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神社の配置から読み解く古代の川と龍

神社巡りとはさながらRPG(ロールプレイングゲーム)です。
街を走っているとあそこに神社、ここにも神社。
自分が知らないだけで数多の神社がそこにずっとあるんです。
知った情報を繋げていくと、そして連想していくと「あっ」と気付く事だってどんどん増えます。

弁財天は水の神様?海外の神様?

今日はたまたま隣の市の役所に行く用事があったので自転車で走っていたら地元の神社を発見しました。
枇杷島にある小場塚弁財天(写真は撮りそびれた)。

枇杷島にも意外と神社がたくさんあった

今日はどうにもなんだか気になっちゃったこの弁財天から始めてみましょうか。

まず最初に、そもそも弁財天とはヒンドゥー教の水と豊穣の女神「サラスヴァティー」が由来で、七福神の紅一点とも言えそう(らしい)。
財宝や芸術の神様でもあるらしい。
ボスだったら強いやつだ(RPG脳)。
キャラデザも気合入ってそう(RPG脳)。

この弁財天、ヒンドゥー教からということでご出身はインドっぽいんだけど、日本に入ってくるとなんと市杵島姫命と同一視されることがあるらしい。

なんでインドの神様と日本の神様が同一視されるのか?

文化史を超絶簡単におさらいします。
奈良時代:日本に「神仏習合」という考え方が広まる
平安時代:本地垂迹(ほんじすいじゃく)説が広まる
(「神は仏が権(かり)に形を変えてこの世に現れたと考える」思想)
だからひとまず仏も神も一緒だと考えましょ、という流れがあって市杵島姫命と弁財天が同じものという理解がされた、と言う流れです。

この辺の仏教史はかなり政治的な香りがするので、いずれ調べてみたいところです。

市杵島姫命=水の神様=龍神信仰

市杵島姫命は龍神とも深い関係だ、というのがもっぱらの噂でしてね。
市杵島姫命が祀られている場所には龍が祀られていることが多いそうです。
滋賀の竹生島とか。
水の多い場所には古来から龍神が多く祀られているので(川とか)だったら近くには市杵島姫命も祀られてたりするんじゃないか?という想像ができると。
で、冒頭の小場塚弁財天。弁財天ということは市杵島姫命が祀られているってことですね。
ということは・・・?ともう一度地図をみると・・・

あれ…龍あんまりないね…

右下の「中島黒體龍王大神社」まで少し離れてます(この神社は名古屋側の美濃路の終点)。
実はこの弁財天のある新川は人工河川で、南を流れる庄内川の水を迂回させる目的で作られている川なんですね。弁財天から黒體龍王大神社までは徒歩で20分程度。

「ぜひ撮ってください!」と撮らせていただいた龍。材料はヒノキだそう。
(鏡がどうやっても映り込んでしまった…)
庄内川を見渡せる高台に鎮座する黒體龍王大神社。

この神社は新川に対してちょっと遠い感じがしませんか。そしてここ一帯の地名は「枇杷島」…島だ。古代、この土地にはもっと大きい川とか海があったのでは?(ひらめき)
もともと枇杷島の地名の由来は平清盛の時代で「琵琶」と言われています。
弁財天も琵琶持ってるもんね。関係あるのかも。
ただの想像で裏も何も取ってないけど!
この地域の本命の川(本命って何だ)は画像の下側を流れている庄内川なんです。
なので庄内川を両側にはもしかしたら龍が祀られている神社がたくさんあるかもしれません。
これはちょっとフィールドワークしてもいいかもわからんですね。

庄内川沿いに続く龍

ちょっと脱線したけど、古代日本は川を龍に見立てたり滝を龍に見立てたりしたんです。滝も瀧も「氵+りゅう」だし。
古代日本人は川沿いに龍を祀りがち。
そこで気になるのが地元の堀川沿いです。

熱田台地に沿った龍神祭り(祀り)の開催

堀川に沿って神社があるというよりも熱田台地に沿って神社があると捉えたい

この辺やたら龍おる。

闇之森八幡社の中に黒龍が…!ちなみに幽遊白書は飛影派です。黒龍波うてます🖐
闇之森八幡社内。向かいには榎白龍明神社が。榎と楠、白龍と黒龍。なんかありそう。
日置神社の中にも
やっぱり龍おる!!
堀川沿いの洲崎神社にも白龍!!
国際センターの近くにも白龍おる!!

洲崎神社で御朱印を頂いたときに神社の方に聞いたことがあります。
「洲崎って名前がつくからには、この辺、熱田台地のヘリでしたか?
ここから西側海じゃなかったですか?」と。
そしたら実際ここから西側が古代は海だったんだ、と。
縄文海進とか関係あるんですかね。
どこかに地図ないかなと思ったらありました。(有能)

このサイトから地図をお借りしました。

熱田台地のヘリが日置神社、そして洲崎神社のあたり。

古代人はこのあたりまで水(海)がきていたので龍を祀っていたと。
そういうわけ(きっと)。
長島とか津島とか知多とか大高とか桑名沿岸にももしかしたら龍神が祀られているかも。
機会があったら調べてみます。

隠された神様、瀬織津姫(セオリツヒメ)も龍神?

実は市杵島姫命の他に、弁財天と同一視されていたとされる神様がいます。ご存知でしょうか。
その名も瀬織津姫(セオリツヒメ)。
映画『君の名は。』でもモチーフとされていたみたい(見てない)。
瀬織津姫は『記紀』(古事記と日本書紀)には出てこない神様なのに神道の大事な祭祀での『大祓詞(おおはらえのことば)』には登場するんですよ。なぜ。まじなぜ。
日本の公式の書物には出てこないのにとても大切に扱われていたであろうものが個人的に2つあると思っていて、それが「瀬織津姫」と「富士山」
2つとも明らかに大事なのに、不自然なほど記述がない。おかしい。
(これも勉強したい)

瀬織津姫は伊勢神宮に祀られている豊受大神とも言われているんです。いわれがありすぎる。ちなみに『大祓詞』の一節を引用すると

高山の末 低山の末より
佐久那太理(さくなだり)に落ち多岐つ
早川の瀬に坐す 瀬織津比売と伝ふ神
大海原に持出でなむ

『大祓詞』

という部分があり、ここに瀬織津姫の記述があります。ちらっと。
たまたま以前、滋賀の佐久奈度(さくなど)神社にお参りに行った際に見たら御祭神がなんと瀬織津姫。

佐久奈度神社の入り口
瀬織津姫の名前が!!
瀬田川を臨む佐久奈度神社

明らかに川を意識した作りになっていた佐久奈度神社。
個人的に万葉仮名があてられている神社はめちゃくちゃ大事だと思っていて引き続き色々興味深そうな神社を巡ってみる。
瀬織津姫は歴史を掘ってみたいと思わされる…。
龍神信仰が古代日本にどんな影響を与えていたのかを今後探ってみたい。

今回はたまたま通りかかった弁財天から龍神信仰について少し齧ってみたけど、このテーマは本当に深掘りしがいがあるのでゆったりと扱ってみたいなと思う。このテーマのRPG感やばない??

(7/3加筆)
川と龍をテーマに書きましたが、今回は庄内川と龍でした。
次回は長良川と龍をテーマに書いてみましたので是非どうぞ。


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