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『風のおと』『おばけのおと』『昔のおと』

「風のようなおとがする!」
「こればおばけのおと!」
「これは昔のおとやなぁ!」

いかがお過ごしでしょうか。ぐっでぃテレビのモーリーです。

先日、我が家に電子ピアノがやってきました。やってきたのは私が10年近く前に実家で使っていた年代物。近頃はあまり使っていなかったので多少汚れていますが、特に目立った不具合もなくきれいな音が今でもなります。

子供たちは初めて家にやってきた電子ピアノに興味津々。
思い思いに鍵盤をたたいたり、ベートーヴェンの『運命』を弾く真似をしたり楽しそう。

一通り鍵盤で遊んだ後、音色を変えるボタンを発見した子供たちは色々な音色を変えて遊びだしました。

ピアノの音からまずはチェンバロの音。すると・・・

「このピアノ、ギターのおとがするんやぁ!」

『おっチェンバロの音がギターに聴こえるんだぁ。』
一瞬、心の中でそう思った私でしたが、よくよく考えると

『チェンバロは鍵盤楽器だけど弦を弾いて音を出すからキターと同じ、弦楽器みたいなものかぁ~。子供の耳って大人より鋭いかも・・・』

ちなみにご存じの方も多いと思いますがチェンバロってこんな楽器↓↓

難波大さんという方がチェンバロを演奏されてるYouTubeがありました。
チェンバロの音色をイメージしやすいかと思い紹介させていただきました。


面白いなぁと思ったのもつかの間、今度はオルガンの音。
その時コメントは・・・

「これは昔のおとやなぁ!」

『おぉ~これは面白い!!この音をなぜ昔の音と思ったんだろう!!』

そう思った私は「なんでこの音を昔のおとと思ったん?」

と聞くと・・・

「昔の音楽でこんなおとあるやん!」

との回答。

『おぉ~面白いなぁ!!よくこんな音が昔の曲で出てくるってわかったなぁ~やっぱり家でアメリカンポップス系もよく流れている影響か!?だけどそれらの曲がよく古いと認識できたなぁ~!古い曲だなんて教えてないのに・・・なぜ古い曲だったわかるんだろう~!?』

我が家では50’sのジャズのスタンダードナンバーからアメリカンポップス、60's~70'sのビートルズを代表するロッククラシック系、70's~80'sのAOR。和モノではシティーポップ系まで広いジャンルで音楽が流れているんだけど、これは新しい曲、これは古い曲って何となく音の作りや曲調で判断しているんだろうか・・・面白い!!

本当に子供の発想って謎が付きません(笑)

ちなみに電子ピアノで奏でたオルガン音はハモンドオルガンの音のような音でした。ちなみにこんな感じの音↓↓

おぉ~サマーサンバを弾いてくれている方がいるじゃないですか!!この曲はワルター・ワンダレイの演奏で知った私。ちなみにこの曲の入ったレインフォレストというアルバムは捨て曲なしの名盤です。
多分このアルバム数百回は聴いたと思います。全体的に明るく爽やかでお洒落な雰囲気が漂うアルバムで曲の流れも最高です。今でもお洒落なカフェなんかでかければ最高のムードが出来ること間違いなし。


次に奏でたストリングスの音。鍵盤でストリングスの音を作った特有の”ふぉ~”っとした音に。

「風のようなおとがする」

『おぉこれも面白いコメント!!ストリングの音を風のようと例えるとは何てロマンティスト!』

確かに言ってみれば”ふぉ~”っとした音が風が通り抜けたように聴こえたのかもしれません。ちなみにその時の音がこんな音↓↓

ストリングの音で低音を出したときに言い放ったコメントは

「これはおばけのおと!」

『なるほど~これは地響きのようでおどろおどろしい音にも聴こえるなぁ~!同じストリングスの音でも高音は風で低音はおばけの音かぁ~』


そんなコメントを聞きながら思い出したのが『赤いスイートピー』と『なごり雪』のこと。

松田聖子さんの『赤いスイートピー』とイルカさんの『なごり雪』。この2曲の共通点は編曲が松任谷正隆さんであるということ。そして春の訪れをうたった曲であること。

実はこの2曲のイントロ、どちらもピアノから始まり、よく聞くと結構テイストが似てるんです。松任谷正隆さんには春の訪れがこんな音で聴こえているんだろうなぁ。

8曲目が『赤いスイートピー』。アイドルのアルバムと思って甘く見ることなかれ。このアルバムめちゃくちゃいい曲ばかりですよ。シティーポップの名盤としても聴ける思います。作曲陣は呉田軽穂こと松任谷由実さんをはじめ、原田真二さん、財津和夫さん、来生たかおさんと超豪華。
4曲目が『なごり雪』。フォークシンガーのイルカさんが歌っていますが編曲は松任谷正隆さんなので、何となくニューミュージックな編曲となっています。伊勢正三さんが書かれたこの曲は元は『かぐや姫』の曲。『かぐや姫』のバージョンは結構フォーキーなアレンジ。
18曲目が『なごり雪』。視聴でもイントロを聴くことができます。これはこれで70'sの時代背景を感じる味のあるアレンジです。イルカさんバージョンの『なごり雪』と『赤いスイートピー』は視聴ではイントロが聴けないので興味のある方は是非サブスクなどで聴いてみてください。


人ぞれぞれ感じているイメージや空気感。
例えば春の音。例えば夏の終わりの色。例えば秋の匂い。など
秋を黄色に例える人もいれば、天高く広がる青空に例える人もいる。
メランコリックに表現する人もいれば、爽やかに表現する人もいる。
それらを自分の好きな方法を使って、自分が感じてるイメージや空気感を形として例えることが表現で、その例えに『おぉ!それわかる!わかる!』って部分があることが”粋(いき)とか美”とかそんなもんなんじゃないかなぁ。

映像を作っている時にいつも意識しているのが、
『説明以外の方法でふわっと伝わる何かをプラスしたい。』
ということ。

例えば会社案内だったら、こんな事業をやっててこんな製品を作ってますだけでなく、その会社の熱気だったり、温かさだったり、真心だったり・・・

そういうのって説明じゃ響かないと思います。(伝わったとしてもグッとくるものが薄い)

ふわっとした漏れてる空気感っていうのかなぁ。そんな空気感を感じ、それを音や色、絵作り、リズムを使って表現することをすごく意識しています。まぁそれがなかなか難しいんだけど・・・”粋(いき)とか美”の要素をちょっとフレーバーとして入れることが出来たら”分かる”が”響く”にかわるんじゃないかなぁって思っていて。

音楽でも映像でも詩でも、いいものには『ふわっとした』何かが隠し味としてプラスされているような気がします。『ふわっとした』ものが実は本質だったりするのかも。

「風のようなおと!」
「こればおばけのおと!」
「これは昔のおとやなぁ!」
って感じるような真っ白な感性なら、そんな空気感だって、情緒だっていとも簡単に『ふわっと』表現しちゃうんだろうなぁ。

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