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割烹旅館「玉川」について思う。

先日、知人からニュースがもたらされてショックを受けた。

船橋市にある老舗割烹旅館「玉川」が廃業することになったとのこと。


この宿は、太宰治が滞在した宿ということでご存知の方も多いと思う。船橋駅から10分以上歩いたところで、消防署の近くにあるが、ビルや住宅が立ち並ぶところに、趣深い建物がひょっこり出現するので、たまにびっくりする。

私も以前からここが太宰治と縁が深い宿であり、歴史的建造物であることを知っていた。でもなかなかいく機会がこれまでなかった。

しかし、3年前、所属団体の祝い事でここの宴会場を使わせていただく機会があり、初めてこの旅館に足を踏み入れることになった。

初めて入る玉川旅館は、玄関からすでに重厚な雰囲気が漂っていた。

宴会場では配膳係の年配の女性陣が立ち回っていた。彼女たちは着物の上から割烹着を着ていて、キビキビと動くその姿を見ながら、割烹料理を堪能した。この日は帰りに雨が降ってきてい他のだけど、車で迎えが来たお客様を見送る際、昔ながらの和傘を差し出しながら車まで誘導していたのを記憶している。

その時は太宰が執筆に使用していた部屋は見る事ができなかったものの、それでも大正時代から続いた老舗旅館のなんとも言えない雰囲気を堪能できた。長く船橋市に住んでいても、なかなか中に入る機会がないので、今にして思えば貴重な経験だった。

歴史的な建物は美しいが、それを維持するためには手間もコストもかかる。実際に玉川旅館も老朽化や台風の被害で、修理費用がかさんでいたそうだ。宴会利用が減って来たところに、さらにコロナウィルス騒動による宿泊・宴席の売り上げの消失。これが廃業の決定打になったそうだ。

残念ながら、建物は取り壊されてしまうので、もうすぐこの旅館の姿は見られなくなる。近いうちに外観だけでも拝んでおこうと思う。

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太宰治で思い出したが、太宰治をこよなく愛する著名人で私がパッと浮かんだのはピースの又吉さんだ。又吉さんの小説はまだ読んだ事がないのけど、以前読んだ以下の本は、又吉さんが愛する芥川龍之介と太宰治に関する記述に多く誌面が割かれている。興味のある方は一読を。



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