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#2 銭湯継業イベントに潜入!1日7店舗を周る!?継業で大変だったこととは

11月3日文化の日に開催された「銭湯を継ぐ」イベントの第二弾です!

銭湯の裏側に密着したドキュメンタリーを発信している「湯のウラ」さんのご紹介でイベントに潜入してきました!


▼第一弾をご覧になられていない方はこちらから
#1 銭湯継業イベントに潜入!文化を守るため活躍する3人の対談トーク


銭湯を継ぐときはリニューアルした方がいいのでしょうか?


(角屋さん)
僕は家業である金春湯を引き継いだときはしなかったです。
でも今回のすえひろは改装します。
主にはサウナを大改装予定です。
やっぱり時代の流れからサウナはしっかりしたものを作った方がいいと思ったのが背景ですね。


※改装中のすえひろ湯さん


(相良さん)
僕たち(ニコニコ温泉)は、部分的な改装をすることが多いです。
廃業する銭湯をリニューアルして再運営していくパターンが多いんですけど、「廃業する=商圏内で強者ではない銭湯」を僕たちは運営します。

ただリニューアルをすると言っても、設備勝負で浴室を改装したりするとかなりお金がかかってしまうし、既に強い競合銭湯さんには敵わない場合が多いです。

なので、浴室ももちろん改装が必要な所はやりますけど、最近だと入り口や休憩スペースなどでSNS映えする、インパクトがあるような場所へ変えていく戦略をとっています。


※ニコニコ温泉さんが運営する「東京浴場」のロビー


(栗田さん)
なるほど。
梅の湯は逆に建物も全部取り壊して、一度更地にしてから大改装しました。

(相良さん)
すごいですね。何か理由があったのですか?

(栗田さん)
理由としては、もう設備がかなり古く、簡単に修繕できない状態だったからです。
後は今後長く使い続けていけるものをもう一度作りたかったという想いがあります。
改装費は数億円かかりましたけど、、、笑
加えて改装期間も1年半くらいかかりまして。
周りの同業者の方には、更地にしたものだから銭湯を辞めるとまで思われてました。笑

(角屋さん)
そうだったんですね。
千代の湯も運営されていると思うんですけど、ここは改装していないですかね?

(栗田さん)
そうですね。千代の湯は何も改装はしてないです。
理由としては、設備自体も問題なかったですし、何より営業を休まないで引き継ぎを行いたかったというのが強いです。
やっぱり地元の方がいらっしゃるので、改装や引き継ぎに時間がかかるとその分、お客さんに迷惑がかかってしまいますもんね。



昨今の銭湯業界では、人気施設はリニューアルをした所が多いそう。
ですが全施設がリニューアルをできるわけではない中、御三方の考え方、工夫の仕方はとても参考になります。
会場には銭湯を将来やってみたいという方が2名。
その方からの質問をいただきました。




相良さんが働かれてる「ニコニコ温泉」さんではどういう体制で銭湯の継業に臨まれますか?

(相良さん)
まず引き継ぐ物件(銭湯)を探すんですけど、これは基本的に自分で行ってました。
平均1日7件くらいお風呂入りに銭湯に行ってましたね。というより1日7件回らないとやっぱり物件は見つからないです。

(角屋さん)
1日7件も..!
あと思ったんですけどいきなり来て「銭湯やらしてください!」って失礼じゃないですか?笑
僕が逆の立場だったらちょっとイラッとします。笑

(相良さん)
いや、本当にその通りだと思います。笑
なので、本題の話をするまでは同じ所に4,5回通って店主さんと話をするようにしてますね。
当たり前ですが、人対人なのでまずは関係値を作ることが大切です。
そうやって本題を話すと中にはぜひ話を聞きたいといった反応をいただけて、そこから進むといった流れになります。

(角屋さん)
そうなんですね。見つかった後はどう進めていくんですか?

(相良さん)
銭湯が見つかった後はもう徹底的にリサーチですね。
その銭湯から徒歩15分圏内の人口とか年収を試算したり。
本当にここで銭湯運営ができるかを徹底的に吟味します。
そういった形でかれこれ何年かやらせていただいて、最近はガス代の高騰問題もあり、今は毎月銭湯さんの方から引き継ぎのご相談が来るようになりました。

(栗田さん)
そう考えると今は継業の相談はしやすくなってますよね。
昔は廃業に対して、当人達も何も相談しないものだから、気づいたら廃業してたとかは結構ありました。
選択肢の一つとしての「継業」というのは徐々に広まってるかもしれませんね。

ただ、まだまだ問題は抱えていて。
銭湯を継がせたいと思える人やそれをできる耐性を持った組織が少ないです。
僕が運営している「千代の湯」では別の者に店長を任せているのですが、その人は元々うちの梅の湯の清掃を手伝ってくれてた方です。

銭湯ってお客さんとして利用してる側と運営側ってやっぱり違くて。
そこの違いや一緒に運営をよくしていけるために知恵を出し合えて、銭湯の地味な仕事や側面も理解してくれる人の方がやっぱり重要だなと思います。

それを体験して、本人もちょっと違うなって思うならそれはそれでいいです。これを乗り越えられるなら任せられるかなと思います。

なので、専門的な知識はなくていいので、銭湯運営自体に興味があり、それを最後までやってくれる人が良いなと思います。
こういった方を見つけるのはすごく大変ですけどね。笑



継業の裏側やそこで大切なことを語ってくれた御三方。
どこの業界も同じですが、引き継ぐ「人」が重要であることを改めて学びました。
最後である次の第三弾は銭湯継業に関するパネルディスカッションです。
銭湯を引き継ぐ上で必要なスキルだったり、大変なことだったり、ざっくばらんに御三方が話してくれてます!!



最後までご覧いただきありがとうございます😊

本記事の内容・表現は、取材当時の"瞬間"を『家業エイド』視点で切り取らせていただいた、あくまで家業を通して皆様が紡いでいる物語の過程です。皆様にとっての「家業」そして「家業との関係性」は日々変わりゆくもの。だからこそ、かけがえのない一人一人の物語がそれを必要とする誰かに届くことを切に願っております。

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