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8月の読書感想文:マンガの食卓/南 信長先生

私は食べることが大好きだ。
美味しいものを食べられたらそれだけで幸せだし、食べた直後から次の食事の時間を楽しみにしてしまう自分がいる。

最近は好きが高じて、食べ物が出てくる読み物も好きになってきた。
食堂や喫茶を舞台にしたストーリーや、グルメ漫画やグルメエッセイを読むことが楽しい。

そんなときに見つけた、「マンガの食卓」というこちらの本。

   ◯◯◯

グルメ漫画は、作ることや食べることなど直接的に料理に関わるだけでなく、
はたまた「食べてないのに料理について語る」という、間接的な関わり方まで漫画のジャンルとして幅広く網羅されてきている。
(そしてただ語っているだけなのに美味しそうだという実力派!)

こんなこと、ただ漫画を読んでいるだけじゃ私にはわからなかったけど、
南 信長先生のこちらの本は、
①昔〜現在に至るまでのグルメ漫画の具体例
(マンガ肉や小池さんのラーメンなど)
②グルメ漫画がどのような変遷を辿ってきたか、料理をストーリーにだすことでそのシーンにどういう意味を持たせているか
③料理シーンを丁寧に描く作家、料理に重きを置かない作家の比較
④グルメ漫画の歴史
といったことを丁寧に紹介、考察されていて
とても興味深かったし、面白く読み終えることができた!
特に、②③の比較、考察は読み応えがある。

こういった普段当たり前に享受していることを、体系的にまとめられている本は、
当たり前だと思って無意識にスルーしてしまっていることや、気づかなかったことに気づくことができるので、その瞬間とてもワクワクして面白い!

   ◯◯◯

遡ること、1970年代〜2013年まで(著書が出版された年)まで、料理がでたらその瞬間に紹介されるので、本当にありとあらゆるジャンルで
まとめるの大変だっただろうなぁと思うほど。

こうした昔からの漫画も紹介されることで、
飽食の時代の今のグルメ漫画と、そうでない昔のグルメ漫画の違いが分かり、興味深かった。
今の漫画は、美味しさを全面に表現されていて、
昔のものは、生きることにひたむきで、それでいて機械的に食べるのでなく楽しんで食べる姿を表現されているんだなと考えた。

そんなグルメ漫画がどういう変遷を経て、作る・食べるだけじゃない方法で、料理を表現するようになったか、も知ることができるのでとても良い本だ。

また、料理シーンを描く作家とそうでない作家の比較で、
料理シーンを描くことは「その人物の性格や暮らしを表現する」こと。
そういったニュアンスで、描く理由を答えられていて、とても納得がいった。
たしかに、何を食べるかやどう食べるかでその人の人となりは見えてくる。
また、夕食のシーンがあることで、その日の1日がぐっと引き締まる気がする。

   ◯◯◯

はじめ人間ギャートルズの「マンガ肉」
チビ太のおでん
小池さんのラーメン

が好きな人は、読んで満足する本だと思う。

ただし、読むのは必ず食後をおすすめする。



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