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現代人にこそ刺さる哲学書。「人生の短さについて」の感想。

◆ 基本情報

・作品名  人生の短さについて 他2編
・作者   セネカ/中澤務(翻訳)
・出版   古典新訳文庫
・出版年  2017年3月9日
・ジャンル 哲学
※ 表題の「心の安定について」以外に「母ヘルウィアへのなぐさめ」「心の安定について」の2編が収録されている。」

◆ 内容

 人生は浪費すれば短いが、過ごし方しだいで長くなると説く表題作。逆境にある息子の不運を嘆き悲しむ母親を、みずからなぐさめ励ます「母ヘルウィアへのなぐさめ」。仕事や友人、財産とのつき合い方をアドヴァイスする「心の安定について」。古代ローマの哲学者セネカが贈る“人生の処方箋”。〈amazon より引用〉

◆ 宇宙ゴリラ的評価

・インパクト ☆☆☆★★ 3点
・実用性   ☆☆☆☆★ 5点
・目新しさ  ☆☆☆★★ 3点

合計 11/15

◆ 総評「現代人に深く刺さる哲学書」

・「人生の短さについて」

人生が短いのではなく、人生を浪費しているから短く感じるのだという真理を説いた作品。

人生を浪費する理由の1つは「自分のために時間を使えない事」。

するべきことが多すぎて本題に入れないというのは、よくある話である。
例えば、仕事において雑務ばかりをしていた本来するべき業務が進まないという場面はよくある。

重要なのは「多忙である」=「良い」という考えを辞めること。
本当に重要な仕事にのみ時間を割くことが人生を浪費しない方法である。

勿論、これ以外にも人生を浪費しないための方法が書かれているが、最も印象に残ったのは上記のものだった。

・「母ヘルウィアへのなぐさめ」
この作品は、他2作品に比べると印象に残らなかったため、割愛させていただく。時代背景が違いすぎて参考にならない部分も多い。

・「心の安定について」

この作品で特に印象に残ったのは
「人の欠点に絶望せず、笑って受け止めるか、冷静に受け止めるかしろ」というもの。

人生を重ねるにつれて、人の嫌な部分がよく見えるようになってくる。
すると、人の欠点に絶望して心の安定を損ねてしまう。

そうならないためにも、なにごとも軽く見るようにし、
人生を嘆き悲しむよりも、笑い飛ばした方が良いに決まっている。

また、セネカは人類全体にとっても嘆く人よりも笑う人の存在の方がありがたい。とも記している。

私の場合、職場に文句ばっかりいう人がいると、それだけで心が揺らいでしまう。一方で、よく笑ってくれる人がいると安心する。

だから、私にとってセネカの考え方は非常に納得の出来るものだった。

年を取るにつれて他人の嫌なところばかり目につくようになったという人には是非取り入れて頂きたい考え方だ。


古代ローマに書かれたとは思えないほど、現代人に刺さる考え方が書かれた一冊。興味のある部分だけでも読んでみると、豊かな人生に一歩近づくかもしれない。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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