逃げ出した少女が、団体に戻っていくという筋なのですが、その後半の展開が怒涛で、今まで頭に重くのしかかっていた、不安と眠気と頭痛がパーっと晴れやかに飛び去っていって、後半食い入るようにスクリーンを見つめていた。

不快感からの、唐突な脱出。ああ、洗脳ってこんな感じなのかもな、と思った体験だった。

たぶん色々計算されて作られた作品なんだろうなと思う。
めちゃくちゃ元気な時にリベンジしたい。


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