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デザイン事務所のインターンって実際何やってるの?【デザインプロセスやブランディング】

はじめまして!グランドデザインで、デザイナーをしています。大崎と申します。2020年の春頃インターンとして採用していただき、最近内定をいただきました。
Noteではデザイン事務所のインターンにどう参加していったかという基本的なことから、グランドデザインという環境でインターン生としてどのような業務を進めたのかを共有していきます。学校とは違う、実務経験の中で何を学び、何に気づいたのか、学びのプロセスや外部からの視点でグランドデザインという会社を見た時の印象を共有できたらと思います。

なぜブランディングデザイナーを目指したか

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なぜブランディングの方向を目指したかというと僕は『物語』や『ストーリーテリング』に焦点を当てて美大では企画やデザインの制作をしていました。プロダクトデザインの3要素が『機能(インタラクション)』『形・色(CMF )』『物語(謂れ)』で構成されているように、世のデザインは意図を持って世の中にアピールをしています。時代の流れに沿って、機能→形・色→物語と価値の比重が変わりつつ現代で『物語』を主軸に制作することは価値を大きく生むと考えていたからです。物語という軸で世の中を見ると、例えばアプリのデザインやUI/UXにはカスタマージャーニーやペルソナなど人の体験の物語が潜んでおり、広告は商品をあるターゲットに向けてどのように使われるのかという物語を提供していたりします(代表的なのは伊右衛門ですね)

つまり、外見や意匠などの表面だけでなく、その根底にある物語やコンセプト、課題解決を重視したクリエイティブの仕事をしたかった。もちろん、アウトプットも大事です。どんなに饒舌な人でも作っているものがダサければ説得力があまりありません。論理的な思考プロセスで、かつお洒落でかっこいいものを作れるような、そんな場所を探していました。

美大卒業

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僕がブランディングという方向を考えたのは大学4年の夏でした。

就活を始めるのは3年生もっと早くて2年生からはじめる人もいる中で、就活を大学卒業してから始めるのは遅すぎる!と思う人は多いと思うのですが、僕の信念はこうでした。


『いい作品を作れることが証明できればクリエイティブ系の就職はいつでもどうにかなる!』


武器もないのに闇雲に受けても目に見えたお祈りメールが来るだけと考えていたので、大学生の間は目の前の作品制作や外部プロジェクトに打ち込みそれらをまとめて卒業してからと考えていました。今思うとかなりギャンブラーだったかなと思いますが、結果オーライでした💦(グランドの皆さん、ありがとうございます)
また、就職できればどこでもいいと思っていたわけではなくて、ちゃんとプロセスや思考を重視した上で良いアウトプットを目指せる環境を望んでいました。そんな中、大学の求人票にあったグランドデザインを見つけ、Wantedly(後に詳細)から応募したところなんと西さんから返信が来たため今に至ります。

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コロナの中では就活がむずかしくなりつつありますが、逆に言えばそんな状況でも新卒採用を続けている会社はどんなことがあっても案件が来るような将来性がある会社なのではないか、とプラスに捉えていました。


インターンに参加するまでのプロセス


そこから実際にインターンに参加するまでのプロセスを紹介します。これから就活を始める人など参考に、終えた人は振り返りに『こんなことやったな〜』という感じも見てください。

インターンへの参加方法は企業によっても違います。そこで基本的なアプリの紹介から。

・Wantedly

ウォンテッドリー(Wantedly)は200万人が利用する有名企業やベンチャー、スタートアップ企業の求人情報、中途採用された方のインタビュー、あなたのキャリアに興味を持った採用担当者からのスカウトなど、仕事をする全ての方が使えるアプリです。採用関係だけでなく、イベントの募集もしており就活終了後も活用できるアプリですね。弊社もこのアプリで募集しています。

・VIVIVIT

デザイン・アートのしごとのマッチングができるポートフォリオサービスです。
PDFのポートフォリオデータをアップすることができ、月に5回まで『ビビビッ』ときた企業にコンタクトを取ることができます。また、公開設定している人のポートフォリオを見ることができ、これからポートフォリオを作る人、作り直したい人など参考になるアプリです。

僕がおもに使っていたのは以上の二つですね。

他にも
『ReDesigner for Student』https://student.redesigner.jp
『美大・芸大ナビ』https://bidai-geidai.jp
『クリ博ナビ』https://www.kurihaku.jp/2021/
『マスナビ』https://www.massnavi.com

などなど優良なサイトはたくさんあるので気になった人は調べてみてください。

当時提出したポートフォリオ

グランドデザインに当時提出したポートフォリオ(一部)はこんな感じです。

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卒業制作『世界は物語で動いている』
日本の緑茶ペットボトルの主要ブランド4種をデザイン別、物語別に解剖しどのように差別化し世の中にアピールしているかを本にまとめ展示した作品です。

