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岐阜の「金」は長良川への祈り(伊奈波神社/黒龍神社/武内宿禰)

伊奈波神社に眠る岐阜最強パワースポット

前回「日本人、川の近くで龍祀りがち」という話をしました。

庄内川でこの感じなら、木曽川と長良川(もっとでかい川たち)に挟まれた地点だとどうなんだろう?と調べてみた結果がこちらです。

まぁ龍の多いこと多いこと

白龍と黒龍は対で祀られるものなのか、はたまた別で祀られるのか、龍祀り界隈のお作法を知らないもので分かりませんがとにかくやっぱり岐阜のあたりでも川に龍祀りがち。

前回黒龍が祀られている中島黒體黒龍大神社の話があったので、このまま黒龍繋がりで話を拡げていくことにしましょう。
実は岐阜に有名な黒龍を祀っている場所があります。

岐阜市は水への願いが込められた街

福徳黒龍神社は伊奈波神社という約2,000年の歴史がある神社の中にある神社なんですが、ここの黒龍さんがパワースポット的にヤバイともっぱらの噂で全国各地からたくさんお参りに来られるようです。
御祭神は高龗(たかおかみ)。

雰囲気ありすぎる

伊奈波神社が丸山より当地に遷座された以前から当山鎮護の守護神と畏敬されあらゆる悩みを除いて、之れを福と化す除災招福諸願成就に霊験顕著な御社である

伊奈波神社内「黒龍神社」の説明書

高龗(たかおかみ)という名前を初めて見たので調べてみたら水をつかさどる神様でした。(祈雨・止雨)
この地は揖斐川・長良川・木曽川の三川に囲まれており古代から水の恩恵を受けてきた一方で、水災に悩まされてきたそうで、高龗を祀ることによって豊かな土地を願ったということなんでしょうね。
そしてどうやら陰陽五行的に、水を制するのは金だ!ということで下の地図を見てください。大金龍大神の名前があります。
この辺ってなにかと「金」が多いんです。金華山、金(こがね)神社、金宝町、金竜町、金園町…他にも岐阜市あたりは何かと金を連想させるものがたくさんあります。ちなみに岐阜市内で1ヶ月の最終週金曜日に御朱印を頂きに行くと金文字で書いていただけます。プレミアムフライデー。
古代の人たちの願いがこめられた町っていうことですね。

金で水を治める!!

伊奈波神社に祀られる五十瓊敷入彦命

願いが込められた街に鎮座する伊奈波神社。
ここの御祭神は五十瓊敷入彦命(いにしきいりひこのみこと)ですが、社伝によると朝廷の詔(みことのり:命令)で奥州(今の東北地方)を平定したものの同行した陸奥守豊益が成功を妬み、「謀反の心あり」と朝廷に報告して朝敵とされてこの地で討たれたといいます。
成功を妬む輩がいるのは今も昔も変わらんですね。
その後、景行天皇14年(西暦になおすと84年前後か)、武内宿禰が稲葉山北西の椿原(現在の岐阜公園内の丸山)に五十瓊敷入彦命を祀ったのが伊奈波神社の始まりです。
1539年には「マムシの道三」で有名な(中部地方だけ…?)斎藤道三が稲葉山城を築城するにあたって今の場所に遷座、ということです。
激しいイメージのある斎藤道三も篤く信仰したとのことで、何かを成し遂げるためには「何かを信じる柱」というものが必要なことが分かります。

堂々たる雰囲気。斎藤道三も通った道です。

古代日本史上最強の大臣、武内宿禰

この五十瓊敷入彦命をこの地に祀ったのが武内宿禰(たけのうちのすくね)です。彼は第12代景行天皇から第16代仁徳天皇まで5代にわたって天皇に仕え、いろんな神社に関係している神功皇后に仕えた忠臣として古代史上に名前を遺しています。
「5代かぁ…」とスルーしようとしたそこのあなた。待ってください。
5代ですよ。何歳まで生きたと思ってるんですか。
『因幡国風土記』では360才で行方知れず。
『公卿補任』では295才で死去。
『水鏡』では280才で死去。
『帝王編年記』では312才で死去。
仙人かよ。
あ、数字はwiki調べです。
史上初の大臣として名前を知られており、昔の1円札、5円札、100円札にデザインされていたほどの存在。デザインされるほどの功績が日本という国において公式に認められている存在(でも330才)。
そんな人物が伊奈波神社の基礎を作ったと思うとエモみが散らかります。

最後に伊奈波神社の逆さ狛犬でも愛でてください

今回は黒龍繋がりで庄内川の中島黒體黒龍大神から、長良川の福徳黒龍神社(伊奈波神社)にバトンタッチしました。
神社で紐解く日本の古代史。歴史の教科書にほとんど乗っていない時代の話を巡っていきます。自由に考察・妄想しながら楽しく神社をまわって、皆さんにもご利益のおすそわけができたらいいなと思いながら今回はここで終わりです。それでは、また。

(武内宿禰についてはこちらのnoteをご覧ください)


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