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代用プリンセス 4「私は代用 1」(連載小説)


新井 愛美、十五歳。

来月の地区予選が中学最後の大会になる。
だから愛美は、最近は部活動にばかり力を注いでいた。とはいえ、そろそろ進路についても真剣に考える必要がある。

帰路につきながら、悠斗にそろそろ具体的な話をするべきだろうと思案していた。愛美は県外にあるテニスの強豪校に、推薦で進みたいと考えているのだった。

定期的に、そして最近になって徐々に会う回数も増えてきている裕実には、一緒に暮らさないか。と提案されていて、それには正直に嬉しく思っていた愛美だったが、どうしても今は、悠斗からできるだけ離れることを優先させるべきだと決めていた。

帰宅すると、玄関には悠斗の革靴の他に、女性ものの靴があった。
それを見るなり愛美は安堵のため息をついた。

玄関で靴を脱ぐと愛美は一直線に自分の部屋まで行き、ドアを閉めた。
部活帰りだったため、汗だくですぐにシャワーを浴びたい愛美だったが、マナミが帰るまでだと辛抱することにして、肩まで伸びた黒く艶やかな髪をもう一度、後ろで一つに括った。

かすかにパパとマナミの話す声が聞こえてきている。
しばらくするとそれは二人の愛し合う声に変わり、マナミの粘り気のある鳴き声が壁を伝い響いてくる。

裕実と別居してからというもの、悠斗はよくマナミを家に連れ込んでいた。
以前に同窓会で、久しぶりに再会した悠斗とマナミはそれから頻繁に会い、学生の頃に戻ったように再び互いを求めだしたのだった。

シャワーを止め風呂場から出ると、キッチンの方から冷蔵庫を閉める音が聞こえた。
パパが帰ってきたのだろう。
脱衣所代わりの洗面所で、体を拭きながらドライヤーに手をかけようとした時、勢いよく扉は開けられた。


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