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平飼い卵の真実を数値化&見える化して分かった命のこと

平飼い卵についてもっと知ろう

スーパーに行くと日本に限らず破格の値段でパック詰めされた卵が積み上げて売られています。
卵が1パック100円以下と聞くと凄く得した気分になるのですが、
安く売られている卵はケージ飼と言う飼育方法で扱われ
密度の非常に高い劣悪な環境で育てられています。

これに対抗するかのように最近流行り出したのが「平飼い卵」。
英語に訳すとCage-Freeにあたると思いますが
言葉のニュアンスは英語のそれと少し違うと思います。

平飼いの場合ケージ飼いに比べると若干、
鶏へのストレスが軽減される飼育方法で育てられるのですが
一般消費者が想像する、いわゆる草原をのびのびと歩き回り
餌になる草や虫をくちばしで突いているイメージとは
程遠いのが現実の様です。


誰かの操作ではなく自分で知る力

よくヘルシー思考の方のブログや謎のマニピュレーターの方々が
卵は高くても「平飼い」を買うように促していますが、
それって本当なんでしょうか?

そしてヨーロッパやニュージーランドなどの
オーガニックや動物福祉への意識が高いと位置付けされている国と
日本を比較してランク付けする論調には、
いったいどれだけの信憑性があるのでしょうか?

本当はただのマーケティングかもしれなし、
それどころか強い言い方にはなるけれど情報操作(マニピュレート)なんじゃないのかと色々と疑問が多いのがこの「平飼い卵」を推す
世の中の傾向です。

ではここからは、牛と鶏を例にそれらの飼育方法と
それぞれの飼育面積を簡単に説明していきます。

*今回の記事の参考資料は主に海外の書籍を元にしているので、
日本の鶏舎の仕組みや動物福祉とは内容が異なります。


動物の飼育分類

✅Free-Range (放し飼い)
屋外へのアクセスはオプションとして許可されるが、
そのほとんどは外に出ることはない。
太陽の光が差す場所に鶏を置くだけでも
Free-Rangeと呼ばれる場合も。
鶏は高密度な空間でくちばしの先を折られた状態(喧嘩の傷予防)で
飼育されている。
牛も同様に高密度な場所で生きる事ができる。

 アメリカ農務省(USDA )が指定したFree-Rangeの”屋外”スペースでさえこの程度


✅Barn-Raised(納屋飼い)
ケージの中では飼われていないが
高密度な屋内で動きを制限された飼育方法。
鶏は餌を探したり草を食べたりすることは許可されない。

✅オーガニック
餌がオーガニックかつ抗生物質、成長ホルモン不使用。
動物福祉が強く適用され、
屋外での運動時間の管理も厳しく
鶏のくちばしを折るdebeakingも行わない。

✅Grass-Fed (牧草飼い)
 離乳期以降、動物達は草のみを食べて飼育される。
牧草育ちの牛は特に栄養価が高く、
牛乳や牛肉の中に含まれるカルシウム、ビタミンK
共役リノール酸(不飽和脂肪酸の一種)、
飽和脂肪酸などが豊富に含まれる。
また豚を例にすると、
草を食べて育った豚はオメガ3の値が高くコーンや穀物で育った豚は
オメガ6の値が高くなる。

✅Pasture-Raised (牧草地飼い)
一つ前のグラスフェドとほぼ同じ条件下で
制限のない屋外でのびのびと育つ。
 草以外にも選りすぐりの
栄養価が高い飼料作物を与える事が許可されている。


飼育分類をさらに見える化してみよう

鶏肉や卵を買う前に思い出して頂きたい
それぞれの飼育方法をさらに分かりやすく見える化してみました。
感覚的にどれだけの差があるのかお分かりでしょうか?
88円のパレットに積まれた安い卵達は
一番小さな円のケージ飼いです。
牧草飼いの動物に比べると、
とても小さな世界で暮らしている事が分かりますね。

自由度の高さは牧草飼い〉放し飼い〉ケージ飼いの順です

身近な物を使って飼育の面積を知ろう

ケージ飼いの鶏の飼育面積は大体450平方センチメートル(1/2Sq ft)/一羽
この世界で卵を産み続け生きています。
サイズにすると大体ハンドタオル程度になります。
ちょっと衝撃的なサイズ感です…

次に放し飼いの鶏ですが、
飼育面積は1平方メートル(11Sq ft)/一羽
開放鶏舎と聞くと自由で健康そうなイメージがありますが
想像以上に狭いですね。
大判の布切れを広げたサイズ程度です。
 平飼いと言っても完全に屋外で自由に動き回っているわけではないので
平飼い卵をむやみに推す理由が理解できません。

そして最後に牧草地飼いの飼育面積です。
10平方メートル(108Sq ft)/ 一羽
大体アウトドアのテントに大人が4人収まる程度の広さですね。

さていかがでしたでしょうか?
解放鶏舎や平飼いと聞くと自然の中でのびのび育っている
鶏や牛のイメージが先行しがちですが、
実際はケージ卵も平飼いも飼育環境や倫理面では
それほど大きな差がないように私は感じます。

食用になる生き物の動物福祉を考えると
本当は世の中に売られている全ての食材は全部「安すぎる」上に
それらを大量にエンタメ買い(コストコや業務スーパー)
しすぎているように思います。

卵1パック88円なんて普通に考えてもおかしい値段です。
安いのではなくて何かがおかしいのです…
ちなみに近所のスーパーマーケットで売られている卵は
オーガニックの解放鶏舎育ちの物ですが、
12個入りで3,600円します。
でもそう言う物なんですよ 質のいい卵って本来は。

健康も美容もしかり、
世の中のマニピュレーター(操作する人達)の言動を鵜呑みにせず
できれば情報は海外の資料も原文を翻訳するくらいの意気込みで
調べた方が真実の裏表が色々な角度で見えてきますし、
情報の質も信憑性が更に高まります。

いずれもお肉や卵など動物性のタンパク質を食べている限り
この環境問題やアニマルライツの問題点はどうしても
拭いきれません。
かと言って不買い運動をすればケージ飼いで生産される卵の数が減るのか?
と言うと残念ながらそれはありません。

ではどうすればいいのか?
それは真実の部分を少しでも自分から知る事です。
物でもサービスでも、
何でも良い所ばかりにスポットを当てずに
仕組みの根っこの部分を知る努力ですよね。

そう言う学びの習慣があれば、
世の中の流れが多少不都合に変化(物価が上がるなど)しても
臨機応変に対応できる人になれると私は思っています。

卵がこれからは1パック1,000円になるんだって、
そうかそれなら週に一度にしようか。
卵がこれからはスーパーに入らなくなるんだって、
そうかそれなら卵を産んでくれる鶏を自分達で飼おうか。
これはあくまでも例えですが、
出来る範囲で時代の変化に応じていく姿勢は
生きるためにこれから益々必要になってきます。

物事の根本や本質を知ると
変化による不都合に翻弄されなくなります。
そして人間の命を繋いでくれる生き物達への労りや心遣いが自然と
湧き出てくると思いますよ。

いつもお世話になっているファームの鶏いつも好き勝手に動き回っています
この子達から頂いた大切な卵、温もりが命を感じます

参考書籍
DK社
How Food Works-The facts visually explained
映画
Super Size Me 2: Holy Chicken!

それではまた次回の記事で
グレイス

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