学生時代は課題解決を軸にしたワークショップや企画、提案を中心に制作していたため、作品のコンセプトやアイデア、何を課題としたかを細かくまとめていました。当時の西さんからの評価は、


『アウトプットはまだまだ稚拙だけどアイデアはあるね』

です。おっしゃる通りですね笑
かなり文章で説明していますが、デザイナーである以上アウトプットだけで見た人の心を射止め、見た人自ら作品のコンセプトを考察してくれるような、そんな作品を今後制作していくのが目標ですね。
そんなこんなで入ったグランドのインターンでしたが、時期はコロナによって規制がかかっていた時期。当然リモートでのインターンとなります。インターンといって1day、2weekなども色々あると思いますが、今回のインターンは2ヶ月の長期でした。グランドのインターンは実際の社員と同じ環境で同じ案件をこなすことができるので、会社の0−100まで体験できます。

『BOUSAI project』

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インターンとしてはじめに携わったプロジェクトが『BOUSAIproject』です。https://www.instagram.com/bousai_project/
https://twitter.com/BOUSAI_project
この企画は防災に関する生活の知恵をデザインされたGIF動画にまとめSNSで投稿していくというもので、今年グッドデザイン賞に応募し、見事通過したとのことです。
この仕事で任されたのはこのGIF動画の編集作業。
主に撮影、フォトショを使用し写真の切り抜き、レタッチするという基本的な業務です。
こんなの余裕余裕!と考えていたのですが、これが案外難しい。
デザイン会社の自社プロジェクトとだけあってシビアな調整が求められます。

基本的なプロセスは
アイデアだし→絵コンテ→撮影→抜粋→切り抜き・レタッチ→動画→アップロード
と基本的なことを基本的にやるだけなので、基礎的なデザインスキルの確認ができます。ただ、このプロジェクト、このようなGIF動画をBOUSAIprojectは100個作ります。(すげぇ、、)
このプロジェクト自体は去年の春から発足しており自分がインターンとして入った段階では7割ぐらいが既に来上がっていました。それでは、プロセスを紹介します。

・絵コンテ制作

集めたアイデアをもとに絵コンテを制作します。撮影やレタッチ、動画制作時に便利なように『必要なもの』『英訳』『細かい指示』を描きます。また、俯瞰で撮るかホリゾントで撮るかなども記載します。

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撮影
BOUSAIprojectは背景色をビビッドに統一し世界観を一貫しています。また、撮るアイデアに応じて背景の紙の色を変えています。

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・切り抜き、レタッチ、カーニング
Photoshopで編集に入ります。切り抜き方法は自動選択機能など便利な機能がありますが、プロジェクトの性質上整ったパスでアウトラインを切り抜いていきます。また、静止画一枚ではなくコマ撮りなので色調やトーン、位置を揃えなければなりません。

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以上がBOUSAIprojectで携わった仕事です。でもインターンでの業務はこれはほんの一部。次に実際に携わったデザインの業務です。


次亜塩素酸水のパッケージプロジェクト

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次に紹介するのは次亜塩素酸水パッケージプロジェクトです。次亜塩素酸水とは机やソファに吹きかけることで殺菌のすることのできるアルコールよりも肌に優しい液体です。この液体を容器に入れ、自社のデザインを施し、オフィスに来たお客さんに配るというプロジェクトでした。このプロジェクトは狩集アートディレクターのディレクションのもと、自分がデザインを担当しました。

デザインの条件
・デザイン会社が配るものとして、おしゃれに
・「次亜塩素酸水」であることはきちんと明記
・日本語表記もしっかり大きめに入れる
・濃度の表記は必須(50-100ppm)
・注意書きの表記も必要の可能性あり
・デザインはBOUSAIprojectを意識したものと、自由なものの2方向をまず考える
・レーザープリンタで使えるものなら紙も特殊なものにしても可
・ラベルの巻きやすさを考慮してシンプルなものがベスト


以上の条件をもとにデザインをしていきます。
基本的なプロセスは


アイデア出し、リサーチ→エスキース、スケッチ→簡易デザインカンプ作成→フィードバック→実際のデザイン→調整→プロトタイプ制作→調整→完成→配布

です。実際には『デザイン→調整』を何度も繰り返しブラッシュアップで、このブラッシュアップの連続でできています。


といっても『このやり方で進めなさい!』というようなことを会社から命令・強制されることはありません。あるのは『こういう風に進めるとやりやすいよ』という程度のことで提案からアウトプットまでのプロセスは自由です。最終的に良いものができることを目的としているため、自分が拘りたい部分ややりたいことを提案しながら進められます。

