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#5 時間に価値を見いだす

こんにちは。
~蓮華の笑顔で花道を飾る~
株式会社花道代表の木下英之です


1.火葬場の混雑状況

近年、関東圏では火葬場の混雑状況は深刻な問題になっています。

葬儀まで1週間、長ければ10日ほど待つことは珍しくありません。
現在では、多くの火葬場がWEB予約になりました。
私の住む千葉市も同じです。しかし、その火葬システムの都合上10日先までしか火葬の予約が取れません。にもかかわらず、その10日先すら予約でいっぱい。そんな状況です。

具体的なお話をすると、千葉市ではシステムが更新される朝の7時に最新の予約(10日先の予約)を受付開始。数分後にはあらかた予約が埋まってしまいます。

葬儀屋さんはスタッフ総動員でスマホやパソコンを駆使して予約を取るので、人気の時間帯はアクセスが重なり予約も上手く取れません。
式場の予約は更に激しい競争です。延々と予約がとれないが故に、延々と日延べせざるを得ないケースも少なくありません。

10数年前までは、早朝にお亡くなりになられて、その日の夜にお通夜、翌日に告別式といった事は珍しくありませんでした。待っても2~3日でお葬式が出来たものです。

このように、ご葬儀までの日数が長くなるということは、ご遺体の安置期間が長くなるということです。
安置施設やドライアイスの費用負担も増え、その分費用をご負担いただかないといけません。


2.なぜ火葬場が予約できない?

それではなぜ、火葬場が予約できない状態になっているのでしょうか?

火葬場が混雑する背景として、年末年始など時期的な要因や、高齢者人口の増加が思い浮かびます。また近年ではコロナの影響?とよく言われますが、これはきちんとしたエビデンスが無いとどのような影響(直接?間接?)かはまだ判断がつかないところです。

特に、日本の人口における割合が高い団塊世代の高齢化は大きな問題となっています。
「2025年問題」という言葉があり、2025年は、「団塊世代」が、75歳以上の「後期高齢者」となる年です。この世代は約800万人。
超高齢化社会が訪れたことで生じるさまざまな影響が懸念されています。

※団塊世代・・・第二次世界大戦が終戦した1945年のすぐ後、1947年~1949年に生まれた世代のこと。第一次ベビーブームに生まれた世代を指す。
※団塊世代の由来・・・「団塊世代」の由来となったのは、小説『団塊の世代』(堺屋太一著)。
※後期高齢者とは・・・高齢者のうち、75歳以上の人を「後期高齢者」という。65歳以上、75歳未満の人は「前期高齢者」である。

内閣府によると、高齢社会の現状として、

我が国の総人口は、令和3年10月1日現在、
1億2,550万人となっている。
65歳以上人口は、3,621万人となり、
総人口に占める割合(高齢化率)も28.9%となった。

内閣府令和4年版高齢社会白書

とのこと。

また、厚生労働省人口動態統計(確定数)の概況によると、令和3年(2021年)の死亡者数は 143万9856人で、前年の137万2755人より6万 7101人増加し、戦後最多となっています。
厚生労働省


3.残された「時間」に価値を見いだす

関東圏では、以前より圧倒的に長くなったお葬式までの時間。
ご家族にとっては、忌引き期間以上にご葬儀までの期間があるので、どのようにこの時間を過ごすかも課題です。

火葬場の混雑状況は、マイナス面が多いように感じますが、故人様と過ごせる時間が1日でも長くなることで、逆にご葬儀の準備や、故人様に思いを寄せる時間が取れる・・・というようにマイナスからプラスに価値を変換することができます。

特に、ここ数年は病院での面会が叶わず、お亡くなりになった時が数週間~数カ月ぶりの面会になったという悲しいケースもあります。

そうであればなおのこと、慌ただしくあっという間に終わるお葬式でなく、じっくりゆっくりと検討し、穏やかにお別れまでの時間を過ごせるお葬式。

故人様と向き合い、在りし日の色々なエピソードを思い出す時間。そんなお時間をご家族で過ごされてはいかがでしょうか。

例えば、火葬までの期間は毎日、短くても良いから故人様に手紙を書くなんてどうでしょうか?よく、お孫さんがおじいちゃん、おばあちゃんにお手紙を書いてお棺にお納めする事がありますが、大人がしたら、更に素敵ではないでしょうか?

または、好物をお作りしてお供えするだけではなく、ご家族が思い出話をしながら同じものを召し上がる・・・そんな時間も素敵ではないでしょうか。

思い出の写真を、自分達で選び、それを装飾して手作りのコラージュを作って式場に飾るのも良いですね。葬儀屋さん任せでなく、自分達でその写真を選び、色々な思い出話をする。そんな時間も素敵です。

もちろん、各ご家庭のご宗旨によるお見送りをきちんとされる事を忘れてはいけません。
仏教であれば、菩提寺へお参りしたり、お塔婆をあげたりしてご供養される事は何よりの功徳です。
特に若い方は、こういった機会にきちんと各ご家庭のご宗旨について学ぶ事は非常に大事な事です。

お亡くなりになられた人、その方が残してくれたモノ、その方との様々な出来事(エピソード)それらを、ご葬儀の準備やご葬儀に関わる中で、より深く考えてみてはいかがでしょうか?

お亡くなりになった方からのメッセージを受け取る。今、そこに関わった意味付けをする。
それにより、身近な相手との関係性を見つめ直し、これから先の自分の生き方を見つめ直す。そんな時間になればと思います。

ただ、現実的には、ご葬儀🟰マイナス的な、あまり捉えたくない、考えたくない、見つめたくもない方もいらっしゃると思います。

それが自然な感情です。無理にお考えにならないで良いと思います。特に大切な方を急に失った時、何も考えられないのが当然です。

私たちも、その方、その時、その場面にあったサポートを選択します。
あくまでこれは捉え方の一つです。皆さんの自然な感情、捉え方が全て正しいと思います。

ただ、こういった考え方、捉え方をする事で、ご葬儀までの時間に価値を見出していけるように思えますが、皆さんはいかがでしょうか?

ご葬儀までの時間をどのように捉え、どのように使うのか?
残された「時間」に価値を見い出してみませんか?


おわりに

私たちは故人様だけでなく、ご家族の頑張ってきた姿・・・介護で頑張ってきた姿、病院や施設に通う姿、何度も呼び出しを受けて電話が手放せない姿・・・日常生活を送りながら、故人様のために尽くしてきたご家族に敬意を表し、その頑張りをねぎらい、その価値をお伝えします。

そして故人様が残してくれた「価値」それをご家族と一緒に確認し、それを引き出すお手伝いをさせていただいております。形式的な葬儀の準備だけではなく、その時間を大切にしたいものです。

故人様とのエピソードを思い出し、語り合うことで「そんなこともあったな」「あんなこともあったな」と記憶がよみがえります。
それを「恩」「御恩」という観点から考える。恩を知り(知恩)、感じ(感恩)、それに報いる(報恩)。そんな気持ちが自然と湧くことが、良いお見送り、良いご葬儀になると信じているし、経験上そうであると知っています。


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