アイデア出し〜簡易デザインカンプ作成〜フィードバック
・容器の選定

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このフェーズではまだどんな色のどんな形のどんな大きさで配るかなども決まっていないため、容器の選定から入ります。また、最小限のコストで作ることも考えて選びます。次亜塩素酸水の特性上遮光性のある色付きのもので、机などに吹きかける用にスプレータイプ、そしてコスパと適度な大きさを兼ねたJie do製の容器を選びました。

・エスキース&ざっくりデザイン
そして、写真をもとにファーマットとなるカンプを作り、そこにざっくりとデザインを置いていきます。方向は高級感のあるアロマ的な方向と、BOUSAIprojectを意識したメディカルな方向です

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この段階で一度フィードバックをまとめ、デザインの方向性の解像度を上げていきます。

実際のデザイン
・フォントの選定
フィードバックをもとにデザインを直していきます。その上で方向性にあったフォントを選ぶため、並べて実際に当てはめていく中でコンセプトに合致したものを選んでいきます。

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・デザインカンプ
この辺りで完成形のデザインに近づいてきました。さらに絞っていきます。

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・プロトタイプ制作
感触の良いデザイン一つに絞り、ここでボトルの寸法を測ります。ちょうど綺麗に巻けるようなラベルとしてデザインを構成し、お試しでプロトタイプ の制作。これらをもとに直し→デザインを何度も繰り返します。

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・紙質
ある程度デザインが整ってきたら次はどんな紙を巻けばいいのかを考えます。一口に紙といっても様々なものがあります。マットな質感なのか、ツルツルとしたコートな質感なのか。同じザラザラなものだとしても細かく見ると大きな違いがあったり、同じ紙名でもメーカーによる違いがあったり。地の色も、白い紙に黄色く印刷することで発色させるのかもともと黄色い紙に印刷するのか、光沢、テクスチャ 様々な表現があります。合いそうな質感を会社の紙見本で確認し、実際に紙屋さんに行き、気になったものを購入。会社で印刷し、確認する作業に入りました。

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ちなみに紙をみるために行ったのは以下の場所です。

・竹尾見本帖本店(https://www.takeo.co.jp/finder/mihoncho/)
・ペーパーボイス東京 平和紙業(http://www.heiwapaper.co.jp/)
・東急ハンズ池袋
・LABI池袋

です。ある程度どんなものを作るかを頭に入れてから行くと、方向性が絞られます。そのため、漠然と行っても様々な種類がありすぎて何がどう良いのかわからないという状況を回避できるのでお勧めします。このあと、20種類以上の紙を買い、買った全ての紙に印刷し、実際にボトルに巻いてみます。

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その中で選んだのは『ミニッツGA』でした。

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細かいエンボス加工がBOUSAIのメディカルな質感を出し、手触りのある紙質はお土産消毒液として最適だと考えました。それと似ているジャガードGAとも迷ったのですが、ジャガードGAと比べるとエンボスの目が細かく、『触って初めてわかる質』という仕掛けはもらった人に驚きを与えられると考えたからです。

他にも細かく調整につぐ調整で、全てを載せるとあまり長くなってしまいますのでここで区切るますが大体の流れの紹介はできたと思います。そして最終的に完成したものがこれです。

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メディカル方向はメインビジュアルを会社のロゴに『A1ゴシック』『ヒラギノ角ゴ』『Modesto Condensed』を使用し、リッチ方向は最終的に透明な地に印刷し、『フォークPro』『Modesto Condensed』で透明感を出しています。

まとめ

現状載せられそうなものは以上となります。
他にも案件のパッケージのデザインや企画など面白いものはいっぱいあったのですが、まだ世に出ていないものなのでここに載せることが難しく、自社サービスやプロジェクトの紹介が中心となりました。今後、発売されて許可の取れたものは載せていく予定なのでお楽しみに!
グランドデザインはデザインのコンセプトや企画という上流部分から実物のデザインから広告まで、クリエイティブの上から下までを新人でもブランディングデザイナーとして提案をすることができます。
今後もデザインのプロセスや本の紹介などいろんな記事をアップしていこうと思っているので、またよろしくお願い致します。それではまた!


PS,最近この本を買って読んでいたりします。そのうち今までに読んだデザイン本の中からピックアップして内容を記事にしていく予定なので、もし何かこんな本読んでみてほしい!こんなのお勧めします!というご意見がありましたら、コメントください!あなたが今読んでいるデザイン本を僕も知りたいです。よろしくお願い致します!

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